JR東日本・あけぼの−シングルデラックス(個室寝台)

……24系25形客車を使用

 あけぼの号としては1970年の登場ですが、シングルデラックス車(スロネ24-550)は91年にデビュー。
 以前は、様々な路線を経由して上野〜東北地方間を走行する夜行列車が多かったものの、新幹線の工事や開通を機に走る路線が変わり、統廃合され、最後まで残った列車がこのあけぼの号でした。大昔の“集団就職”の時代は、東京に向かうときは堅いボックスシートの客車で向かい、稼げるようになって里帰りするときはあけぼの号で帰るという、ステータスシンボル的な列車だったようです。2014年3月14日(出発日)に廃止になり、その後も、多客期に臨時列車で走ることはあるようですが、その際はこのシングルデラックス車は連結されず、ほとぼりが冷めた頃には廃止になるでしょう。
 この列車には、90年代後半に乗って以来でしたが(その時もシングルデラックス)、その時との比較しているところもあります。





寸法

 線路方向枕木方面天井高さ
客室1,4301,8702,310
ベッド8251,870--
テーブル175500--


 暖色系の化粧板と、金色や木目を多用した個室内です。いい意味で、約15年前に乗ったときと変わりません。鍵はテンキー式です。
 途中駅の停車時間は短く、車内販売(以前は、一部区間でありました)も飲み物の自動販売機もないので、食料を含めて乗車駅で予め買っておかないといけません。ただ、青森駅に限って言えば、新幹線が通らず、大動脈としての性格を失ったからなのか、この時間帯では駅の中ではあまり売っていない印象がありました。



 左(上)から、ハンガー、ゴミ箱、電源・テーブル、鏡、洗面台、コネクションルームのドアとなっています。以前はテーブル部にテレビがありましたが、その後なくなりました。テーブルの上には、アメニティキットが既に個室内に置いてありました。中身は、櫛、歯ブラシ(2個)、ひげ剃り、石けん、ウェットティッシュ、整髪料(ヘヤートニック、リキッド、アフターシェーブローション)…整髪料や石けんは資生堂のもので、従来と同じく質を落としてないことは好印象です。ただ、ぺらぺらでもいいからハンドタオルがあれば良かったのですが…。
 ドア(コネクションではない方)の真上に荷物棚があります。



 ベッドを跳ね上げると、このようなソファ状にすることが出来ます。この寝台を、一人で使う分にはいいとしても、二人で使うとき、ベッドの上であぐらをかきづらい環境の時には重宝するでしょう。ちなみに、ベッドに腰掛けると高い(ただし、この写真の左下に何となく見える、ベッド下に収納してあるオットマンを使うのもいいでしょう)一方、ソファだとちょっと低く感じます(特に、コンピューターを操作するときは)。このソファの時、枕や毛布の置き場所をどうしようか、一瞬迷います。ドア上の棚に置ければいいものの、既に荷物があるかもしれません。これらの解消法として、毛布を座布団みたいに敷くことで、低さと収納を解決できます。



 この寝台の名称は「シングルデラックス」=一人用の個室ですが、上にはエキストラベッドが用意されています(※追加料金が必要)。そのため、歯ブラシやスリッパが二人分用意されています。写真は、その上段です。上るための梯子は、コネクションルームのドアに掛かっています。このコネクションルームを活用すれば、4人が一度に使えることになります。
 上段にも、コントロールパネルがあり、スピーカー、チャンネル、照明の調節ができます。



 コントロールパネルは、中身は同じものの、十数年前に乗ったときと比べて、パネルそのものは変わっていました。
 右上の照明は、天井灯、床灯、各寝台の壁灯×2の、合計4カ所あります(上段ベッドを使わなければ、実質3カ所)。右下には、空気清浄機と換気扇のスイッチです。
 中央の上は時計と目覚まし、下は空調(冷房、暖房)です。冬でも冷房が使えた覚えがあります。
 左側は音響関連です。テレビがなくなり、現状BGMが2チャンネルのみ。1chはクラシック、2chはインストゥルメンタル(っぽいもの…ポップスらしい)。



 洗面台は、タカラベルモント製。床屋さんの洗髪器のように、ボウル部を引っ張り出して使います。サーモスタットの温度調整と自閉水栓の組合せです。右側には靴べらやブラシなどがぶら下がっています。


洋式トイレ

 この車両の個室内には全室洗面台があるので、デッキには洋式トイレのみあります。走行時の衝撃で便座が下がることがあるため、男子小用の時は意識をしておいた方がいいでしょう。


大型荷物置き場

 個室に入りきらないほど大きな荷物は、デッキに荷物置き場がありますが、鍵があるわけでもなく、一晩そこに置きっぱなしにするのは、勇気がいるかもしれません。


 これらの室内写真の車両番号:スロネ24-553
 取材時期:2012年05月



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