JR西日本・トワイライトエクスプレス(2015年6月・大阪→下関)


<ご案内>
 文中に「定期列車」「定期運行」などの表記があります。2015年03月まで運行した、大阪〜札幌間の列車のことを指しています。その列車も、本来ならば、時刻表や運行上は臨時列車としての扱いでしたが、その後の「特別なトワイライトエクスプレス(チャーター列車)」の臨時列車と区別するため、上記の表現としています。


乗車の流れ

 この列車は、旅行会社がチャーター列車として貸し切り、ツアーとして販売する形になります。そのため、旅行会社によって、前泊・後泊などがあります。私の場合は、この列車のみ乗車することにしました(トワイライトエクスプレス以外は権利放棄)。
 入場券を購入し、大阪駅のホームに向かうと、ツアーの団体と合流し、列車の到着を待ちます。列車の乗務員や列車の撮影をしたい人々も、徐々に集まってきます。


 列車が入線します。30時間に及ぶ寝台列車の旅が始まります。写真左上の「10」の真下に見えるカートは、おそらくこの列車で使われる食材でしょう。



 出発前早速、各部屋に、雑誌や新聞、お土産が配られます。
 この雑誌ですが、「北摂のトリセツ」と書いてあります。下関行きの列車ですから、下関での観光ガイドならまだ分かりますが、何故か大阪の記事です。帰宅して中身を見ると、この列車の食事の記事が、4ページに渡って掲載されていました。この雑誌(あまから手帖)は2015年6月号ですので、6月以外の運転日は、この雑誌は用意されていないかもしれません。
 右上の箱はお土産で、一日目夕食で出されるデザートと同じ、「パティシエ エス コヤマ」の焼き菓子詰合せ。トワイライトの紙箱に入れられているのが心憎いです。これは、定期列車時代にはなかったでしょう。中身は、「くるみサブレ」「ショコラサブレ」「サブレバニーユ」「ケーク オ セピア」「ケーク オ 丹波黒」「ケークショコラ」「PAPA マドレーヌ プレーン」でした。
 そうこうしているうちに、大阪駅を出発します。

 出発して暫くして昼食が始まります。食事は前半と後半に別れます。この旅行の参加者は、比較的高年齢の方が多く、前半に人気が集中しがちです。主催の旅行会社にも寄りますが、後半をリクエストする場合は、希望が通りやすいと思います。おそらく、4食の内、朝食だけ前半…という感じではなく、全回とも前半/後半になると思います。
 食堂車に向かうと、名前を聞かれ、席を案内されます。(料理の写真は、ページ下方をご覧ください)


 最初の食事の最初に、シャンパンで乾杯がありました。

 この列車は、多くの駅で停車をしますが、大半が運転停車。扉扱いがあり、外に出られる途中駅は、敦賀と柳井駅のみでした。上り列車の柳井では、2時間ほど止まるので散策ができるようですが、こちらの下り列車は、2駅とも20分程度なので、列車の撮影が精一杯です。その昼食の途中に敦賀に停車。食事中でしたが、(まだ片づけないでと伝言をした上で)ホームに出て撮影です。敦賀ではEF81との組合せですが、柳井ではEF65との組合せの写真が撮れます。

 食事が終わると、サロンカーでくつろげます。飲み物(酒類含め)はここでもいくらでも飲めます。個室は個室で快適ですが、サロンでは、初めて会う人と色々と話が出来、気分転換にもなるでしょう。トワイライトエクスプレスのスタッフの方が常駐しており、飲み物のオーダーから世間話まで、いろいろ付き合ってもらえます。
 車内放送は、観光的なものからマニアックなものまで様々です。京都駅で、列車番号が変わり、EF81からEF65に変わります…など。

 私が、このツアーに参加した大きな理由は、車内の写真撮影です。自分の個室は自分で管理するのでいいとして、サロンは人の出入りがあるから最初の内に撮っておこうとする一方、食堂車の撮影は、食事と、その片付けが済んだら撮影できるから簡単だろう…と思ってスタッフの方に撮影したい話をしたところ、食事ごとにクロスを替えたり、片づけながらもう次の食事の準備をしているとのことで、ニュートラルの時間帯がなく、一番きれいな状態は、食事直前とのこと。食事が終わって次の食事まで、数時間単位でありますが、それだけ調理に時間を掛けていることを思い知りました。



 おそらく4回の食事の中で一番重視している食事が、夕食でしょう。おしぼりも布製が用意されます(それ以外は不織布)。


 21時30分頃になると、サロンで、クイズ・ジャンケン大会が行われました。これは、車掌によって行われないかもしれないので、当日のお楽しみでしょう。
 サロンでは、飲み物がアルコールも含めて飲み放題というのは上で書きました。となると、酔っぱらって場を盛り上げるおじさんもいるのですが、司会のN車掌が、そういう方を「師匠」とお呼びし、上手く話を繋いでいました。流石関西の人だなぁと。


 運転停車中、車内のN車掌と「師匠」と(写真左方)、ホームの学生(写真右方・窓の外)とで、最初は身振り手振りで、やがてメモ用紙やスマートフォンを駆使してやりとり。学園祭の準備だったそうです。一期一会です。

 そうこうしているうちに、22時30分に飲み物のラストオーダーになり、クイズ大会も終え、サロンは静かになります。途中、3時間ほどの運転停車もあります。


 6時30分、「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムが鳴り、定刻通り、五日市停車中(※運転停車)という“おはよう放送”が流れました。通常の夜行列車であれば、朝、駅に着く前に流れるという役割からすると、既に停車中のおはよう放送は珍しい、というより、遅れて抑止中以外はあり得ないかもしれません。それだけ運転停車がある列車です。この時刻からサロンカーのサービスも開始されます。ちなみに、これ以外に「ハイケンスのセレナーデ」が使われたのは、柳井に停車する前だけで、下関到着前はありませんでした(これは車掌にもよるのかもしれません)。


 朝食は、一番いい意味で裏切られたものかもしれません。実は前の晩に、スタッフの方から、「翌日の朝食と昼食の間は短いので、朝食は残すくらいがいいと思います」…という話を聞いていました。ところが、これはお代わりしないと申し訳ないレベルでした。



 トワイライトエクスプレス最後の食事です。上記の、朝食との間が短いので…という話ですが、まったく懸念するほどではありませんでした。自分の場合、スタッフの話に従って、朝食を少ししか食べなければ、足りなかったかもしれません。

 サロンカーの、ラストオーダーは13時15分、営業終了13時30分です。最後の最後、下関に到着するちょっと前に、サロンで、和菓子によるおもてなしと、紙芝居が行われました。
 流石に非常に余裕のあるダイヤだったので、定刻通りに下関に到着です。


4回の料理の写真

 4つともにお箸とメニューが用意されていました。
 料理が来た順に掲載します(メニューの順とは異なる場合があります)。
 全体的な感想は、元々私自身は、魚料理より肉料理を選ぶ派ですが、魚料理のおいしさにびっくりしました。

一日目昼食



自家製漬け物盛り合わせ
壬生菜 かぶら 有機人参 ごぼう アスパラガス
ヤングコーン エリンギ セロリ オクラ ラディッシュ
 1回目の昼食。席に着くと、漬け物がセッティングされていました。セントラルキッチンで漬け込んで、食べる直前まで漬けているとのことです。この漬け物はお代わりできます。



先付け
海老湯葉団子 明石産穴子の押し寿司 生麩田楽
 トワイライトエクスプレスの食事の、最初の最初です。一口食べて「おぉ!!」と感じました。



自家製ざる豆腐
天然醸造木桶仕込初搾り生 醤油
小豆島産エキストラヴァージンオリーブ油
マルドンのシーソルト
 豆腐は車内で作ったとのことで温かさが残っていました。この豆腐もお代わりできます。



旬の焼き魚
真名鰹西京焼き 酢取り茗荷
 皮の切れ目で三切れに見えますが、一切れでご飯が一杯食べられるほどの美味でした。



ご飯
椀物
白味噌仕立て 雲丹真蒸 三つ葉 青柚子
 お味噌汁はお代わりできませんが、ご飯は可能です。焼き魚を含めて、上品な関西の味です。



 お茶漬けを頼むと、既にお茶がかかったご飯とちりめん山椒、のり・わさび、あられが用意されます。JR西日本のWebサイトには、二杯目はお茶漬けに、という説明がありましたが、上記のように3〜4回お代わりして、最後の締めでも可能です。



季節の果物

一日目夕食



香川県産ホワイトアスパラとキャビア
香川県産マダコのベーニエ
ブルーチーズのコルネ



パン
 以降、違う種類の物がサービスされます。バターは、JALファーストクラスでも使われるエシレバターです。



明石産穴子と加茂茄子のミルフィーユ 山椒風味



自家製コンソメゼリーと淡路産玉ねぎのヴルーテ



海の幸の恵み 〜ブイヤベース〜
 刺身にも使えるほど新鮮なメバル、ホウボウ、オコゼが具になっていて(実際、ややモチモチ感が残るレア状態)、タプナード、赤パプリカ、エストラゴンを好みに応じて味を調えます。
 サービスされる際、スープを少し残してくださいと言われます。



海の幸の恵み 〜ブイヤベース〜
 スープを少々残した後、伊勢エビ、ムール貝、アサリを、エビの濃厚なスープで煮込んだスープを追加して、一度で二度おいしい料理になります。ちなみに伊勢エビは、スタッフの話によると、おがくずに入った生きた状態で、列車内に入ってくるのだそうです。



但馬牛のグリエと山口県産地鶏「長州黒かしわ」のオーブン焼き
 ブイヤベースの驚きで、少々こちらが手薄になってしまいますが、左側にある牛肉も、侮ることが出来ない柔らかさです。



エスコヤマ 〜お菓子いろいろ〜

三田日向牧場のリコッタチーズケーキ
宇治抹茶のテリーヌ
我が家のプリン
コヤマロール クラシックバター
季節のジュレ
季節のマカロン


二日目朝食







フレッシュジュース 野菜ジュース
新鮮野菜のサラダ
田舎風野菜スープ
温野菜プレート
スクランブルエッグ
ハム
ヨーグルトと自家製グラノーラ
スパイスクッキー
パン
オリジナルブレンドコーヒー

 非常に賑やかです。中央にある卵の中には、トリュフ入りのスクランブルエッグです。フレンチトーストも用意されていたり(写真2枚目)、サラダのドレッシングが非常に美味でした。パン、サラダ、ハム、温野菜はお代わりできます。
 ヨーグルトは、グラノーラかジャムでとのことで、砂糖やハチミツはなかったのはやや残念でした。

二日目昼食

竹籠御膳


十穀米俵飯
点心
海老旨煮 鰆幽庵焼
長州黒かしわ山椒焼 牛焼きしゃぶ 玉子焼き
九条葱酢味噌和 枝豆 酢蓮根 甘酢生姜



揚げ物 旬の魚介と沿線野菜の天ぷら
 天ぷらの具は、穴子、黄ニラ、伊勢エビ、満願寺唐辛子です。



にゅう麺
椎茸旨煮 錦糸玉子 小口葱 すだち
煮物 牛タン味噌仕立て
 この牛タンの味噌仕立てだけで、ご飯があれば2杯食べられそうです。レトルトパックだったら味わえない歯ごたえでした。



デザート 季節の果物


飲み物について(サロン・食堂車)



 ソフトドリンクもバカに出来ません。オレンジジュースは、つぶつぶ感が残るフレッシュタイプ、ウーロン茶は、(恐らく違うと思いますが)“伊藤園 金の烏龍茶”のような金色の上品な烏龍茶でした。写真はアップルジュースです。アップルジュースはフレッシュタイプとは書いてありませんでしたが、つぶつぶ感があった気がします。メニューにはありませんが、ジンジャーエールも用意されています。



 炭酸水もなかなかいい銘柄なものを用意しているようです。炭酸水を搭載しているということは把握していたので、自宅からとあるものを持参しました。



 上記の炭酸水では炭酸が弱いとのことで、普通の炭酸水を入れて貰いましたが、持参したメロンシロップを使って、そしてアイスクリームも用意しているとのことで、クリームソーダをサロン内で飲むことが出来ました。JR西日本のサイトには、飲み物や料理のメニューがありますが、アイスクリームの記述は何処にも見あたりません。いくら私の前例が出ても、流石に、今後メロンシロップを積み込むことはないとは思いますが、食べたいもの、飲みたいものを、一度スタッフに話してみると、何か用意してもらえるかもしれません。



 到着後は、団体で一度改札を出て、解散式というか、ツアー続行の人はそのまま団体で移動、我々も含めてそうでない人はここで解散です。

……が、完全終了ではありませんでした。みどりの窓口に行き野暮用を済ませた後、旅程を進めるべく(※この後は川棚温泉に行きました)改札口に向かおうとすると、丁度トワイライトの12名のスタッフが改札を出てきました。お願いすると、この人たちだけの集合写真を撮らせてもらえました。みどりの窓口に並んでいなければ撮れなかったので、運が良かったとしか言いようがありません。


 敬意と肖像権のバランスの都合上、このサイズで掲載です。


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