JR西日本・トワイライトエクスプレス(2016年1月・下関→大阪)


<ご案内>
 文中に「定期列車」「定期運行」などの表記があります。2015年03月まで運行した、大阪〜札幌間の列車のことを指しています。その列車も、本来ならば、時刻表や運行上は臨時列車としての扱いでしたが、その後の「特別なトワイライトエクスプレス(チャーター列車)」の臨時列車と区別するため、上記の表現としています。


乗車までの流れ

 この列車は、旅行会社がチャーター列車として貸し切り、ツアーとして販売する形になります。販売方法は旅行会社ごとに色々変わってくるでしょうが、今回(主催はJTB)は、JR券の「一ヶ月前の10時打ち」が、そのままJTB内の予約システムで行うような狭き門でした。この場を借りて、JTBの端末を叩いて確保して貰えたHさんには感謝したいと思います。
 また、ツアー形式で売られるため、ツアーによって、前泊・移動・後泊などがあります。私の場合は、この列車のみ乗車することにしました(トワイライトエクスプレス乗車以外は権利放棄)。


旅行開始から、この列車が出発するまでの話

 このリンク先のページ下部「2016年の記録」もご覧いただきたいのですが、この週末に九州周辺で珍しく降雪があった後に乗車したものです。
 トワイライトエクスプレスは月曜日に下関を出発しますが、私自身は、土曜日に熊本に向かい熊本で前々泊、日曜日に上記リンク先の列車に乗ったあとは、熊本から九州新幹線で博多〜博多からソニックで小倉〜小倉から普通列車で下関に向かい、下関駅前のホテルに前泊する計画でした。ところが降雪の影響で、予定のソニックが運休し、前後のソニックも大幅遅延したので、山陽新幹線で小倉入り、小倉〜下関間の列車が毎時1本程度(通常は3〜4本)に減便で、下関へは予定より2時間程度遅れて到着しました。下関でここまで雪が降るというのも珍しいからか、ホテルの暖房があまり効いていないくらいでした。

 この雪の影響は翌日まで影響したにもかかわらず、当日はほぼ定刻通りに発車しました。
 というのも、そのツアー商品は大阪発着というのが標準的な旅程でした。トワイライトエクスプレス乗車日の朝に新大阪からの山陽新幹線で小倉に向かい〜小倉から普通列車で関門海峡を再度くぐって下関に行き〜トワイライト乗車という旅程で、新幹線は小倉には30分ほど遅延したようですが、小倉〜下関間の普通列車がちょうどよく接続し、ツアーそのものは団体移動=元々余裕を持って乗り継ぐ旅程を組んでいたため、トワイライトの定刻に間に合ったそうです。
 昨日の経験から、まさか、定刻通りに下関に入れたとは思えず、ゆっくり支度していたら、まさかの定刻出発で慌ててホームに上がりました。

 下関駅のホームに向かうと(※大阪の時は入場券を買いましたが、この場合はトワイライト乗車の旨をいえば、通して貰えたような覚えがあります)、既に列車は入線していました。
 今回は下関発大阪行きの列車です。15年6月に乗車した際は大阪発でしたが、大阪駅という大ターミナル駅と言うこともあるでしょうから、とりあえず乗務員と食材と乗客を乗せるので精一杯でしょうが、下関駅では多少の余裕があるようです。



乗車して出発


 ドアの前にはウェルカムマットが。トワイライトのロゴ+関門橋という、特別なトワイライトエクスプレス(しかも月曜日出発の上り列車)のためだけに作られたことになります。



 出発時は、多くの駅員の方のお見送りを受けます。この後、駅長(だと思われる方)もいらっしゃり、出発の合図を出していました。



 左上から時計周りに、参加証(駅を出るときなどに駅員に見せる役割も)、その参加証用の記念ホルダー、トワイライト専任車掌手作りの記念乗車証、雑誌・新聞(あまから手帖、九州スポーツ、毎日新聞)、アメニティキット、カードキー、お土産(京都 北山 マールブランシュ・お濃茶ラングドシャ「茶の菓」)、案内(車内の案内と立ち寄り観光・イベント、沿線案内)
 お土産のお菓子は、前年6月当初は1組1個だけでしたが、2人分用意されました。新聞は、新聞休刊日がある都合でしょうか、上りのみスポーツ新聞と一般紙が用意されるようです。



 前年6月と比べ、ソフトドリンクも内容が増え、柚子蜂蜜が用意されました。これを、焼酎や炭酸などで好きに割ってもらうことができます。紅茶の銘柄も変わったそうです。アイスクリームはこの冬でも用意されています。
 飲み物の左には乾き物のおつまみ(しょっぱい系)で、これも6月には搭載されていなかった覚えがあります。まさか自家製と言うことはないと思いますが、市販されていたら買いたくなるほどおいしかったです。

 スタッフはインカムを付けています。どう言うときに使うのかというと、例えば食堂車で食事中、飲み物がほしいとき、客は食堂車内のスタッフAさんに飲み物を頼みます。少しすると、サロンの方からBさんがサロンにある飲み物を直接私のところに持ってきました。Bさんが持ってきたとき「飲み物を頼まれた方は」というやりとりはなく、直接私に持ってきました。Aさんがインカムを使って、食堂車にいるこの客がこの飲み物をほしい、という情報を、サロンのBさんに連絡しているのでしょう。洗練されたやり方です。
 一方、自分の個室で飲みたい時は、係員がベルを鳴らしながら回るときに、声を掛けるようです。サロンでは、浴衣姿ではNGなので、そういうときには都合がいいのですが、ただ、寝ているときに起きあがって、ドアを開けて…という頃には、いなくなっているかもしれないですし、呼び出しボタンや通りかかるときに声をかけてほしいサインのようなものはありません。定期運行時代はインターフォンが使えましたが、イレギュラーな編成になったチャーター時代は使えません。



 和食をベースとした、お漬け物、できたての豆腐、焼き魚など、構成は6月と同じ昼食です。

 この列車は、多くの駅で停車をしますが、大半が運転停車で扉は開きません。一日目は光、柳井駅で、ドアが開いて外に出られました。前年6月の時は、ただ単純に止まっただけですが(外観撮影にはちょうどよかったですが…)、今回は地元の人が力を入れて、ゆるキャラを出したり、ボランティアガイドを出すようになりました(外観撮影のタイミングを伺うために、こちらの観光には出られませんでしたが…)。カンロ飴の会社も沿線沿いにあるようで、気づいたらサロン内に、たくさんの飴入りのかごが置かれていました。


 柳井駅では町並みや白壁などのミニガイドツアーが行われたようです(自由参加)。私はそれには参加せず、周辺の様子を見ていましたが、柳井駅から歩いて10分もかからないところに公園があり、蒸気機関車(C50-125号)が休んでいました。



 そして夕食。光沢紙のメニューが特徴です。


 食後は、大半の人がサロンでくつろぎ、ドリンクのラストオーダーを向かえ、客室に戻っていきます。
 日が変わって0時過ぎに福山駅に到着し、6時過ぎまで停車します。1時19分頃、福山駅のホームの照明の大部分が消灯しましたが、夜行列車が沢山走っていた頃でもホームの照明が消える瞬間を見る機会はないため、珍しい瞬間です。



 朝食です。メニューと一緒に、「五つ星ひょうご」という紙が。「桃色吐息・炭火焼きボンレスハム」、「淡路島ポーク生ハム」、「栗系百花蜜」を使っているようで、朝食も地物を強調していました。


 二日目でドアが開くのは和気と吉永の2駅で、和気駅での停車時間は5分程度。立ち寄り観光客をここで下ろします。バスに乗って、備前焼窯元の見学、お茶・お菓子の振る舞いが行われたようです。
 列車は1駅進んで、吉永で長時間停車をします。吉永駅でもドアが開き外に出られました。この外観写真は、ここでの停車中に撮影したものです。停車時間は約2時間、駅前にお土産屋かお茶(※トワイライト車内でもいつでももらえますが)ができる場所がある何かあればと思いましたが、スーパーがあるだけでした。
 そうこうしているうちに、観光組が戻ってきて、昼食の時間です。


 昼食。ご飯と汁物以外は用意されていました。



 最後の食事の後、お礼をかねがね厨房に向かい、今回は調理スタッフ+厨房の写真を撮らせてもらうことにしました。このスタッフは、17年から走ることになる新車(トワイライトエクスプレス瑞風)にも乗務するとは思いますが、この厨房では、もう調理はできません。

 14時19分に大阪駅に到着。大阪に着いてからは、帰京の飛行機もあり列車が車庫に戻っていく様子などを見ることもできず、ゆっくりはできなかったこともありますが、あっという間に大きな駅=現実に引き戻されてしまい、少々もの悲しかったのが印象的です。予約し、旅程を考えてから乗るまでは長いものの、乗ってからはあっという間でした。



4回の料理の写真

 15年12月になり、メニューが少々変わりました。
 4つともにお箸とメニューが用意されていました。料理が来た順に掲載します(メニューの順とは異なる場合があります)。
 全体的な感想は、元々私自身は、魚料理より肉料理を選ぶ派ですが、魚料理のおいしさにびっくりしました。


一日目昼食



漬け物盛り合わせ
 壬生菜 かぶら 有機人参 ごぼう セロリ ヤングコーン エリンギ 日野菜 オクラ ラディッシュ



先付け
海老湯葉団子 明石産穴子の押し寿司 生麩田楽



自家製ざる豆腐
天然醸造木桶仕込初搾り生醤油
小豆島産エキストラヴァージンオリーブ油
マルドンのシーソルト



旬の焼き魚
 カレイの干物 酢取り茗荷
椀物
 白味噌仕立て 雲丹真蒸 三つ葉 青柚子
ご飯
 ご飯は奥日野米(鳥取県産コシヒカリ)のようです。



季節の果物
 食後のデザートも6月とは異なります。ちなみに、前年6月に乗車したときの写真を、トワイライトエクスプレスのスタッフに見せたところ、最初はサクランボとパイナップルだった…と、かなり懐かしがっていました。



一日目夕食



山口県産鹿野高原ポークのリエット ギリシャ風野菜の煮込み
 これをパンやクラッカーにたくさん塗って食べたくなる濃厚な味です。ギリシャ風野菜の煮込みは、マリネのような酸味が少々しました。



山口県仙崎漁港で水揚げされたキジハタと剣先イカのマリネ 島根県産キャビアと昆布のジュレ
 キジハタの上に昆布のジュレとキャビアが、イカは右下の方です。両方とも、レモンのソースがかかっています。キジハタは新鮮だとわかる食感。キャビア=チョウザメの卵ですが、島根ではチョウザメが養殖されているそうです。
 今回乗った路線は、下関から大阪まで、山陽本線を経由したルートのツアーですが、山陰線を経由したルートもあり、そのルートの時は、朝獲れたキジハタを途中駅で積み込むそうです。料理に対してのものすごいこだわりです。車両設計者「新車に生け簀があったらいいかな?」→トワイライトスタッフ「あるといいねぇ」みたいなやりとりがあってもおかしくなさそうです(※新車には生け簀は備わっていません)。
 米粉入りのパンが出てきます。



コンソメゼリーと淡路産タマネギのヴルーテ
 コンソメゼリーは、冬でしたが冷製スープで上品なコンソメでした。
 タマネギのブルーテは甘酸っぱく、パンに塗っても良さそうです。
 左のパンは、海藻入りのパンです。




山口県産トラフグのポワレ パルミジャーノ風味
 食べる直前に目の前でパルメザンチーズのすり下ろしが掛けられ、チーズの香りが広がりました。
 左の花びら型のお皿には、香草入りのラビオリがコンソメスープに。右側には、ウニやホタテ(煎餅状の薄いモノ)がふぐの上に。下の緑色はクレソンのソースです。



但馬牛のステーキと牛タンの煮込み 沿線野菜のグリエ
 ステーキ、牛タンともに柔らかく、ステーキはレア状態にて。野菜もふっくらしていました。
 左のパンは“ふすま”入りのパンです。




「京都北山マールブランシュ」特製デザート
〜モンブランと京の四季の彩〜
丹波栗の新栗モンブラン
四季のマカロンとお干菓子佇古礼糖
 左は梅の形のマカロン、右は雪だるまの形の佇古礼糖=チョコレートです。中身は、マカロンは柚子風味、チョコレートはベリー系のソース(フランボア)が。このお菓子は1月限定のようです。
 コーヒーは、各食事で銘柄を変えているそうです。そのコーヒーの上には棒状のものがありますが、棒の先には砂糖が固められていて、混ぜると同時に溶けるというおしゃれな棒です。


二日目朝食


以前と同様、賑やかな朝食です。




フレッシュジュース 人参ジュース
新鮮野菜のサラダ
田舎風野菜スープ
温野菜プレート
スクランブルエッグ
ボンレスハムと生ハム
ヨーグルトとグラノーラ
トワイライトオリジナルジャムと百花蜜
スパイスクッキー
パン
オリジナルブレンドコーヒー

 丸いパンは豆乳入りのパン
 サラダのドレッシングはフレンチドレッシングです。以前はアンチョビ入りでしたが、アンチョビは別のところで使われているとのことで、今回は入っていませんでした。アンチョビは、温野菜プレートにあるライスコロッケに入っているとのことでしたが、普通のお芋のコロッケのような気がしました(聞き間違いかも)。
 温野菜プレートの左上のオレンジ色の液体はガスパチョです。
 サラダのお代わりは以前と同様できました。



 食後のヨーグルトはサロンカーで食べることにしました。グラノーラやジャムの他、以前はなかったハチミツ(栗系百花蜜)があります。


二日目昼食

竹籠御膳



食前酒 梅酒
点心 海老旨煮  あなご甘辛干し 長州黒かしわ山椒焼 牛焼きしゃぶ 玉子焼き 山口県産絹もずく 酢蓮根 甘酢生姜 枝豆 明石産穴子と赤万願寺唐辛子の天麩羅
 鶏照焼(かしわ山椒焼)や卵焼きやおでんなど、気取らない、普段の生活で馴染みのあるおかずが揃い、ご飯が進みます。以前は俵ご飯でしたが、今回はお茶碗で出されるので、お代わりが可能です。アナゴの天ぷらは、塩やだし汁はなく、どうやら下味を付けて揚げたもののようです。



煮物 おでん
大根 蛸 プチトマト さつま揚げ 海老丸 銀杏
 おでんは2種類。手前はいわゆる関東炊きですが、生姜醤油が上にのっかっている奥の方は「姫路おでん」です。
ご飯
白米(ご要望によりおでんだしをかけたご飯もご用意出来ます)



 ご飯は締めに、おでんの汁の掛けご飯も楽しめます。



デザート 季節の果物




 15年5月から16年3月まで運行した「特別なトワイライトエクスプレス」ですが、その後運行を開始した「トワイライトエクスプレス瑞風」へのテスト的な運行だったものと思います。客室乗務員は、定期運行時代も含めて元ホテルマンだったそうで、その人達が瑞風にも乗務しているそうです。いつか、瑞風にも乗車できた際は、再びこのサイトでご紹介したいと思いますが…ところが、こちらは抽選制で、くじ運のない身としては、何時乗れるかどうか...。


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