JR西日本・トワイライトエクスプレス−スイート(個室寝台)
……24系25形客車を使用
青函トンネルが開通した後、1989年12月(列車そのものは7月から)から2015年3月まで、大阪〜札幌間を結んでいた寝台列車です。
2015年3月に定期運転(*1)廃止後は一年間、利用客が使える寝台はA寝台(スイート・ロイヤル)のみの、“特別な「トワイライトエクスプレス」”編成として、旅行会社のチャーター専用列車として走っていました。このページなどでは、このチャーター列車として乗車したものを掲載します。
*1:大阪〜札幌間の列車も、時刻表や運行上は、臨時列車としての扱いでしたが、その後のチャーター列車の臨時列車と区別するため、定期列車として記しています。
スイートは、大阪〜札幌時代もチャーター時代も、展望タイプと中間車タイプの2種類用意していましたが、このページでは中間車タイプを掲載します。
機関車も客車と同じように、深緑地に黄色線というトワイライト塗装になっています。この形式(EF65)は、定期運行時代はトワイライトエクスプレスの牽引はしたことはなく、チャーター時代だけ。そのためだけにトワイライト塗装をするという気合いが見えました。
寸法
| 線路方向 | 枕木方面 | 天井高さ |
客室 | 4,480 | 1,940 | 2,400 |
ベッド | 1,930 | 800 | -- |
テーブル | 445 | 675 | -- |
一つの車両には、4つのロイヤルと、1つのスイートで構成され、このスイートは車両の中央に位置しています。
奥の小さな窓(ベッド側)と、手前の大きな窓(リビング側)の境目にはカーテンがあり、カーテンで仕切った2部屋あるような印象です。照明や空調などが設定できるコントロールパネル類も、ベッド側とリビング側にそれぞれ用意されています。腰より下が木目で、上が白い壁紙です。
スイートのベッドは寝台列車としてのギミックがない、いい意味で普通のベッドです。毛布は2枚重ねにして掛け布団代わりに使います。マットレスのバネがへたっておらず、反発も生きていました。
暖房のスイッチはベッド向けとリビング向けの2つあります。特にベッド側の方の暖房が強いです。一方、「換気・冷房」とありましたが、1月に乗ったときはさすがに使えませんでした。
写真を見ると、窓の外が白くなっています。光の都合で白写りしてしまったのではなく、雪です。しかも、北海道まで走っていた定期運行時代に撮ったものではなく、下関周辺で撮ったものです。この日は16年1月25日、前日は九州でも雪が降ったというイレギュラーな天候でした。前泊した下関のホテルでは、記録的な寒さだからかちょっと寒かったのですが、この車両は元々は北海道を走っていただけあって、寒くありませんでした(却って、翌日天気のいいときは窓も大きく暑く感じるくらいでした)。
写真左中央のソファから時計回りに、内線電話(チャーター時代は使用不可)、トイレ・シャワーへの扉、クローク、荷棚と通路への扉、窓(通路向け)と冷蔵庫という配置です。
定期運転時代は冷蔵庫の上に液晶TVがありましたが、埋め込み式のロイヤルと違って撤去可能だからか、チャーター時代は撤去されていて、結果としては電源が一つ使えるようになっていました。
ベッドの上には、アメニティキットとバスローブです(バスローブはスイート客のみのサービス)。
ソファベッドも、家庭にありそうなソファです。ソファそのものは備え付け(固定)ではなく、やや重いですが移動させ、座面をひっくり返すことでベッドにできるので、3名で利用することが出来ました(チャーター時代は3名での利用はおそらく不可能)。エキストラ用の寝具はクローク内にあったようですが、チャーター時代は3名以上で使わせないため用意されていません。ちなみに、ソファベッドの座面の幅は(この寸法に合わせると)、A・C寸法は115、B寸法は750、D寸法は490、E寸法は385でした(ベッドにすると、1,750×750になります)。
モノを置く台としては、ソファ部分にテーブルがありますが、応接セットにあるテーブルと同じような高さで、食事やコンピューターの操作などには不向きです。
腰掛式便器:TOTO C14RS#SS4 便座:TOTO TC290#SS4 手洗器:TOTO L537
展望タイプのスイートと一番の違いが、この水回りです。展望の方はロイヤルと同じ水回り機器(洗面台と便器が折り畳みになっていて、シャワー室と兼用)ですが、こちらはこのように列車の設備とは思いづらい機器が使われています。
便器は、一般建築でも使われている便器のため、循環式ではありません。今更ですが、ちょっと加工すれば、ウォシュレットを取り付けることもできたでしょう。この写真左下・便座の上に丸いものが見えますが、これがフラッシュバルブの操作ボタンです。
手洗器も同じく一般建築で使われているものです。あくまで手洗い器で、ロイヤルの洗面台と比べると小さいのも確かです。水の出し止めはドライヤーの右下にあるハンドルを使い、温度調整(サーモスタット)はボウル左にあります。デビューは80年代後半ですから、時代背景を考えるとあってもおかしくない、備え付けの灰皿もあります。
シャワーは、ドアで区切られて単独の部屋になっていること以外は、ロイヤルなどと大差はありません。ただ、利用時間がロイヤルより5分長く、25分で設定されていました。
これらの室内写真の車両番号:スロネ25-502
取材時期:2016年01月
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