近鉄・30000系(ビスタEX)

 1978年、近鉄特急の3代目の2階建て車両としてデビューしました。全車2階建て車両ではなく、中央の2両が2階建て車両です。関東圏や新幹線で走る2階建て車両は定員確保を目的としていますが、この車両は、ビスタ=VISTA=眺めを意識しているためか、定員としては平屋建て車両と比べてそれほど多いわけではありません。

1●234
 普通普通 
普通GRGR普通
WC・洗  WC・洗
   →
 
WC・洗
GR
:トイレ・洗面所
:グループ専用席
:喫煙車
  






 車両中央にあるデッキです。車両の中央に乗降扉があります。ホテルのロビーと言うほどの豪華さはありませんが、吹き抜けになっていて、さらに窓もあるため、開放感があります。251系のようでもあります。ただし、至る所に座席番号の案内があるものの、ちょっと見づらく、また入ってどちら側に行けばいいかなど、ちょっと分かりづらいかもしれません。



 783系と同じように、中央にデッキ(乗降扉)がある=客室は2室に分かれています。メインの客室は2階のみです(地下階はグループ専用席)。客室内は、天井以外は、妻面、窓付近を含めて、いろいろな木目が使われていいます。2階建て車両にも拘わらず、小さいながらも天井に荷物棚があるのは珍しいです。



 この座席になるまですでに1回リニューアルされているようです(3代目となるので本来なら、このサイト的には、30000vny辺りにしないといけない)。
 平屋建て車両の座席も、この写真と同じ座席に替えられています。そんな中で、1号車は喫煙席です(喫煙コーナーではなく)。喫煙席の灰皿は壁にあり、ボックス時代に先祖帰りしたかのようです。おそらく、全席禁煙の乗り物が増えた中で、新しい座席には、灰皿の位置は(オプションだとしても)設計の段階で意識しなくなったのでしょう。



 アーバンライナープラスなどでも使われている、背を倒すと座面が傾斜する新しい座席でした。背面テーブルとインアームテーブルがあるのは、デラックスシートより便利です。中央の肘掛けが2分割できますが、背を倒すと、背とともに中央の肘掛けの角度が変わるために、2分割しているのでしょう。
 座面は堅めでした。
 窓枠は太く、縁取りされていて、小物が置きやすいです。



 電源の類いはありません。



 この車両はデビューそのものから40年近く経ち、しかも世間全体で2階建て車両が少なくなっている中、貴重な2階建て車両です。首都圏の普通列車グリーン車の構造に慣れていると、この列車の2階建ての構造はユニークに感じられます。近鉄Webサイトの空席照会画面や時刻表にはVマークが記されており、選択しやすいです。
 この客室の定員は4(2-2配列)×7=28席、それが2室あるので56席。さらにコンパートメントは5人用×2室を足すと、この車両の定員は合計66名です。JR東日本の普通列車グリーン車(座席は在来線特急の普通席と同等)の定員は90名なので、ビスタカーは定員重視の為の車両でないことが分かります。

 この列車のトイレには、1,4号車ともウォシュレットが付いていました。上記の通り1号車は喫煙席ですが、(今となっては珍しい)喫煙”席”と、(徐々に列車にも普及しつつある)ウォシュレットが共存する車両というのは、近鉄だけでしょう。


 これらの写真の車両番号:30111


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