南海電鉄・12000系

 「サザン・プレミアム」として、2011年9月にデビューしました。南海のWebサイトでダウンロードできる、PDFでの時刻表には、この車両が充当されている列車が記されていますが、切符を購入する際の列車名は「サザン」と従来の車両と変わりません(料金も同じです)。
 言葉としては、私鉄では珍しい「一部指定席」の列車ですが、JR特急の指定・自由とは違い、8両編成のうち、和歌山方面の4両が追加料金が必要でこのページのような指定席車、難波方面の4両が料金不要でロングシートの自由席車両です。このような制度は、この列車と名鉄の一部の特急で採用されていますが、関東地方にはありません。JR北海道の快速エアポートみたいなとらえ方をするとよいでしょう。

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指定指定指定指定自由自由自由自由
WC・洗  自・多    
←和歌山市・和歌山港    難波→
 
WC・洗

:トイレ・洗面所
:自動販売機
:多目的スペース
  (全席禁煙)






 10000系と比べてがらっと変わりましたが、天井周りは新仕様と大差がありませんが、シャープ製のプラズマクラスタ空気清浄機が10個設置されています。
 この写真の一番奥は乗務員室です。客室と乗務員室の間にはドアがないので、1号車の場合一番後ろの座席を選べば、運転席のかぶりつきができます。



 座席は、巷の座席と似たり寄ったりです。バックレストの上には捕まれるパーツもあります。



 リクライニングの調整がやや先祖帰りし、丸いボタンではなくレバーを引くタイプになりました。比較的新しい座席ですが、座面の変化はありません。その一方でリクライニングの角度は、1時間用の列車とは思えないほど深いです。また、1時間弱の乗車時間にも拘わらず、1人1つずつ電源があります。窓枠には物を置けるようになりました。
 テーブルが、大きなものに変わりました。ノートパソコンを広げての仕事も問題なくできるでしょう。



 フットレストも、カップホルダーも、上着掛け、(写真としてはほとんど見えませんが、網ポケットの横に)傘ホルダーもあります。電源のコンセントは、フットレストとフットレストの間にあります。



 今までは灰色だった布が青色系になったのは、路線カラー(青系)に合わせたのでしょうか。

 客室はもちろん、公共スペースとしても多目的スペースが用意されるなど、レベルアップしているのですが、トイレが少々気になります。10000系は2号車寄りの3号車と、編成の真ん中にありました。ところがこの車両は2号車寄りとはいえ1号車に移動しました。4号車から行くと、最長70メートル近く歩くことになります。ちなみに、自由席の乗客も使えるそうなので、8号車から向かうとさらに80メートル追加して歩きます。この背景として、2号車の3号車寄りと3号車の2号車寄りが、現在大型荷物置き場になっていますが、これは改造することで乗降のドアにできるような構造になっています。ドアにするために、トイレが移動したようです。
 また、そのトイレのうち、男子用の小便器は「無水トイレ」とシールが貼られ環境アピールをしているのですが…臭い。トラップ(水封)に、尿より軽い油を入れることでにおいを封じているようですが、一般建築では関係ない「揺れ」に対応できているのでしょうか。それとも、ただ単に便器以外にこぼす人が多く、清掃の問題でしょうか。そして、どうしてこういう配置にしたのだろうという狭さ。床面積は他の車両と比べても大差はないようですが、配置に問題があるようです。実際のところ、横揺れがあったら扉にお尻が当たってしまうほどです。

 乗っていると、何となく「汎用型特急車両」という言葉が思い浮かびました。豪華である方がいいに越したことはありませんが、1時間未満の乗車時間に対して、各座席には大きなテーブル・電源・カップホルダー・上着掛けと、今の時代のサービスが全装備、公共スペースとしては多目的スペースなど、2〜3時間乗り通す列車としても十分に通用できます(悪く言えばオーバースペックなのではないかと思います)。多目的スペースは、10000系では存在したサービスコーナー(以前は列車によっては車内販売もあったようです)の跡地のようなものですが、もしかしたら、この仕様の方が結果として安いのではないか、という印象です。また、汎用と思わせる要素にそれぞれのパーツが絡みます。座席や客室扉、洗面台は、どこかで見たことがあるような…。デビューが3年くらい遅かったら、もしかしたらトイレにはウォシュレットが付いていたかもしれません(これはこれでありがたいですけれども)。


 これらの写真の車両番号:12101


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