小田急電鉄・60000形(MSE車)

 2008年3月にデビューしました。東京メトロ千代田線まで足を伸ばし(地下鉄線内に有料特急が走ったのは初)、2012年3月からはJR御殿場線まで足を伸ばすあさぎり号にも使われるようになり、MSE=Multi Super Expressの愛称のように、マルチな役割を担った特急車両です。2008年度のグッドデザイン賞も受賞しました。



 地下鉄線内を走るためには貫通扉が必要ですが、流線形のこの車両にも用意されています。



 天井は半円を描いており、壁は木目と、なかなかお洒落です。そして照明は、荷棚部分から映し込む、間接照明です。
 客室扉上のLED表示はフルカラーLEDで2段表示。列車名、行き先、車内の案内を、日本語、英語、中国語、韓国語で表示します。



 座席も何だかスタイリッシュ、しかも床には全面カーペットです。ところが、座席本体は、あくまで特別席比較ではありますが、ゆったり感がありません。背を倒していないときは窮屈です。肘掛け周りは金属向き出しですが、ヒヤッとした感触はないものの、感じ方としては堅いです。
 座面はまだいいとして、背の部分が若干硬いです。その背の部分は、特別席もびっくりの高さですが、プライバシー重視でしょうか。



 背を最大に倒しても、枕が浅く、寝るにはちょっと向かないので、通勤列車みたいに肘を付けて手に頭を乗せる方がフィットするかもしれません。
 インアームテーブルは、形状は三角形のため、コンピューターを置くには不適に思えますが(A4サイズは置ける設計のようですが、中央の位置に置いてまっすぐの角度で使えるのでしょうか)、なかなかどっしりとしており、不安定さはありません。
 窓枠の両端部と中央に、カーテンレール用の太いワイヤーがあります。カーテンの固定の仕方は、引いて、希望の位置で放すだけ。仕舞うにはちょっと(3cm程度)下に引くだけ。上手く行かないとまた上に巻き戻されるかもしれません+さらに下に下げたり、ちょっと上に上げることもできず、一度上に上げて再度引き下げる必要があります。



 壁には上着かけはありませんが、背面に2カ所用意。ちょっと低めなので、大柄な人の上着は地面に付いてしまう可能性があります。フック下にベロのようなものがありますが、リング状になっていて、傘をぶらつかせないようにするためのようです。



 松田付近でデッドセクションを通るのは前と変わらずですが、20000形と違い、照明や表示が消えなくなったのは時代の進化です。
 普段この列車は、上記の通り、地下鉄〜小田急線や、小田急〜JR御殿場線という区間で走っていますが、2013年5月に、「小田急ロマンスカー MSE5周年記念ツアー」と称して、地下鉄線〜小田急線〜JR線と、一気に走り抜けたそうです。そのイベントに際して、特に改造をする必要がない、この列車ならではの芸当でしょう。モノクラスで、座り心地の硬さ的には正直、長時間乗車には向かない気もしますが、色々なところで走れそうな、夢がある列車ではないかと思います。首都圏での直通運転が増え、走行距離が長くなっている今、私鉄各社でこのような車両が増えて欲しいものです。

 これらの写真の車両番号:60402



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