西武鉄道・40000系(S-TRAIN)
2017年03月25日にデビューしたこの車両ですが、みなとみらい線−東急東横線−東京メトロ副都心線−西武有楽町・池袋・秩父線を、土休日に走る際の一部列車は、S-TRAINという座席指定列車として走ります。色々とその会社初のアイテムが含まれており、西武初のロング/クロス切り替え車両、東急初の座席指定列車・トイレ付車両です。
本来のこのサイトの主旨(通勤車両は掲載しない)からは外れますが、東急線へ直通する指定席列車のため、特別に載せることにしました。料金は取るので、全くのアウトというわけではないですが…。
(西武の車両にも拘わらず)東急線沿線の住民が利用した感想が含まれております。
全長20メートル4ドア車両という、車体は山手線など通勤車両と同じ構造ですが、車内はクロスシートが並んでいます。ロング/クロス切り替え車両というのは、この写真のように進行方向向きの座席が、通勤車両と同じ壁向きのロングシートにできる車両のことです。L/Cカーなどと言われます。
シートマップの図面の、12列と13列の間に、黒い三角印がありますが、4箇所あるドアのうち、S-TRAINの場合、乗降はここからです。終点では4箇所とも開きます。
全体を見ないで、この座席だけ見れば、特急車両の座席だと思っても違和感はありません。
写真右にドアがありますが、ドアの真後ろの席は、ハズレ席と言っても過言ではありません。
まず、窓がありません。電源はありますが、カップホルダー・上着掛けがありません。窓がなければ窓枠ももちろんないので、電源+座るだけです。テーブルがないのは、推測ですが、背面テーブルが使えない席の割合が多く不平等、一方インアームテーブルだとロングシート(=通勤)時には支障があるためと思われます(ドリンクホルダーと上着掛けがないのも不平等ですが…窓もないことですし、壁に付けられないものでしょうかね)。そして、A,D席はフットクリアランスが狭く、320mmです(前に座席がある座席は460mm)。ただ、同じハズレ席でも、通路側B,C席は仕切りが途中までしかありませんので、A,D席よりは足下が楽ではないかと思います。
ただ、といって、この車両に限らず、全長20メートル4ドアのL/Cカーの宿命でしょう。
中間の肘掛けは跳ね上げることが出来ます。座面はそれほど堅くはありませんが、背はやや堅めです。
リクライニングは出来ない座席ですが、角度は、特に斜めになっているわけでもない、ごくごく普通の角度です。傾けていると、ロングシート時に不都合があるからでしょうか。ただ、もうちょっとだけ傾けて欲しいなぁと言う印象です。
上着掛け、カップホルダーはありますが、網ポケットや背面テーブルはありません。壁(白い壁の下方にある黒い横長状のもの)には電源がありますが、窓枠以外に物を置けるスペースはありません。電源の上辺りに、小さくてもいいのでテーブルがあるといいのですが…。
車端部は進行方向向きではなく、ロングシート席です。カップホルダーと上着掛けはありませんが、電源は肘掛けの下に付いています。
1,2,3,13,14,15列のE,F席(詳細:シートマップ ※トイレ付や車椅子スペース付き車両などは一部欠番があります)の券が出てきたら、この座席です。
ドアの真後ろの席以上のハズレ席かと思いきや、席の幅(B寸法)が10〜25mm広く、足下も広いので(通りかかる人はトイレか検札する人くらいです)、考えようによっては当たりかもしれません(でも、奥行のD寸法は20mm狭いです)。
この写真は、通路の上には中吊り広告ですが、デビュー日に走り始めた2編成にはこの部分には液晶ディスプレイ(Smileビジョン)があります。最近の通勤車両のドアの上にも液晶画面があり、右側に次駅などの表示、左側には広告の表示がありますが、その左側と同じものが表示されます。(デビューから暫く経ち、現在はどうなっているか分かりませんが)次駅などの表示はもちろんですが、広告ではなく観光案内を表示してもいいかと思います。
トイレ
東急線内で走る列車で唯一設けられているトイレです。
10両編成で380名ほどの定員ですが、4号車にあるこの写真のトイレ一箇所しかありません。例えば3,8号車辺りにあれば最大3両分(60メートル)歩けばすみますが、最大5両分(100メートル)歩く必要があります。
便座は暖房便座(LIXIL CF-1ALJ/BW1)です。手洗ですが、車椅子利用者しか考えていないように思えます。一般建築よりも高さが低い(※一般建築の場合、カウンターの高さは800mmが標準)手洗器が、便器の横の一箇所にしかありません。立って使う場合は、左にある紙巻器と干渉し、手を洗うときに(防ぎようのない)水の跳ね返りが、紙巻器の方まで飛び散り、トイレットペーパーが濡れます。(便器を、座って利用する)健常者でも、座ったまま手を洗うものでしょうか。また、最近の車椅子対応のトイレは、トイレ室内で回転できるようにするために、スペース全体が円状になっていますが、これがもし普通の(車椅子利用者を考慮しない)トイレなら、通路の向かいに小便器を設けられたかもしれません。バリアフリーにした結果不便になるパターンです。
ちなみに、この列車よりも走行時間が短い、7両編成のレッドアロー号(西武10000系)のトイレは、大小合わせて4箇所あります。
パートナーゾーン
1,10号車の乗務員室の真後ろにある「パートナーゾーン」という、車椅子やベビーカー向けの場所ですが、S-TRAIN的に言えばフリースペースです。座席が壁ではなく中央にあり、外向きになっているのが特徴です。この写真部分の座席はS-TRAIN上では発売されませんが(この写真の裏側には座席があります)、大きな荷物がある場合は、1,10号車を指定して購入するといいかもしれません。
S-TRAIN1号(元町・中華街 7:01発−西武秩父 9:15着)の、元町・中華街駅への入線時刻は出発の5分前と、ギリギリです。JR時刻表風の時刻表を作成しましたので、ご参照ください 1号時刻表(※デビュー日17年3月現在のものです・表右のカッコ内は運転停車を実測したものですが、同日早朝に発生した人身事故の影響で、定刻通りではない可能性があります)。
S-TRAIN5号(元町・中華街 19:55発−所沢 21:11着)は4号(元町・中華街 19時38分着)の折り返しで、車内清掃後車内に入れます。4号到着後、掃除するまでの間は4つとも扉が開きますが、座席指定列車だと知らずに車内に入る人を結構見かけました。(※18年12月現在)
指定券や乗車券について
指定券は、東横線内の自動券売機か、S-TRAINの乗車できる駅では窓口(有人改札や駅事務室)で購入できます。窓口では好きな車両、座席を選ぶことが出来ます(券売機では出来ません)。
指定券の検札は省略されますが、東急(みなとみらい線含む)、東京メトロ、西武線ごとに、通りかかる車掌が変わります。東急の制服は、普通の車掌の制服と違いました。出発数分前には指定券の販売を終えます(ホームで『販売は終了しました』旨の放送があります)。ギリギリで乗りたい場合は車内で買うしかないようです(車内で買う場合は金額が違うという放送がありましたが、売るという証拠でもあります)。
元々西武線内だけで走らせるつもりだったのが、急に横浜の方にまで走らせることになったからなのか、なんと、4社通しの乗車券が発券できません。降車駅で精算するか、横浜以北であれば「東急西武線まるごときっぷ」を使えば問題はないものの、日帰りの往復で考えている切符ですから、宿泊すると帰りの乗車券は別途用意する必要があるので割高になります。秩父には温泉もあり、あちらとすれば宿泊してお金を落として欲しいところでしょう。鉄道会社同志のサポートが必要です。ICカードを使えっていいたいのでしょうが、指定券を前売りするのだから、“それらしさ”は欲しいです。
座席やトイレなど、少々不便なところはありますが、(特に東急線に)こういう車両・サービスが増えることは大歓迎です。この車両を含めてブラッシュアップして、使い勝手の良い列車が増えることを望みます。
これらの写真の車両番号:40804(トイレとフリースペースを除く)
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