東急電鉄・6000系(2代目)(Qシート)

 「Qシート」という座席指定サービスを2018年12月14日にデビュー。座席指定サービスは、東急電鉄としては西武の車両を使うS-TRAINを走らせていますが、東急電鉄自身としては初めて座席指定車を用意することになりました。当初は同年03月にデビューした6020系のみに連結しておりましたが、予備車がなかったり、今後の増発などの都合で19年05月には6000系(2代目)にも連結されるようになりました。
 ところが、新型コロナウィルス感染症拡大により利用者減が影響して2020年04月24日にサービス休止。その間はロングシートのまま走らせていましたが、同年10月12日から、時間の早い時間帯のみ再開しました。
 本来のこのサイトの主旨(通勤車両は掲載しない)からは外れますが、東急線の指定席列車のため、特別に載せることにしました。乗車券以外の料金は取るので、全くのアウトというわけではないですが…。

 <おことわり>
 18年12月16日に、従来初日に撮影したものを掲載しましたが、この時は6020系でした。今回撮影できた車両は6000系と、形式は異なります。外観や足回りは異なりますが、車内は同じですので、6020系の方の掲載は取りやめました。


Q-SEATについて

 ここ最近になり、東武(TJライナー・THライナー)・西武(S-TRAIN)・京王(京王ライナー)で、このような列車(サービス)を走らせています。Qシートの車両の性格もこれらの列車と同じL/Cカー(ロング/クロス切り替え車両、進行方向向きのクロスシートと一般的な通勤車両と同じ壁を背にしたロングシートに切り替えられる車両のこと)ですが、これら3列車と違うことは全席が指定ではなく、一部の座席のみ指定席料金の掛かるサービスです。このシステムは、JR北海道(快速エアポート・uシート)、名古屋鉄道(快速特急、特急・特別車両)、南海電鉄(特急サザン・座席指定車)と似ています。
 指定料金は400円で、平日のみの運行です。

1234567
自由自由Q-SEAT自由自由自由自由
←大井町   長津田→
 3号車以外は普通のロングシート(追加料金不要)です。





 全長20メートル4ドア車両という、山手線など通勤車両と同じ構造ですが、クロスシートが並んでいます。
 天井周りは、照明が電球色になったりすることもなく、荷棚の縁に座席番号がある程度で、他の6020系(の自由席)と大差はないようですが、他の6000系(の自由席)と比べると世代が違うので、見た目としては差があります。



 前面展望が出来そうな背もたれの形状ですが、進行方向を向くのは夜間で、そもそも中間車です。どちらかといえば、ロングシートにした時(=背もたれが壁にあるとき)を意識しているのかも知れません。
 2人掛け席には中間の肘掛けはありません。
 座席は、まぁ通勤車両なのであまり期待はできませんが、やや堅めで、帰りに乗った9020系の方が正直よかったです。



 リクライニングをするわけでも、テーブルがあるわけでもないので、あまり写真としては情報量が少ないかもしれません。
 無線インターネットが使えます。利用者の端末の無線LANを選択するとブラウザが開き、ログイン方法は、Facebook, Twitter, Google, YAHOO!JAPAN, メールアドレスから選択。メールの場合、メールアドレスを入力→本登録用のメール送信→10分以内に本登録用URLをクリックとのことですが、パソコンのように無線LAN以外の通信手段がない場合はどうするのかは不明です。また途中まで操作してみたところ、隣接の号車で使えるかは分かりませんが、何だか随分と速度が遅い印象があります。



 背もたれが目の前にある席の場合はカップホルダーが使えます。S-TRAINと違い上着用のフックはありません。電源は、2人掛けは台座部分にあります。
 基本的にこの列車はクロスシートは長津田方面のみ意味がありますが、肘掛け後ろにあるオレンジ色のレバーを使って座席の回転をすることができます。




 上の写真は大井町側の車端部で、下の写真は長津田側の車端部です。20年10月の再開後は、大井町寄りの扉から乗降することになります。詳細は下部に記載します。
 3人掛け席には、幅は狭いものの、特別席でも見かけるような、ちゃんとした肘掛けがあります。電源は肘掛けにあります。初日はありませんでしたが、客室扉の上部がスモークガラス状になりました。
 シートマップを参照すると分かりやすいと思いますが、長津田寄りの3人掛け(13E,14E,15E,13F,14F,15F)はちょっとした向かい合わせ状態ですが、大井町寄り(1E,2E,3E)は視界前方には人もいないので、それはそれでストレスフリーです。なお、つり革の色から分かるとおり、優先席という扱いですが、Qシートのときは終点まで優先席ではなくなります。
 ちなみに大井町線には、9000系という形式の車両が走っています。9000系の車端部はボックスシートになっていて、私自身大井町線内で座るときは、そこに座るようにしています(もちろん追加料金は不要)。一方、Q-SEATのこちらはロングシートです。こちらには400円を払ってロングシートに座ることになり、ちょっと損した気分になります。とはいっても車内は、トレインクルー(20年4月まで)以外で立っている人はいないので、それはそれで全くの無駄というわけではないのですが…。

 3人掛け(ロングシート部分)の座席の寸法は以下の通りです。
座面幅(寸法B)肘掛幅
(寸法C)
座面奥行
(寸法D)
バック高さ
(寸法E)
1E2E3E
53050051537415725
※寸法Aに当たる端部には肘掛けはありません。



 広告類は、中吊り広告はなく、戸袋部分はQシートの時刻表など、荷棚付近には大井町線沿線の昔の駅の写真となっていて他の車両と異なりますが、ドアの上の液晶画面(TOQビジョン)は他の車両と同じと思われる内容です。



 車端部の大井町よりの一角は車椅子スペースとなっていますが、Qシートサービスの列車では使われることはないでしょう。大きな荷物があれば荷物置き場として使えばよいかと思います。
 その他、トイレなどは備わっていません。


細かい運用・車内の様子

 基本はオンラインの予約がメインのようですが、Qシート乗車駅(大井町・旗の台・大岡山・自由が丘)の有人改札口で、現金での購入が可能です。前売りはせず、乗車日の5時(17時ではありません)に販売開始です。指定券としては、薄いレシートのような感熱紙に印刷されたものがもらえます(切符のような分厚い紙ではありません)。
 Qシート乗車駅のホームの、Qシートのある3号車付近には、ウェイティングエリアがあります。といってもホームに線が引いてあるだけで、待合室のような場所ではありません。ホームが狭い自由が丘駅でも、何とかスペースを設けています。列で並んでいる間に、ホームにいる係員から指定券のチェックを受けます。検札と言えば検札ですが、指定券に判子を押してもらったりすることはありません。

 大井町駅のウェイティングエリア

 Qシートのサービスとしては、夜の下り列車の6本だけに設定されています(20年10月現在・ダイヤ上では10本設定していますが、夜の4本はサービスなし)。上り列車(大井町行き)では設定されていませんが、その場合も、普通の自由席として利用できます。大井町での折り返し時間の間に、3号車だけ扉を閉めなどはせず、スタッフが座席を回転したりゴミや忘れ物のチェックをします。サービス開始時当時の最終便(231号)は折り返しが4分しかないので、少々バタバタします。夜の上りは空いてるから、3号車を締め切ってもいいのに…とは思います。
 ホームや列車含め、自動放送としての案内はありませんでした。駅のLED表示にも表示されてません。
 Qシートのサービスの列車でも、20年4月のサービス休止前まではドアは4箇所全部開きました(S-TRAINの場合は1箇所のみ)が、10月の復活後は、大井町寄りの1箇所(=一番後ろ)のみ開く車両が交じるため、原則、一番後ろの扉で待つような説明があります。ホームドアにも、その旨のシールが貼られています。
 S-TRAINでも見かけるトレインクルー(客室乗務員のような役割)は、20年4月の休止前までは1名乗務していました。列車走行中はドア付近に立っていて、各駅に到着すると、ホームに出て案内をします。指定券のチェックは地上の係員から受けたりすると、この人たちと接することはありませんが、動作は丁寧な印象があります。同年10月の復活後は、乗務員は見かけなくなりました(各停車駅の駅員・警備員の数も減った)。利用者が減り、コストとの兼ね合いだろうと思いますが、出発後に隣の車両から入ってくるとか、不正が出来そうな気がしてなりません(隣の車両との扉を施錠しているかは不明です)。
 降車専用区間(二子玉川・溝の口・鷺沼)では、単純に“Qシートにはご乗車できません”と言う案内があります。
 フリー乗降区間(たまプラーザ・あざみ野・青葉台・長津田)は、前後の車両と同じく自由席になります。この駅でトレインクルーは降車します(休止前の話)。そのタイミングで2号車と4号車の乗客が入ってくるので、座席の向きが進行方向向きという以外は、前後の車両と雰囲気は同じになるでしょう。


 これらの写真の車両番号:デハ6301


普通席の資料+寸法のページ に戻る