この枠内は、B747の客室や座席の紹介とは、大きく離れる内容です。 JALの、2010年4月28日のプレスリリースによると、今回搭乗した便(JO072/JO071)の機材がB767-300ERに、そしてBOEING747-400そのものが2010年度中に引退する旨の発表がありました。 B767-300ERになるということは、確実にC,Yの2クラスになるでしょう(まさか、今更ファーストクラスを設けるとは考えづらいです)。そのエグゼクティブ(C)クラスは、私は乗ったことがありませんが、他機種の同Cクラスと比べ座席が狭く(*1,*2)、評判がよろしくないようです。また、BOEING747-400特有の広い機内が失われることになります。そうせざるを得ない程逼迫し、効率優先にしなければならない事情は分かりますが、この機材(B767)になった結果、マイレージとは関心が低い利用客が敬遠し、悪循環に陥らないかが心配です。利用者が少ないために、単純に小さい飛行機で定員を減らせば、搭乗率が上がり、効率が良くなるとは限りません。 JALの収益を上げるには、客単価を上げなければなりません。となると、上級クラスを充実させる必要がある(*3)と思いますが、これでは、逆効果になるのではないか、とも思います。 | ||||||||||||||||||||
*1 現在、ホノルル線のCクラスは、「スカイラックスシート」という名前の座席で、一方B767も、同じ「スカイラックスシート」が用意されるものと思われます。機能や姿はほとんど同じですが、機材により、座席の細かな仕様は異なります。詳細は*2へ。 | ||||||||||||||||||||
*2 表内の“配列”とは、横のことを指します。シートピッチなどの縦は考慮しません。
B747の場合は10列なので、通路を除いて合計400cmです。これをCクラスの7列で割ると、Cクラスの幅は57.14cmになります。つまり、Yクラスの1.4倍強です。 B767の場合は7列なので、通路を除いて合計280cmです。これをCクラスの6列で割ると、Cクラスの幅は46.67cm(実際は46cm)になります。つまり、Yクラスの1.2倍弱にしかなりません。 ちなみに、もっとかみ砕いて、クラスJと比較すると… B747の、Y:3-4-3配列に対して、クラスJ:2-4-2配列、Cクラスは2-3-2配列(CとクラスJはBコンパートメント)。 B767の、Y:2-3-2配列に対して、クラスJ:2-2-2配列、Cクラスも2-2-2配列。 そのため、全日空などの一部のB767はCクラスを2-1-2配列とし、この例に当てはめればCクラスの幅は56cmになり、B747とほぼ同等になります。しかし、今のJALに、2-1-2配列の座席に改造するほどの余裕はないものと考えるのが筋です。となると、今までB747だった路線がB767にダウンサイジングしてしまう路線のCクラス利用者からは、敬遠されることが十分考えられます。JR東日本の在来線特急のグリーン車と似たようなものです。 ホノルル線は、客単価が安いから、それでもいいのでしょうか。 | ||||||||||||||||||||
*3 ほぼフラットに倒せるシンガポール航空のA380の上級クラスは、マイレージの特典航空券などではなかなか取れない=普通に運賃を払わないと席が取れないとのことです。これは、座席のクオリティが高いからこそ許されるものです。正直なところの改悪となれば、結局は安くしないと人が集まらないのではないか、と思います。 | ||||||||||||||||||||
個人的にB747好きとしては、単純に「残念」で終わるかもしれません。私もB747好きなので、「もうちょっと長く(あと5〜6年は)飛ばせられないのか」という要望です。しかし一方、座席の寸法を計測し、サービスをチェックする者としてみると、「本当に廃止していいのか」と問いたくなります。経営が改善されたところで、B747を戻すことはまずないでしょうし、B747-8などの次世代B747を導入する可能性も低いでしょう。そもそも、B747を手放すことが、本当に改善策なのでしょうか。B747を目の敵にして、誰かに対してのご機嫌取りのために退役させるのでしょうか。B747が好きな人は多いと思いますが、他社に移る可能性もあり得ます。単純に効率だけで解決できるものではありません。 本当に2010年度中の引退の場合、日本でB747を所有する民間航空会社は、全日空グループのみとなりますが、そうなると、現在JALが整備している政府専用機は全日空に移るのでしょうか。 | ||||||||||||||||||||
2010年09月末を持って、このファーストクラス機材は、定期便上では飛ばなくなり、翌11年02月に引退しました。 |