JR東日本・251系

……スーパービュー踊り子号 のグリーン席

 1990年にデビューした車両です。グリーン車と先頭普通車はダブルデッカー、中間普通車はハイデッカーという凝った編成で、天井が高いハイデッカー車両につくパンタグラフもこの車両のためだけに設計したほど、力を入れた列車です。2度ほどリニューアル工事が施されました。
 2020年3月13日に引退しました。朝夕に間合い運用として使われた通勤ライナーは除いて、デビューから引退まで、列車名や区間だけでなく、(普通のJR東日本なら大きく削減される)サービスの内容も大きくは変わらずに、30年間走り続けたことになります。


詳細はアイコンの説明をご覧ください

 その他のサービス:レッグレスト
 サービスされる飲み物の内容:温…コーヒー、紅茶、緑茶、冷…オレンジジュース、ウーロン茶




 1号車の展望席から撮影したものです。暗い部分は展望席、その奥の明るい部分は一般の席です。展望席に限って言えば、この状態は、伊豆急下田行きで、進行方向=座席の方向ですが、伊豆急下田発の場合、進行方向≠座席の方向となります。リニューアル前はリクライニングも出来なかったようですが、現在では出来ます。ちなみに、料金は変わりません。展望席と一般席の間には、荷物置き場(1人掛け側)と地下階への階段(2人掛け側)があります。
 グリーン車は2階建ての車両なので、天井の高さは低いですが、車内全体的には、非常に広々とした空間です。また、トイレや洗面所以外には、壁という壁がありません。つまり、デッキとの仕切扉がありません。



 2号車の客室から撮影したものです。左手前に見えるものは、地下階(グリーン個室)との吹き抜けです。上記の通り、壁になっていません。



 座席は、普通席や、他のグリーン車と比べると、非常に大きな座席です。枕は、堅めです。座席部分は、通路より一段高くなっています。
 布のヘッドカバーには、菱形の模様が刷り込まれています。



 リクライニングは、2〜3時間程度の乗車時間ではもったいない程度の深さです。最大に倒すと、枕が低く感じるかもしれません。
 レッグレストは、そのものを手で引っ張ると出てきます(ボタンやレバーなどがあるわけではない)。構造上、座っているときに操作するのは、少し不便かもしれません。また、飛行機のレッグレストのように、各自高さを変えることはできません(この状態で固定)。一方でフットレストはないので、靴を脱げるところがないのは少し残念です。比較的深めにリクライニングをすると、レッグレストがちょうど良く感じると思います。
 インアームテーブルは、改造前は半面でしたが、現在は全面となり、広くなりました。
 デビュー当時は音楽のサービスがありましたが、改造に伴いなくなりました。



 なにより、シートピッチが広いです。前の席の背面ポケットに、手が届かない人も多いのではないかと思うほどです。表だった荷物置き場はありませんが、シートピッチの広さでカバーしています。



 一人掛けの座席です。1号車では山側、2号車は海側に設置しています。



 1号車の展望席の後ろから撮影したものです。展望席は6席のみです。1号車の前面展望は、一番後ろの座席に座っている限り、無理でした。通路に首を伸ばすと、運転席の窓は見えなくはありませんが、十分ではありません。線路はよく見えるものの、それ以外の景色(空など)は見えない状態です。しかし、真横には海向きに大きな窓があり、窮屈さはありません。



 2号車の後ろから撮影したものです。長距離列車として走らせても十分快適に過ごせるクオリティです。



 サービスの飲み物、紙おしぼりです(サンドウィッチは購入したものです)。おしぼりの袋の柄はSVO=スーパービュー踊り子の柄が入っており、この列車専用です。この列車は大宮駅が始発でしたが、お弁当類は、新宿から積み込みました。

 この列車は、システムも従来のJRの列車とは違います。まずは、普段の乗降口は、2,3,5,7,10号車です(一時の私鉄特急のようです)。(伊豆急下田方面行きの場合)小田原からは、到着前に「窓ガラスの付いているドアのみ開きます」という放送があります。全車両に扉はありますが、それは終点だけ開きます。これらは、ホームに「?号車の乗車口」と記載していますし、普段開かないドアには窓ガラスがないことで(そのドアの室内側には、終点以外では開かない旨書いてある)、大きな混乱はないと思います(それでも、1号車に乗車するからと、窓のない1号車ドアの前に立った人はいましたが...)。次に、アテンダントがその乗車口でお迎えし、そこで検札をするため、車内改札はありません(アテンダントが乗降口で立つため、普段の乗降口を限っている)。つまり、車内でくつろいでいるときに煩わせない、というところです。そして車掌は、乗客と接することはなく、放送もアテンダントが行います。また、車掌は伊東で交替しますが、アテンダントはそのまま下田まで乗務するなど、車掌は、この列車においては暇な乗務であろうと思います(放送もなく、ドア開閉の回数は少ないため通勤列車で走る特急電車の車掌以下でしょうか)。ただし、つけて回ったわけではないので、実際はどうかは分かりませんが…。
 一から十まで、きちんとしたポリシーを持った列車だと思います。しかもそのポリシーを、20年間ほぼそのまま維持できているのは、公共交通機関として称賛に値します。最初はどんなに良くても、改造するたびにどんどん悪くなっていく列車が多い中、この251系は奇跡だと言っても過言ではありません。グリーン車に至っては、これを、首都圏〜下田間だけにしか使われないのは、もったいないと思いました。それこそ、サンダーバード等のような長距離列車に充当してもおかしくない列車です。
 私が今まで乗ったJR東日本の特別席は、「お勧め度」が高くないものがほとんどですが、この特別席は、文句無く“☆☆☆☆☆”です。同じリゾート要素をデザインに取り込んだ255系とは大違いです。


 これらの室内写真の車両番号:(1号車)クロ250-3・(2号車)サロ251-3



資料のインデックスに戻る