JR東日本・E257系
……あずさ、かいじ号 のグリーン席
E257系は、2001年に、中央線の特急183/189系の置き換えとしてデビューしました。外観や座席の模様に菱形を多用していますが、(現在の)甲府の武将・武田(信玄)家の家紋をモチーフにしているようです。
2019年3月までにE353系に置き換わり、この形式は東海道本線で走っている185系の置き換え用として、E257系2000番台に改造され、車両としては現役です(座席も大きくは変わっていないようです)。
念のために書いておきますが、これもグリーン車です。1987年に国鉄が民営化されてから相当年数が経った車両なのに横の列は普通席と同じ2-2配列です。このE257系の先代は、183/189系という形式でしたが、一部の編成は民営化後にリニューアルされ、時刻表に「デラックス編成」と記載されたようにグリーン車が2-1配列になっていましたが、この車両は国鉄時代に先祖返りです。この車両は武田信玄を意識した意匠があり、武田信玄の銅像を見ると体格が良かったものとうかがえますが、武田信玄公がこの狭いグリーン席に乗車したら、座席の狭さにE257系の責任者は処刑されるレベルです。
JR東日本の在来線グリーン車の大半は、255系から狭い2-2配列で定着していますが、その理由というのが「定員確保」と言い訳しています。ところがこの車両は半室グリーン車です。利用者が多いのに半室という、なんというか考え方が崩壊しています。どこかの政治家のように、2-2配列ありきで計画を進めているようです。
床は、毛の短い、E3系と同じよこしま模様の絨毯敷きです。
中央のアームレストも幅が狭いながらも、跳ね上げることができません。背面上の捕まる部分が大きいのは、振り子列車が走っているくらい、カーブが多いよと言う証拠でしょうか。
フットレストが、下で固定できず、足を離すと都度跳ね上がってしまいます。
荷棚部分や座席番号のシールの下には、空調の吹き出し口があります。乗車した日は最高気温30℃を越えましたが、風量は少ないものの、客室内そのものは暑くはありませんでした。JR東日本のグリーン車は新車が出る度に貧相になっていく中、空調だけは良くなっています。とは言っても決して普通車は非冷房車というわけではないので、グリーン車のみ良くなった話ではありません。
隣に誰もおらず、2席を1人で占有できる分には、まぁまぁですが、込んだ時期ならグリーン車である必要性を感じないほど、普通席との差は小さいです。窓側の肘掛けと壁の間も狭く、もしこの座席にインアームテーブルがあり、ふたを開け閉めする必要があれば、ふたと壁の間に指を挟むレベルです。座幅が狭いので、背を倒すときは隣席も同時に倒さないと、肩や腕が窮屈に感じます。
背面テーブルは前後の位置調整は出来ず、コンピューターの操作は、手を伸ばさないといけないので、若干しづらいかもしれません。
壁(客室の両端)にあるテーブルを倒すと、(針金でできたような)カップホルダーがあります。その、壁以外にはカップホルダーはありません。
背面ポケットはゴムひもではないのは多少まともになったのでしょう。帽子掛けは、窓枠にあるので、窓側に座れればとりあえずあぶれることはない数はありますが、座席にはひっかけるところがないので通路側の人はどうしようもなく、また、テーブルのフックも、レジ袋などがひっかけられる形状にはなっていません。
後ろから見ると分かりやすいと思いますが、バックレストが、胸の位置から頭にかけて、絞るような形状です。定員確保のために普通席と同じ2-2配列ながらも、普通席よりは数ミリでも大きくしなければならない結果通路が割を食って狭くなる一方、通路を通り抜ける際、下半身より上半身が幅があるため(肩幅>腰幅)、通行に支障はないようにそういう形状にしたのでしょうか。
客室扉付近には、トイレの案内がドアにあるのみで、使用灯の類はありません。
今時としては珍しく、新宿〜甲府間という、1.5時間くらいしか走らない特急にも、車内販売が用意されています。
今後E353系に置き換えによって、あずさ・かいじ号としては走らなくなるようですが、この車両そのものは185系の踊り子号をこの車両に置き換えるという話があるようです。ところが、現在の185系のグリーン車は、定員48名×2両の一方で、このE257系は28名です。この程度の座席なので、需要はそんなにないとは思いますが…。
これらの室内写真の車両番号(グリーン車のみ):サロハE257-9
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