JR東日本・E351系

……スーパーあずさ号 のグリーン席

 E351系は1993年12月に営業運転を開始した、JR東日本初(でおそらく今後含めて、唯一)の振り子電車で、通勤ライナーなどの運用を除いて、「スーパーあずさ」専用の車両です。
 18年3月で定期運転からの引退が決まりました。後継車はE353系という車種ですが、こちらは振り子電車ではありません。


詳細はアイコンの説明をご覧ください

 その他のサービス:シートヒーター(強/切/弱の2段階)




 振り子列車なので車体の絞り方が激しく、室内空間も狭くなってはいますが、更に(183系189系は2-1配列だったのに)2-2配列に戻ってしまいました。しかし見栄えだけで見れば、最近のJR東日本のグリーン車に比べると、グリーン車らしい感じかもしれません。客室中央の天井に、仕切りのようなものがありますが、禁煙席/喫煙席を区切っていた跡です。以前はこの車両は、客室の半分を禁煙席と喫煙席に区切っていました(区切ると言っても、扉があったわけはありません)。今は全席禁煙となったものの、区切りの壁は寸法的にどうしようもできず、ガラスだけ撤去しています。
 客室内が電球色の照明で、夜などは外から見ると、グリーン車だと分かりますが、普通席との比較でグリーン車らしい部分というのは照明くらいです。
 床材が、グリーン車にしては珍しく(そして普通車と同じレベルの)ビニール貼りです。カーペット張りではないので、他のグリーン車より音を吸収できません。



 中央の肘掛けが非常に狭いです。その肘掛け下部にある白いスイッチみたいな突起物は、カップホルダーです(次の写真を見ると何となく分かるかもしれません)。普通席にも背面部にカップホルダーがあります。



 中央肘掛けにある黒く丸いボタンはリクライニング、窓側にある四角いスイッチはシートヒーターです。デビュー当時からシートヒーターが備えられ、現在も埋められていません(が、その一方後継車のE353には備えられていません)。強弱で設定がきますが、強にしても、暖かくなった気がしないでもない、という程度でした。乗ったのは11月でしたが、もっと寒い時期なら暖かく感じるかもしれません。
 背は元から倒れている印象で、倒さなくてもそれなりに過ごすことはできます。リクライニングもまぁまぁで、183/189系の座席と比べるとリクライニングしても座りづらくはなくなってきているような気がします。ただし、座席の幅が狭いため、私が背を倒さない状態で窓側席に座っていると、肘が壁に当たり、違和感があります。
 枕は、枕と言うより板に布を貼っただけのような薄目で小さい代物です。マジックテープで固定されているだけで、持ち帰っても罪悪感が出ないほど非常に安っぽい作りです。
 テーブルは、背面とインアームの二箇所にあります。背面テーブルのサイズが小さいので、背面テーブルを出したままでも、インアームテーブルの取り出しは可能です。そのインアームテーブルは出し入れするときに壁に手を挟むおそれがあります。手を挟むくらいぎりぎりな配置でよくぶつかるからか、2015年の時点(デビュー後20年超)ですが、傷みが見受けられました。
 窓枠の、細い柱の部分にも帽子掛けが付くようになりました。



 振り子車両=車体が窄まっている影響で、窓枠に物を置くには不適(カーブが多くて落ちる可能性もある)なためか、JR時代の特急には珍しく壁に小テーブルがあり、中央にはカップホルダーであろうくぼみもあります。中央の肘掛けにもカップホルダーがありますが、これは通路側席用になります。
 フットレストには、両面に布が張ってあり、しかも両面とも同じ柄なので、靴ごと乗せていい面なのか、靴を脱がねばならない面なのかがわかりません(普通は、両面が布張りでも、柄や布の材質で何となくは分かります。また、面が斜めだと靴のままOKの一方、床上と平行だと靴を脱ぐ面という、暗黙の原則があります。ところが、この場合、斜めも平行もよく分かりません)。ひっくり返せるようになっているので、どちらかがどちらかなのでしょうが。



 ここは隣に車椅子を置くために一席空けています。この席は、旧喫煙席に置いてありました。



 スピードのためか線路のためか振り子列車のためか、全般的によく揺れます。横揺れの仕方がハンモックのように感じるからか、席は狭くても眠る分は問題ない印象です。
 この列車のグリーン席も、決してよいとは言えません。しかし、この列車がJR東日本最後の「グリーン車らしい座席」になってしまいました。これ以降のグリーン席の大半は、普通席との写真をじっくりと見比べないと区別が付かないほど落ちぶれてしまっています(例:E657系)。常磐線で走っていたE653系が新潟方面に移った際、JR東日本としては珍しすぎる大きな座席のグリーン車が設けられましたが、それ以降にデビューしたE353系など、新車は相変わらずです。

 これらの室内写真の車両番号:サロE351-3



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