JR東日本・新幹線E3系

……秋田新幹線・こまち号 のグリーン席

 E3系とは、97年に開通した秋田新幹線の専用列車です。400系に続く、新幹線の線路+在来線の車体という車両です。99年に山形新幹線が新庄までの延伸に伴い、2000番台として増備編成として導入されました。


詳細はアイコンの説明をご覧ください




 定員は23名で、400系と同様こぢんまりしていますが、400系とは異なり、天井のアーチが狭い印象を受けました(アーチ状になっているからと言って、荷棚には蓋があり、室内がすっきりしているというわけではありません)。また、座席の配列が4列なので、座席も実際に狭いです。妻面の灰色の壁は、一応木目です。この列車も400系と同様、先頭車です。もし先頭車でないと、通路を歩いてきたお客さんが普通車指定席と間違えるかもしれません。
 以前は、縦が6列しかないのにも拘わらず半分で禁煙/喫煙席に区切っていました。JR東日本曰く、“JTと共同開発した空気清浄機付きだから大丈夫”らしいのですが、私が以前禁煙席に乗った時には臭いがしました(確かに、比較的早くその臭いは消えましたが、“禁煙席”で煙草の臭いがしたのは言うまでもありません)。また、いくら臭いがしなくても、目の前で煙が上がっていく様子を見るのは、気分は良くありません。もちろん、苦情は多かったことでしょう。結局、この半室喫煙席は、2001年12月のダイヤ改正時に、廃止になりました。やっと“普通”になったと思います。



 座席のデザインは先程書いたとおり、普通車指定席と似ています。ヘッドカバーも同じ色です(同じ色だから普通席に似ているのかもしれません)。中央の肘掛けの幅が非常に小さく、一人分の腕しかのせられず、普通席並です。更に普通席と違い、上に跳ね上げることが出来ません(つまり一人で二人分の席を占めて広く座ることも出来ません)。



 400系の不便な点であったテーブルが小さかった点は解消されました。しかし、それ以外の全ての面が400系以下です。
 リクライニングの深さは、貧相な座席の割には確かに深いという印象でしたが、リクライニングを深くした状態で肘をかけると、今度は肘が、革のカバー(普通の肘掛けの部分)でない金属の部分(ここには、座席回転のレバーがある)に当たり、気持ちよくありませんでした。これは設計ミスではないかと思います。
 フットレストについてですが、国鉄型の座席の場合、足を乗せるときに勢いよくやると、前の人に迷惑がかかるような構造でした。また、金属部分が多く、見た目もきれいではありませんでした。その後、多少勢いよく乗せても迷惑がかからないような構造に改良され、形状や機能も様々になってきました(ただ、サイズも大きく、高さが変えられる国鉄型が一番いいかもしれませんが)。しかし、それらが良くも悪くも、前の人へ与える不快感は少なくなってきているはずです。ところがこの座席のフットレストは、少しでも勢いよく乗せると、他の座席以上に迷惑をかけているようなフットレストです。これはおそらく、部品などが弱い(もろい)からだと思います。これは背面テーブルでも同じことが言えます。手をテーブルに載せるとこれも前の座席を揺らしてしまいます。あえて遊びを付けているのかもしれませんが、ちょっと重心をかけるだけでテーブルを支えるポールが根本から折れて壊れそうなほど弱く、またテーブルとポールの支点も強くはありません。フットレストに話は戻しますが、フットレストに張られている布地が両面とも同じで、靴を乗せる面なのか足を乗せても汚くない面なのかが、今までのグリーン車の常識に則って判断しないと、分かりません。



 狭いのは座席そのものだけではありません。座席と、横の壁の間もです。狭いだけならまだしも、これが危険です(これは255系でも同じでした)。インアームテーブルを取り出すとき、指を挟む可能性があります。また、そのインアームテーブルは、その狭さで取り出しづらかったです。
 後ろから見た写真を普通席と比べると、普通席の白いテーブルに対して、グリーン車は、大理石模様のプラスチックなのがほんの少し高級感を出しています(しかし、明らかにプラスチックだと分かり、それはそれで貧相な感じがします)。
 ポケットの部分について、E4系など、JR東日本の“グリーン車らしい”グリーン席のポケットは今でもきちんとしたポケット式です。しかしこの座席は、同じE4系の“普通席”と同じ、ゴムひもです。この座席が、普通席と同等の扱いをしているかが、分かります。これもまた普通席とそっくりの255系グリーン席も、ゴムひもですね。



 この一人掛けの席は、車椅子利用客用の座席です。そのため、座席には、飛行機でもないのにシートベルトがあります(これで車椅子を固定する)。



 最前列(もしくは最後列)の様子です。インアームテーブルがあるのでまだいいですが、テーブルが小さいです。

 まだ秋田新幹線が走っていない、田沢湖線当時の特急(たざわ号)のグリーン車(485系のもう一つの座席)よりは、確かに良いと思います。ただ、比べる対象が、新幹線も走る車両と在来線しか走らない車両、JRになってからのものと国鉄時代のものとを比べて、ですが。
 一時期、期間限定で、こまち2,4号のみ、おにぎりやサンドウィッチの朝食サービスがあったそうです。座席が悪い分、補おうとしているつもりなのかもしれませんが、それ以上に座席が酷いので「焼け石に水」でしょう。しかも、普通車指定席でもこのサービスは実施しているので、グリーン車と普通車の格差にはなりません。ちなみにこのサービスは、他のこまち2,4号以外では、実施していません。

 これらの室内写真の車両番号:E311-7



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