JR西日本・283系
……くろしお号(オーシャンアロー) のグリーン席
ビジネス利用を想定した683系から、観光路線用にしたらこうなりました、というような車両です。96年のデビュー当初の時刻表には「スーパーくろしお(オーシャンアロー)」と表示される長い列車名でしたが、現在は他の車種を含めてこの路線を走る特急列車は「くろしお」に統一されています(時刻表などには、愛称としてはそのまま“オーシャンアロー”が記載されており、この列車ご指名で乗ることは難しくはありません)。
前面展望ができる編成もあった381系(リンク先の車両は前面展望できませんが、座席は同じでした)が2015年10月に引退し、現在JR西日本で前面展望ができるグリーン車はこの283系のみになってしまいました。
通常、グリーン車は新宮方面の1号車ですが、実はこのグリーン車は新大阪方面の6号車です。1号車にグリーン車のある編成が検査だったり、多客期などの際に、この車両が代理で使われます。
振り子列車のため、JR北海道のグリーン車でおなじみ、中央で座席配列が変わっています。
照明は、荷棚から上向きの間接照明のような直接照明と(天井に向けて照らしているが、照明そのものも見える)、通路の真上を照らしているようなスポットライト風のもので、トンネルや夜間は少々暗くなり、読書灯も用意されています。スポットライト風の照明は、電球色の蛍光灯が使われており、客室中央で座席配列が変わる=通路が変わるので、照明の位置も変わります。荷棚の照明は、(2列に1枚の)窓の窓枠の上にあり、区切り代わりにもなっています。
基本的にはサンダーバードなどの681系統と構造は似ています、というよりもやくも仕様の381系の座席と同じですが、リゾート地向け仕様のため、細かい部分が華やかになっています。サンダーバード(681系や683系)が単色というイメージに対して、座席のプラスチック部品が大理石調になっていたり、荷棚の部分にも布で装飾されていたり、座製の柄も3〜4色の糸をちりばめているようです。また、ヘッドレストの部分を欠けさせて、展望性を考慮した座席です。一番後ろの座席からでも、ある程度は見えます。前面展望は、運転席の真後ろはもちろんですが、客室中央部の、二人掛け席の通路側(この車両の場合、方向によって5Bか7C)は、一番よいのではないでしょうか。
ヘッドカバーは、JR東日本の新幹線のように黄色ですが、座席も黄色系なので、いかにも“頭を載せるところはココだ”と注意喚起して目立たせているJR東日本と違って、いい意味で目立ちません。
リクライニングの角度は、食事やパソコン操作などでは、倒さなくても十分過ごせる角度です。フットレストは、681/683系とは大きく違う形状です。複数の座席を見た中で、この写真のように下で固定できるのはこの座席1つだけでした。こちらの座席にはカップホルダーはありません。
最近は揺れた際に座席に捕まえられるパーツを、バックレストの一番上につけた座席が多いですが、展望性を考慮したこの座席は上につけず、肩の部分につけています。
絨毯には「OCEAN ARROW」というロゴが入っています。
一人掛けの座席です。座席配列が2-1配列から1-2配列になる中央6列目は、1人掛け席のみです。
上り列車に乗りましたが、白浜から複線になり、単線の区間よりも速度を上げてきたような気がします。これに振り子が加わります。客室の後ろから見ると、車体が傾いている様子がよくわかり、それはそれでダイナミックでおもしろかったです。
現在はこの路線を走る特急列車名は、車両の形式が違ってもすべて「くろしお」号という話は上記で書きましたが、列車を予約するときはわかりやすいものの、実際に乗るときのドア位置はややこしいです。そのため、編成をA,B,Cに分け、287系がA、283系がB、381系(現在は引退)がCとなり、駅のLED表示器や、ホームの乗車案内も、A,B,C(や車両の前面イラスト)が表示・印刷されています。今回は283系とはいっても普段とは違う編成ですが、ドアの位置は同じようです。グリーン車が1号車にある通常の編成には、3号車には展望ラウンジがありますが、それはこのイレギュラー編成の乗務員室のスペースやドアの位置などを合わせるために設置したのではないかと推測します。15年10月31日以降は元683系の289系もこの路線で走るようになったため、283系、287系、289系のサインがホームにあるものと思われます。
17年11月現在の時刻表で確認すると、白浜駅では、上り列車は必ず5分以上停車します(臨時列車は除く)。現在は車内販売がないので、買い物などをするのにちょうどいいかもしれません。一方の下り列車の停車時間は2分程度のみで、あまり余裕はありません。
これらの写真の車両番号:クロ283-1
資料のインデックスに戻る