供食設備について


ギャレー

 飛行機の機内には「ギャレー」と呼ばれる場所があります。

 よく、わかりやすいように「機内の厨房」などと説明をする場合もありますが、国内線、国際線に限らず、生からの調理や材料を切るようなことはなく、地上で調理済みの食べ物を再加熱します。国内では、加熱する機内サービスは少ないので、単純に言えば、飲み物や食べ物などを貯蔵して置くところ=配膳室と言う方が近いかもしれません。
 上の写真は、国内線機材用のギャレーです。何処にどんなものが収納されているのでしょうか。自分は、過去、現在含めて客室乗務員というわけではないので、完璧なことは言えませんが、まずは上の棚には、キャンディーやおしぼり用の籠、紙コップなどの、各フライトごとに出し入れする必要のないものが収納しています。棚の真下の、赤いノブのあるものは、お湯が入っています。そして、カウンター部分より下にあるものは、カートになっています。クラスによっては、飲み物などのサービスの時には、このカートが座席まで来ます。冷たい飲み物や機内食が入っています。上級クラス用グラスやコーヒーカップ類も入っていたかもしれません。これらは、数便ごとに交換します。ちなみに、カウンターの一部に蓋がありますがそこはゴミ箱で、布おしぼりは、カウンターより下の部分に、温められた状態で保管されています。
 ファーストクラスなど、加熱する機内食サービスがある場合は、電子レンジなども備えています。国際線機材の上級クラス向けのギャレーになると、炊飯器(唯一の生からの調理になりますね…)やエスプレッソマシンも搭載されています。
 そして、どんなものが用意・収納してあるのかですが、客室乗務員が持ってくるものほとんど、と言っても過言ではありません。飲食物やおしぼりから、機内販売の品、ギブアウェイ(子供向けのおもちゃ)まで色々です。


食堂車・カフェテリア・ビュフェ

 列車の場合は、広さなどある程度が自由が利くので、様々な供食設備が存在しています。しかし、「利用客がいないから」という言い訳で、その自由さを運行会社が捨てているのが現実です。

 食堂車

 厨房では、基本的な下ごしらえは除いて、生から調理できます。また、ご飯が足りなくなれば鍋で炊くこともあったようです。今となっては、寝台列車と一部の観光列車でしか営業していません。おれんじ食堂など、時刻表上でフォークとナイフの“食堂車”マークの付いた列車はありますが、これらの大半は「生から」調理をしません。15年03月に、定期列車からは全廃になりました。写真は、定期列車として最後まで営業していた北斗星のものです。

 カフェテリア

 地上で調理済みのものを並べます。陳列形態も含め、コンビニに似ていると思った方がよいでしょう。昔は、“デリ”のように、多くの種類の、小分けの商品が陳列してあったようですが、末期は食べ物は駅弁だけを並べていました。現在では営業していません。写真は、JR東海・新幹線100系のものです。

 ビュフェ(ビュッフェ)

 飛行機のギャレーのように、調理済みのものを電子レンジなどで再加熱できるため、牛丼や焼きそばなど、温かいメニューが出ます。今残っているビュフェは、JR九州のゆふいんの森号と、東武のスペーシア(販売カウンターという名称だが、温かいメニューも販売している)だけです。つばめ号のビュフェは、2003年2月になくなりました。写真は新幹線200系のビュフェですが、2002年5月31日をもって営業をやめました。

 販売コーナー

 JR東日本の新幹線Maxには、販売コーナーがあります(写真)。基本的には駅のキオスクに近いと思いますが、列車によってはエスプレッソのコーヒーなども発売していた時期もあったようです。
 一方で東海道・山陽新幹線の300,500系にも、販売コーナーがありました。現在はそのコーナーを潰しています(単純に車内販売の準備室にしているようです)。つまり車内販売のみで、座り放しで、東京〜新大阪の3時間を乗ってくれと言うことのようです。

 これらの供食施設に共通して、車販準備室も兼ねています。


車内販売

 「車内販売」と言う言葉は、特急列車で旅行すると、「この列車には、車内販売はありません」も含めて、必ず聞く言葉です。車内販売を営業する前に、車販準備室と言う場所で準備します。
 車販準備室の場所…食堂車などがあればそこ(の、厨房部分)が準備室になりますが、今となってはない場合が多いです。そうなると、準備室を設けますが、たいていは、列車編成の真ん中辺りに個室のような感じであります。下の写真のように、カウンターがある列車もあります。その車両の設計段階では、そのスペースを販売コーナーにしようと言う発想だったのでしょうが、現実はそれが叶わなかったことになります。


 カウンター状になっている車販準備室(JR東海383系)

 そこでは何をするのか?
 段ボールなどに入っている商品(上の写真でも見あたりますね)の適当数を、カートに載せます。また、カートに載せられる数には限界がありますが、カートに載せられる分しか販売しないとなると、お昼時などは辛いです。そのためにストックしておく場所でもあります。他には、販売員の休憩(車内を一巡すると戻り、待機するなど)、売上の集計(終点に近付くと)、喫煙...、等の目的もあります。ただし、これら(準備や集計)を地上で行う場合もあります。

 そこには何があるのか?
 コーヒーなどの温かい飲み物はワゴンにポットを載せればすみますが、缶飲料やアイスクリームなどはそうはいきません。ですので、最低限、飲み物が保冷出来ればよいのです。もちろん、冷蔵/冷凍庫があれば望ましいのですが、クーラーボックスさえあれば“車販準備室”がなくてもすむ場合もあります。実際に車販準備室がない列車でも車内販売は行われますが、こういう場合の“準備室”は、デッキです(デッキに鍵が掛かっていない保冷箱が置いてあるのですが、それが出来るのは、治安がまだ良い方に入る日本ならではでしょう)。また、車内で準備やストックはせず(地上でカートを準備…“設定ワゴン”と呼ぶらしい)、いきなり販売することもあります。そうなると、クーラーボックスもいらなくなります。
 車販準備室がある列車によっては、コーヒーメーカーや電子レンジがある場合もあります(確か、新幹線400系にはコーヒーメーカーがありました)。走行時間が長い列車には、冷蔵庫やコーヒーメーカーを備えている、と考えてよいと思います。

 ちなみに
 準備中(販売する前)の販売員は、何故か機嫌が悪かったり(“人の前で”準備しているときの顔つきと、実際に販売に歩いているときの顔つきが違い、驚きました)、通路にもたれかかって壁に足をかけて喫煙する販売員もいました。準備中の販売員には近付かない方がよいでしょう。もちろん、営業中でも機嫌の悪い販売員が多いのも事実ですが。
 一方で、“席まで品物を売りに来る”意味では同じの、野球場の売り子さんは出来高払いのようで(東京ドームではそうらしい)、応対がよいのですが...。車内販売も、出来高払いの方がよいのではないかと思うところです(もちろん、列車によって違いはあるので、調整はすべきですが)。
 もう一つ、私は、車内販売員を経験したことがあるわけでもありません(ですので、上記の説明に多少の間違いがあるかもしれません)。






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