上げ吐水


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2014年10月11日 部品供給終了について追記
2011年05月03日 一部内容を修正


 上げ吐水とは、シングルレバー水栓(よくキッチンで見かける、レバー一本で水量や水温を調節・吐水が出来る水栓金具のこと)から水を出すときに、レバーを上げて水を出す方式のことである。最近のシングルレバー水栓は、特に注文でもしない限り、この上げ吐水の水栓が販売されている。
 しかし、この上げ吐水の流れは、ある時期を境に一般的になった。それまでは、下げ吐水(上げ吐水とは反対に、レバーを下げると水が出る)が一般的ではなかったかと思う。日本で水栓金具のシェア第一位であろうTOTOは、その“ある時期”まで下げ吐水だったのである。現在のTOTOのカタログには、下げ吐水の水栓は一つもない。
 なぜ、この上げ吐水が主流になったのだろうか?話によると(全てが正しくはないかもしれません)、例えば地震が起きて上からものが落ちたとき、その物体が下げ吐水のシングルレバー水栓に当たると、レバーが下がり、水が出し放しになるから、と言う理由が一つにあるようである。また、世界中のシングルレバー水栓が上げ吐水だからだ、と言うこともあるようである。つまり、グローバルスタンダード、らしい。しかも、どうやら政府による通達らしいのである。その“ある時期”とは、95年の阪神大震災だという。
 グローバルスタンダードとは、世界標準の意味ではあるが、果たして世界標準だと使いやすいのだろうか。それらを宣言する外国人にとっては使いよくても、日本人には決してよいかどうかは分からない。DOS/Vパソコンのキーボード配列は、あれが事実上の世界標準だが、わざわざShiftキーを押さなければ大文字/小文字のロックがかからないなど、不便な点が多い。
 シングルレバー水栓の先祖は、ガチャポンなどと呼ばれる、井戸の手動(手漕ぎ?)ポンプだと私自身予想するが、あのレバーを、上に上げると水が出るのだろうか。また、レバー式の自閉式水栓(トイレなどの手洗器で見かける、レバーを一回押すと一定量の水が出る水栓)も、上に上げると水が出るのだろうか。外国の手動ポンプや自閉式水栓は、上に上げると水が出るかもしれないが、あいにく日本ではそういう商品は出ていないはずである。また、生まれたときからの慣習である「レバーを下に下げると水が出る」という意識が、その“ある時期”を境に急に逆転するほど人間は有能ではない(最低限、私自身は)。
 国やメーカーの都合で、「今から変えてください」と言われても、そんなにたやすく人間の動作が変われるはずがない。2011年3月に東日本大震災が発生し、原子力発電所が爆発した影響で、“年間の被ばく限度量を「1年間で1ミリシーベルトまでなら構わない」から、「〜〜ミリシーベルトまでなら構わない」に引き上げよう”、と言う話があったようだが、引き上げた途端に、人体が多量の放射性物質に耐えられるようになるわけではない。人体は機械と同一視しているのだろうか。
 下げ吐水に慣れている人が、例えば緊急時(火傷など)にレバーが下がらないと、慌てるであろう。どうしても下げ吐水がよい場合は、以前下げ吐水の水栓を売っていたメーカーの、“修理部品”を取り寄せて作るしかないかもしれない。今、下げ吐水の水栓金具を使っている人で、この“下げる”行為がごく当然と思っている人は、この水栓金具を大切にし、壊れても取り替えようとはせず、修理して使えるようにしなければならない。

その部品がなくなります

 TOTOの下げ吐水用の水栓部品ですが、15年3月に、供給を終了するそうです。

 下吐水シングルレバー混合栓の補修部品の供給終了について (PDF)
※品番の後ろに「型」と付いていますが、後ろにアルファベットなどが付いている品番もあるというニュアンスです。
※下げ吐水用のカートリッジ部品は、THY566S以外にもあります。
※今使っている混合栓が、該当するのかを把握するには、お近くの水道工事店や材料販売店などにお問い合わせください。

 この「THY566S」という部品(カートリッジ)は、水温を調整し、水を出し止めする役割を持つ、可動部=一番壊れやすい部品です。「代替品またはおすすめ品」とありますが、当然ながら下げ吐水としての代替品になるわけではありません。
 ニュアンスとして、これらの部品がなくなり次第終了なのが、15年3月31日をもって一切を捨てるのか分かりませんが、忘れないうちに、早めに確保した方が良さそうです。なくなってからでは遅いです。






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