キャッシュレス

掲載日2018年09月08日
追記2019年04月28日
 ※3ヶ月で使えなくなる○Pay(○部分には数字1桁が入る)については、あえて書きません(笑)。

 最近、インターネット含めた各種メディアで、「キャッシュレス」をごり押ししている風潮がある。いかに現金が悪く、キャッシュレスがすばらしいか、という内容だ。中国では現金や財布を持ち歩かず、移動電話機に電子マネーの機能を搭載し、その端末での決済が主流とのことである。スウェーデンでも似たような状況のようで、現金を持ち歩かなくても全く問題がないどころか、現金お断りというお店が多いという。

十数年前は…

 00年代は「アメリカはこんなに進んでいるのに、それに対して日本は…」だった。例えば、雇用の流れとして日本での年功序列に対して、欧米では能力主義だからと、日本の企業は欧米の企業と同じような道を進んだ。またこの頃から雇用の規制緩和が進んだ(能力主義や規制緩和は、無関係とは思えない)。能力主義も、おそらく短期的な視点でしか見ていない。その結果、現在は人材を使い捨てするようになり、経済格差が生まれている。そりゃあ、発言力を持つ金持ち側にとってはこういう規制緩和(やりたい放題)は大賛成だろう。そのため、格差に対して国は何もしない。国連は「貧困をなくそう(CDGsより)」と言っているようだが、格差をなくそうとは言わない。結果としては、どの国も同じようなオチが待っているようで、程度の差はあっても格差を起こしていない国はないと思う。
 そして今(2018年現在)は、「中国(スウェーデン)ではこんなに進んでいるのに、それに対して日本は…」である。賃金ではなく、現金についてである。


キャッシュレスのデメリット

 有名なデメリットは、ついつい使ってしまわないかという点だ。これについては、逆だという説もあり、まぁ人にもよるだろう。ただ、キャッシュレス決済をしたからと言ってカードや電話機が軽くなるわけではなく、湯水のように使えそうで、そういう感覚を掴めない子供には危ない気がする。

 某大手都市銀行の研究所の人間が書いたインターネット上の記事に、キャッシュレスで小売店ではコストが下がるメリットがあるとあった。下がるのは具体的にどのコストかは記載がないが、一方で、取扱手数料などは徴収するだろう(クレジットカードで支払う場合と、現金で支払う場合、ポイントカードにたまるポイント額が違うのはこのためである)から、上がるコストは存在することは、特例でも作らない限り明確である。現金を扱わないで済むという意味では管理はしやすいかもしれないが、その代わりにパソコンを使うのだろうが、そのパソコンだって、金庫と違って数十年使わせる気はない。約5年ごとに買い換えさせようと仕向ける
 もちろんその記事には「コストが上がる」とは書いていない。キャッシュレスで払った場合、最終的には銀行口座から引き落とされるだろうから、金融機関としては是非とも導入して欲しいだろうが、あからさまには書けないからとりあえず「コストが下がる」とだけ書いてごまかしているかもしれない。ちなみにその研究所の銀行では、キャッシュレス専用のカードを導入しようとしているらしく、ステマなのかな…とも思う。
 その記事には、消費者も現金を持ち歩かないで安心という指摘があったが、現金の代わりとなるものは何を持ち歩くかを、この方は考えていない。おそらく、このキャッシュレス専用カードだけで済むとは思えず、中国のように電話機にその機能を持たせようとしているのだろうが、ただでさえ個人情報がたんまり入った電話機に、更にお金まで入れようとしているのである。パスワードを掛ければ悪用される可能性は低いとしても、紛失すると何も出来なくなる。紛失することのリスクを考えている人ってどのくらいいるのだろうか。リスクを減らす上で、何でもかんでも一緒にするより、通帳と印鑑のように、ばらした方がいいと思うのだが…。
 そりゃあ、中国は模倣して当たり前という文化の国なので、偽造紙幣の可能性が高い現金は使えたものではないだろうから、電子的な管理(これもいじれるんじゃないですかね!?)で済めば安心なのは分かる。一方、日本の偽造紙幣はどのくらい流通しているのだろうか。決して、「よそはよそ、うちはうち」と、他国の様子を一切気にするな、とまでは言わないが、少なからず中国と日本が同じ文化であると勘違いしている。その研究所の人は中国人なのだろうか。

 そしてもう一つ、消費者としてのデメリット。現金と、交通系ICカード(Suicaなど)やスマートフォン、100円の商品を両方とも100円で買えるのかというと、そうではない。現金は額面通り100円で済むが、交通系ICカードはデポジットとは言え最初に500円(しかも10年間使わないことでチャージした金額は消滅)、電話機も通信会社に端末代や利用料を払う必要がある。あくまでスマートフォンを筆頭とした移動電話機はあくまで電話機なので、キャッシュレスにだけ費用が掛かるわけではないが、現金側には掛からない維持費が掛かる。知らない間に(?)消費者は、今まで必要のなかった自分の財産の維持のために、民間企業に利用料を払っているのである。銀行と違うのは、利用料であって利息ではない(利息は20年以上前から安いけど、今の時点で口座維持手数料は取られない)。
 結局、NHKの受信料と同じように、何らかの形で、恒久的に収入を得ることのできるいい方法と言ったところである。


お前はどうなのか?

 そう言いながらも、私自身、キャッシュレスを全く使っていないわけではない。自宅最寄りや勤務地付近のコンビニエンスストアで、電子マネーのEdy(現・楽天Edy)のみ使っている。200円で全日空の1マイルたまるという触れ込みとはいいながらも…あまりそのメリットは感じられないが…。ただ、以前はEdyが使えるお店なら、国内のどこでも使っていたが、現在は居住地の首都圏に限定し、旅行ではあえて使わないことにした。使った履歴がどこに流用・悪用されるか分からないからである。鉄道移動でも交通系ICカードは使わないのは、「信頼できないPASMOで交通機関に乗れるだろうか」で書いたとおりだ。
 購入記録や行動履歴(ビッグデータ)は金になるようで、交通系ICカードでこういう情報を売る商売を始めようとしていた会社もあった。同じように電子マネー機能を持つEdyだって何をするか分からない。金になるということはこの先の商売に繋がる。その商売の相手というのは、上記で言えば、交通系ICカードを使った消費者である。情報を吸われてもその消費者は何の得にもならず、鴨が葱背負った状態かもしれない。「商売」そのものは否定しないが、きっとそういうビッグデータに金を出せるのは、大きな企業くらいなだけだろうから、別にデータをくれてやらなくてもやっていけるだろう。
 一方、クレジットカードも全く使わないわけではないが、リボ払いなんてもってのほか、使わなければ困るような生活はしておらず(まぁ、このページでは、そういう話ではないのですが)、何でもかんでもカード決済をしようとは思っていない。共通するのは、キャッシュレスをメインとして使おうとは思っていない。


世界に合わせるとどうなるか

 キャッシュレスも、冒頭で書いた賃金形態も、グローバル化世界標準化の一環だろう。これらは、企業に掛かるコストだけを意識し質を重視せず、結果安く用意することが出来ないところを世界単位で飲み込んでいく仕組みだと思う。貨幣や紙幣の製造、そしてそれを取り扱う機械類(ATMなど)はきっと大きな費用が掛かるが、電磁的なお金であれば、10円だろうが10億円だろうが、掛かる費用は同じで、安上がりだろう。
 ところが、2018年現在の頭に、関西地方の地名の付いたメーカーの金属製品の品質や電磁的なお金(ビットコイン)が、大変なことになった。また、値段だけの競争になり、非正規雇用が増え、結果ほしがらない人が増え(しかも、使いたいときはシェアしたりとかもするしね)、国内の需要が増えないという。グローバル化と世界標準化は、特に日本にとって正しいのだろうか?


 ちなみに、上記の、今後導入しようとしているキャッシュレス専用のカードは、きっとEdyやWAONなどとは異なる規格だろう。日本はパソコンやビデオなど、独自規格でつぶれた内容があるのに、今回も新たに規格を作ろうとしているのだから、馬鹿も休み休みやって欲しい。こういう規格モノはどうも、自社開発の規格を進めている様子がある。そんなんで失敗しても、かかったコストは事実上、消費者に負担させるわけだから、余計なことはして欲しくないのである。


追記・ランチタイムの愚考(19年4月追記)

 ランチではクレジットカードが使えないと言う飲食店がある。ただ、実はそれはクレジットカード会社との取り決めではいけないらしい。なので、「いけないんですよ」旨強く交渉すればクレジット決済できるという。そうすると利用者のポイントがたまり、積もり積もれば夢の高級品がねらえるという。(…という、インターネットの記事を見かけた)
 百歩譲って、手持ちの現金を忘れてしまった/少ないとか、普段そのお店でディナータイムに湯水のように使ってくれるとかなら、仕方ないかもしれない。ところが、その記事にはポイントを貯めてと言う記述があり、ランチ帯のクレジットカード決済を推奨している。セコセコとポイントを貯めるような人物が、ディナータイムに湯水のように使うとは思えない。
 そんなゴリオシの客が増えるとどうなるか…値上げ・料理が少なくなる・質が落とすことが目に見える。最悪、ランチタイムの営業をやめるかもしれない。ディナータイムなら一品料理を頼むこともできるが、それができないことも多いランチタイムで料理が少なくなるのは結構しんどいものだ。
 飲食店に限らず、儲けを追求するのは当たり前で、そんな中、ランチタイムは薄利多売のサービス価格で提供しているお店も多いだろうが、そういう意固地な交渉のおかげで、自分(消費者)の首を絞めることになる。エゴの塊だ。そもそも、それを思いつき、インターネットに公開するような愚か者は、食事に楽しみを求めていないだけだ(なので、料理が減ろうがどうなろうが構わないのだ)。だったら飲食店などに行かず、薬局でクレジットカードを使ってサプリメントでも購入して摂取してもらいたいものだ。
 正論だけで世の中うまく行くとは限らない。その結果が、世知辛い、テレビ番組も何でもつまらない世の中になってしまうのである。まぁ、クレジット決済で儲けられる分値上げをして、現金払いの人は(次回使える)ドリンクサービスや割引券の配布など、そのあたりなら問題ないかもしれない。




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