FAXを排除しようとしているけど

掲載日2022年01月22日
 ファクシミリ(FAX)について、今までも少なからずあったのだろうが、特にこのコロナ禍において、不要論が出てくるようになった。
  「日本では未だにFAXを使っている」
  「FAXのせいでコロナの新規感染者数の報告が遅れたりトラブルが発生した」
  「紙の無駄だ」
 …などという否定的な声が多く、FAXを擁護する声はあまりありません。迷惑FAXは確かに無駄ですけどね(しかも紙代やトナー・インク代は受信者が負担しないといけない)。「トラックファイブ」と名乗る業者は特に酷いです。

 私の働いている業界(一応、あえて匿名にします)ではおそらくFAXを多用しており、多分一気になくなることはないでしょう。なぜなら、FAXはFAXなりのメリットがあるからです。
 FAXは、電話とE-Mailの中間的存在ではないかと思います。

まずは電話やE-Mailの話し

 電話の利点というと、リアルタイムで繋がることである。〆時間直前の注文など、特に急いでいるときは、電話のメリットが発揮される。
 一方、E-Mailの場合は、「読んだ」「読まない」がすぐに分からない(あるにはあるが、その機能はあまり使われない)。特にパソコンから特定の携帯電話のアドレス宛に送る場合、迷惑メール防止の設定により届かないことがあるが、怖いことにそれが送受信者双方で知らされないことである。届いたとしても迷惑メール扱いされて迷惑メールフォルダに保管され、すぐに分からないこともある。最近は携帯電話のアカウントを使う人が減った(フリーメールサービスなどに取って代わられた)ので、収まったかもしれない。その点電話は、いなければいないことが分かる。また、E-Mailはなりすましもある。
 一方電話の利点はデメリットにもなる。元IT企業の偉い人が言っていた、時間を奪うことである。韓国企業が作ったと言われるSNSも、似たようなものかもしれない。また、「言った言わない」「聞き間違い(GだかJだか分かりづらい」のトラブルの原因にもなる。急ぎでないときの電話は私も嫌いだ。


FAXのメリット

 これらを上手く組み合わせたのがFAXではないかと思う。厳密に「読んだ」「まだ読んでない」はあるが、上記の携帯電話宛E-mailのように、届いたか届いていないかが分からないと言うことはない。届かなければ不達のエラーとなるからである。E-Mailの場合は、受ける側が受信操作をしないといけないが、FAXは勝手に紙に印刷してもらえるわけで、FAXのある部屋にさえいれば、ほぼリアルタイムで届いたことが分かる。また、(普段は空の状態なら)FAX受けに紙があれば、席を外していても、受信したことが一目で分かる。
 一方的に送るだけで、相手の時間を奪うことはない。よく通信販売の案内で「FAXは24時間受付中」という文言があるが、まさにそれである。まさか24時間FAXの前に人がいるわけがないだろう。

 そして、相手を特定しなくても発信できることである(もちろん、デメリットになることもあるが)。携帯電話やメールアドレスの場合は一人一つづつ持っている事が多く、誰宛に発信するか特定しないといけない。あまり接点のない取引先とやりとりしたい場合、今の担当者が誰かが分からないと、関係ないメールアドレスに送ることになる。また、在庫や納期の確認など、誰かを特定しなくても(その事務所内の人であれば)誰でもいい内容もある。こういう確認をインターネットで分かるようにしている会社もあり、それはそれで確かに便利だが、ゼロかイチかの世界なので、イレギュラーの際の細かい部分は分かりづらい。たとえ担当者が休みや出掛けていて不在でも、事務所内の誰かがFAXを見つけ、ちゃんと処理してもらえれば誰でもいいのである。E-Mailの決めうちだと、コロナ禍で担当者が休んでいるというパターンもある中、読まれずに放置されることもある。


FAXのデメリット

 FAXのデメリットは、画質がよくない。特に斜めに読み取ってしまうと悲惨である。FAXで写真を送られて、調べて欲しい、と言う内容が来ても参考に出来ない事も多い。ただ、送る場合は、パソコンから直接送る機能を使えばきれいに送れる。普通は、送りたい文書を印刷して、FAXの機械で読み取らせるものだが、印刷時にプリンタの代わりにそのFAX(複合機になってしまいますが)を指定することで、直接送信が出来る。これだと、わざわざプリンタやFAX機への移動をせずに済み、時間短縮にもなる。まぁ、それでも、黒か白かの表現でカラーは無理なので、文字だけの情報ならFAXを使い、写真など繊細な内容が必要ならE-Mailという流れでいいのではないか。品番や数量などテキストベースが判別できる程度であれば、きれいさは求めない事も多々ある。
 紙の無駄という話は、まぁ、その紙が本当に無駄になのかどうかである。印刷した方が分かりやすいのと同じで、目の前に紙がある時点で、作業をするべきかどうかが一目瞭然だ。これの何処が無駄なのだろうか。パソコンの中に紛れて忘れる方が余程悪いし、そもそも人間という生物が地球上で無駄かもしれない。

 何故日本でFAXが廃れていないのかで言えば、結局、便利なのである。鉄道で「15分以内の遅延なら定刻」という扱いの海外の人なら、このリアルタイムさは分からないだろうね。もちろん、デメリットもあるので、上手く使い分けるべきではないだろうか。適材適所、無理に削減させる必要はないのである。


「FAXは要らない」って誰が言っているのでしょう

 インターネット(クラウド・オンラインなど)の記事ならば、インターネット屋さん(IT業者)が絡むわけで、インターネットを使ったツールを使わせた方がいいでしょうから、そりゃあ、FAXを擁護するわけがないでしょう。ウィルスや詐欺やなりすましが多いからインターネットを使うなとは言わず、OSなどを最新版にアップデートしろ等としか言いません。農家が「輸入の農作物は安くておいしいです」とか、葬儀屋が「直葬をオススメします」とか、鉄道会社が「マイカーで旅行に行きましょう」とは言わないでしょう。
 FAX云々と同時期に、印鑑も不要という話も出ていますが、印鑑を扱う業者はよくない顔をする一方で、インターネット屋さんは電子印鑑的なものが売れればいいわけで、そりゃあ印鑑不要を推し進めるでしょう。また、百歩譲って、従来電話を扱っている業者がインターネット回線を開く際に電話線を使うことも多く、インターネットに関する業務を行う会社はありますが、印鑑の業者がインターネットを扱う業者への転換はしづらいでしょうから、一度会社を廃業するくらいの業態転換をしないといけないでしょう…。
 さらに、電子帳簿保存法で、領収書の保存を電子化しろという法律が出てきましたが、喜ぶのは、手間が増えたりそのためのコストが掛かる一般企業ではなく、税金を取る側とか、電子的に保存するソフトウェアを売るインターネット屋さんです。営業活動をしなくてもほぼ強制的に使わないといけない代物ですから、楽で仕方ないのではないでしょうか。政治家が自分たちの身を切る法律を作るはずがありません。誰がその意見を発しているか、注視する必要があるわけです。




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