ラジオジャック

〜ウザい、しつこい、W杯〜

掲載日2018年07月15日
※実際にウザくてしつこいのは、W杯そのものではなく、それらを扱う各種中継のことです。まぁ、そのスポーツ大会がなければ中継もないわけですが…。

 まずはどういうことかというと、とあるスポーツ試合(W杯)の中継を、全ラジオ局が一斉に放送するため、どう見てもラジオジャックされたようにしか思えない、ということだ。テレビについてはそこまではしていない。とあるラジオ局の場合、朝のワイド番組のMCをしている元サッカー選手が、その中継番組にも出演し、そのまま寝ずに朝の番組に出演した話があったようだが、過労でどうなろうが勝手にしろ、状態である。
 この愚行は2002年に、日本(と韓国)で同大会が開催されたときから始まった。それまでは、興味が薄いか日本のチームが出場していないかだろうが、その後、06,10,14年と開催され、残念ながら日本も出場しているので、(ほとぼりが冷めるかと思ったが)記憶によれば、毎回愚行を繰り返している。
 開催国によっては時差の都合で、自分としては気にしない時間帯に放送をする年もあるが、2018年の場合、深夜帯に試合があるようだ。

 具体的に分かるように、とある日のラジオ欄を載せる。

18年6月28日(木)の番組表(radikoの番組表より)
 表示上はズレているが、全局で22時40分から25時10分(一部09分)までが、そのスポーツ中継に割り当てられている。ここに表示されている5局の他、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送も同時刻に中継を放送していたようだ。

 「普段はこの時刻にこの番組が始まるから、それまでにこれをやっておこう…みたいな制限があるが、このときはそういうことをする必要がない。」…と書くといかにも自由になっていいじゃないかという表現だが、実際、縛られるモノがないから、「気づいたらもうこんな時間」になる恐れがある。この時間帯であれば…「この番組が終わるくらいだからそろそろ寝ないとな」…という感覚がしっくりくるだろうか。

 また、たちが悪いことに、例えばTOKYO FMでは毎日、23時55分にニュースがあり、天気予報もあるが、そういう内容も一律カットされた。といって、中継が始まる前の22時35分に入れようともしない。きっと、スポーツ中継なんかより重大なニュースがあったとしても、放送はしなかっただろう。
 実際この日(6月28日)の朝、岐阜県・下呂温泉では豪雨に見舞われ、孤立地域が発生した模様である。現地のラジオではどういう放送になっていたのか、また、この中継の放送時点で、現地がどういう状況になっていたのかは分からないが、この日の夜から翌日に掛けて、下呂温泉周辺だけではなく日本海地方など、局地的に激しい雨が降るという予報はあったようだ。人命<スポーツ中継、の可能性もある。
 日本がそのスポーツの試合に勝つと、下呂地方で豪雨がやむんですかね!?

 そしてその後、日本はキヨキヨシク敗退したようだが、その後、カルト宗教の死刑囚が処刑されたり、西日本で「大雨特別警報」が発令されるほどの豪雨により死者が200名を超すなど、大きな出来事が起こった。もし、相変わらずW杯の中継をする状況になっていたら、これらはまともに報道出来たのだろうか。それとも、「これは、W杯に敗れた日本国民の悔しさが処刑に繋がり、涙が大雨になった!!!!(つまり、日本が負けなければ処刑も豪雨も起こらなかった)」という、カルトな思考をするスポーツファンが湧いてくるのだろうか。


 この愚行は、「2020年を成功に導こう!!」みたいな、金儲けしか頭にない劣った脳みそを持っているどこかに対しての忖度なのかもしれない。
 政治的には、労働者に不利な法律が強行採決されたようだが、こういうスポーツ中継のおかげで、この辺りの報道は簡単に済ますことも出来るだろうから、強行した与党としては、願ったり叶ったりであろう。きっと、2020年の夏に行われるスポーツ大会の前に、そういう強行採決を狙うべく、多くの国民に不利な法律をコッソリ考え出すかもしれない。

 決して、ナントカブルーだか分からないが、日本負けろ、と言いたいのではない。普段の放送を返してくれ、ということだけである。ただ、そのためには、試合に負けるか多くの国民がそのスポーツに対して無関心になるかである。



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