消費税を上げたい人の心境

掲載日2013年06月02日
 2013年06月現在、日本国における消費税の税率は5%だ。この先、夏頃の景気の状況を見て、2014年04月に8%に、2015年10月に10%に上がる可能性があるという。その増税を見据えて、今のうちにと駆け込みで購入した場合も、きっと、「景気がいい」と都合良く判断されてしまうんでしょうね…。
 13年05月末現在、一応、上がるかどうかは未定にも関わらず、消費税を上げたくて仕方がない政治家(や、その取り巻き)以外にも、この時点で“来年4月に上がります”と言わんばかりの話をする人がいる。


4〜5月はそういうシーズン

 では、いつ、どういう人がそういう発言をするのか。大抵の企業では4月に年度が始まり、4〜5月に年度の方針説明会等が行われる。そういう会では大抵、その集まりの代表者などが挨拶をすることになる。挨拶する内容はまぁ、ここ最近のニュースに照らし合わせたものとなるが、2012年の夏頃であれば「オリンピック」で、ここ最近は「アベノミクス」「TPP」「円安」「消費税」となる。「アベノミクス」「TPP」「円安」の話題はあえて書くことはやめるが、そしてその後続く話は、端折れば「消費増税は駆け込み需要があるから嬉しい」、という内容になる。年度が始まる日の挨拶なので、ポジティブな内容しか話さないわけだが、消費税率が上がることはポジティブになるのだ。こういう挨拶の内容は希にネガティブな話題になることもあるが、そういう時は「〜〜をはねのけましょう」と締めるが、消費税に関してはポジティブな流れになっている。
 ちなみに、そういう代表者というのは、大きな企業の上層部だったりするわけで、一般的な平社員が壇に立ち、話すわけではない。


生活感・現実感がゼロ

 一応、その高い席で挨拶をする方々も、仕事が終わればただの消費者。この8%に上がる際には、生活必需品なども一緒に上がるわけで、今までは105円で買えたお菓子に、とある時期から108円支払わないといけない。
 基本的に、消費税が上がる前の月までは、駆け込み需要でモノが大量に売れ、上がった月からはその反動で、とてつもなく売れなくなる。実態の景気が良くない今、買い控えの風潮は更に上がるだろう。
 それでも、出費額が増えたり、売上げが減るにも拘わらず、挨拶をする方々にとっては、気にしていない、関係ないので上げても構わない、と言わんばかりの発言である。
 本心では「実は…」と言うことなのだろうか?


気にしない理由

 大きな企業の上層部が、消費増税を喜んでいる理由。それは、弱い立場の者をいじめられるので、自社への悪影響はない(少ない)からである。
 消費増税をする際に、下請け企業などに対しての、消費税分の値引きを求めることは禁止する、等と新聞に書いてあったような気がする。この話は、商品を、中小企業が大企業に卸す場合だ。しかし、直接的な値引き以外については、言及されていないはずだ。値引き以外の手段で、弱い者いじめをするのである。中小企業が大企業に卸す場合だけでなく、大企業のメーカーから中小企業に卸す場合は特に、こちらが当てはまる(以降は後者のパターンについて書きます)。
 例えば、配送に関することだ。日常的な物流は、メーカーの倉庫から客先(商社など)には、配送業者などのトラックによって、商品が運ばれる。配送業者への委託にはもちろん、費用が発生する。業種によって大差があるかもしれないが、通常、ある程度の量であれば、メーカーが配送業者に運賃を払う。これがもし、消費増税で売上げが減った際、それを補填しようと、配送の制度を変える分には、何もお咎めはない。午前中必着の指定をサービスで受けていたものが別途料金を取るようにしたり、いくら以上なら送料無料だったのがその金額を値上げしたり、いくらでも出来る。その理由を、配送効率化や、地球環境対策のためと理由付けをすれば、弱い者いじめへの完全犯罪は可能である。配送以外にも、カタログなど、“効率化”できる局面はいくらでもあるだろう。壊れやすい弱い製品を作れば、消費者へも転嫁できる。
 その一方、株主などの世間に対しては、消費増税の駆け込み需要が終わったためと言い訳することが出来る。社員に対しては、ボーナスを減らすことは容易に出来る。


消費増税のメリットを教えて欲しいものです

 客に対してのサービスダウンは、客にとって、もの凄く敏感に感じ取られる。イメージダウンは、色々なところで作用し、そのときもし何か不祥事があれば、あっという間に信頼が大きくがた落ちする。
 一方、そういう大企業のお偉い人もほとんどがサラリーマンである。数年経てば定年で退職。収入は年金のみとなれば、生活のレベルを落とさないといけないかもしれない。その際、たかだか3/5ポイント、と言える余裕はあるのだろうか。
 増税により、生活の質が向上すればまだ良いが、向上できるのは官僚と政治家だけしか思えない。消費増税というのは、増税して、経済を冷え込ませて、各団体から「減税や補助金が欲しい」と請願させて、その代わり国の要求を聞かせるための手段なのだろうか。




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