5年が経過しましたが…

 尼崎線の鉄道事故(以降 尼崎事故)から5年あまりが経過しました。その後、国内ではJR東日本が新潟での脱線事故を起こし、最近(2010年夏)では海外でも日本人が亡くなる観光列車の脱線事故も発生しました。今のところ、天災の類を除いてJR西日本では大きな事故は起こっていません。
 現在では、尼崎事故の件で言えば、事故そのものと言うより、会社内、と言うよりも上層部の不祥事を取り扱う方が多いようです。


今頃の話題

 事故後の上層部の言動には、呆れるというか、事故後も自己保身しか脳がないとしか言いようがありません。事故そのものも怖いですが、そういう上層部がいる会社が、普段、日夜列車を動かしていると言うことも、なんだか恐ろしいです。これで本当にまともになれるのでしょうか...。
 一方で、この5年の間、事故防止への取り組みについての報道があまりされていないように思えます。それはおそらく、報道する立場の人(マスコミ)が無関心になってきているからではないかと思いますが、まさか、新型のATSを設けて、ダイヤをいじって、事故現場付近では速度を落とすだけしかしてない、と言うことはないのでしょうね。今更、日勤教育はないとは思いますが、少なからず、ダイヤが狂った際の懲罰制度は残っているのかも気になります。
 どうやら、運転室内の防護無線ヒューズの盗難事故を見る限り、あまり変わっていないようにも思えますが…。


「現場は頑張っている」似たような事例

 批判的な意見をお持ちだった方は、おそらく、「このサイトは今後もう見ません」というメールをお送りになったり、そもそも特別席には興味のない方々が大半だと思うので、今更ご覧になっていないと思いますが、批判的な内容を書いた方々の多くに、“現場は頑張っています、温かく見守って欲しい”というニュアンスのメールが送られてきました。

 今回は他社の例です。JALの話です。経営破綻し、その後、現場の方々は、色々な罵声を浴びたりもしながら、定時到着世界一(これは2009年の話ですが、一朝一夕で達成は出来ないでしょう)にもなる位、現場の方々が頑張っていらっしゃいます。(国内線)JALファーストクラスのサービスが、その後もほとんど質を落とさずにいられていることが、頑張っている大きな例です(機内食などの目に見えるクオリティではなく、乗務員などの接し方を含めてです)。ただ、ライバル他社の社長が余計な一言を言ったり、有楽町のJAL PLAZA前で社員がチラシを配るなど、かわいそうな出来事もありますが…。
 このような「現場は頑張っている」事例は、JALの場合は飛行機に乗らなくても色々報道されているため、比較的把握しやすいですが、JR西日本の、「現場は頑張っている」事例は、なかなか報道はされていませんでした。ただ黙々と日々の業務をこなすだけでは、きっと放送されにくいでしょうし、駅構内や車内での取材は、きっとJRが嫌がるでしょうからなかなか取材できないでしょうが…Webサイトを通じるなどして、もうちょっとPRしても良かったのではないかと思います。一時期、始発駅を発車する前の特急列車で、飛行機の「操縦室よりご案内します。」ではありませんが、運転士からの放送があったことはありました。安心感を与えるという意味では、小さいものの悪くはないと思います。
 5年前は、JALの凡ミスが頻発していましたが、現在ではほぼなくなっています。搭乗率が落ち(安全性だけの理由ではありませんが、多くの人がJALを利用するのをやめたわけですね)、危機感を感じた社長始め、労働組合の垣根を越えて、全社一丸で取り組んだ結果ではないか、と思われます(テレビ東京の番組で、そのような放送がありました)。

 JALの件について、5年前、「JR西日本の現場は頑張ってる」と書いた方々は、どう思われるのでしょうか。死者の有無こそありますが、不祥事や、余りよい出来事ではない後の交通機関の現場の様子という意味では、JR西日本もJALも同じです。ということは、当時、頑張っている云々書いた方々は同じく…
  ・伊丹や関西からも多数の便を飛ばしている、JALを応援していますよね?
  ・実際に乗る際は、空港のGHさんやラウンジ係の方、機内のCAさんに、応援の一声を掛けていますよね?
  ・応援するためには、飛行機に乗るとき、まさかJALグループ以外の航空会社を使うはずがありませんよね?
  ・応援するためには、率先して、国際線上級クラスに乗りますよね?
  ・応援するためには、沖縄や北海道に行くのに、まさかパックツアーの包括運賃などの安売りきっぷなんて使うわけありませんよね?
  ・応援するためには、大阪から東京に向かう場合、まさか東海道新幹線を使ったりはしませんよね?
  ・まさか、大阪〜福岡、大阪〜但馬線などで重複するからという理由だけで、応援していないなんて事はないですよね?(現在ピンチなのはJRではなくJALですよ)
 まさか、JR西日本を応援している(していた)方々は、無関心だ、とは仰ることはできないと思います。関東のお前には分からないとか、地元だからと大阪周辺を走るJR西日本は応援しておきながら、同じく伊丹・関西を発着するJALを応援していなかったら、単なる鉄道オタクの戯言という話だったのでしょう。神戸空港に路線があった頃までは応援していたが、神戸空港から撤退してからは関心を持たなくなった、のであれば、仕方のないことですが…。
 私の知り合いにはいませんが、大体、鉄道以外に趣味を持たない人は、余所のことには無関心という人が多いようです。だから鉄道オタクはバカにされることもあるんですよ。メールをお送りいただいた方の中には鉄道会社の乗務員らしき方からもお寄せいただきましたが、同じような境遇のJALを、もちろん応援しているに決まっていますよね?まさか、無関心なはずがありませんよね?鉄道車両の運転士であろうが、それが単なる職人気質に見えると言うだけで、利用を含めて応援しなければ、鉄道会社が嫌ってやまない鉄道オタクと同レベルです(もちろん、鉄道業に従事する人が全員そうではありませんが…)。

 “温かく見守っていて”と言う話については、調理中に「火を見ていて」と言われ、火が燃え広がってもじーっと見ているという話と同じニュアンスで書かれているように感じます。この先不祥事があってもドンマイ、死者が出てもドンマイ、自分の家族が事故に巻き込まれてもドンマイなのでしょうか。鉄道オタクの方々は大好きな鉄道が走ってくれればそれでいいのでしょうから、どんなトラブルにも寛容だとは思いますが、そんな事故を起こす会社が、何時何をしでかすか分かりませんから、私はそこまで心は広くありません。


JALを利用する人が減ったから改善するようになった

 上記に、斜体でJALを利用するのをやめたと書きましたが、その結果、当時あった凡ミスは発生していません。当時、国内線・国際線上級クラスが貧弱だったJALは、凡ミスも手伝い、利用率が下がりました。それに対して、上記に書きましたが、社内の風通しを良くすることで、凡ミスは減っていきました。これがもし、利用率がそのままだったら、風通しをよくしよう、上級クラスの質を上げよう、などとは思わなかったかもしれません。
 つまり、このページの以前のコーナー名(JR西日本を、利用するのはやめましょう)に対して批判的な考えを持った方々には、利用を控えることも、会社を良くする例だと言うことを知っていただきたいです。ところが実際は、生活に密着していることが多い鉄道の場合は、それが難しく(使わざるを得ず)、客の意見が通りづらいと言うこともありますが…「殿様」と言うことです...。

 JR西日本はどうでしょうか。決してこのサイトに書いたくらいで利用率が変化したとは思えませんが、5年経って大事故は起こっていません。JALと違って、経営環境が大きく変わったり、合併したわけではない(当時、日本エアシステム=JASとの合併もあり、社内の意思疎通が取れなかった等々の背景がある)から、通常通りに戻っただけかもしれません。ただ、特に地方はライバル他社がおらず、殿様になっていくことで、ほとぼりが冷めないことを望みます。
 ではなぜ、当時は当サイトで、JR西日本だけやり玉に挙げて、JALは何もしなかったか…JR西日本上層部の、改善しようと思っていない、逃げている姿勢(尼崎線事故の概要参照)が気にくわなかったからです。


改悪でも喜んで乗りそうな人たち

 このWebサイトは、決して鉄道のファンサイトではないのにもかかわらず、何故か、ファンサイトだと思われている方のメールが多かったです。どちらかと言えば、現状は、利用客に対しての改悪が多い鉄道=JRに対しては、アンチサイトに近いのですが…。利用者である私だってもちろん、ファンサイトになるくらい、良くなってもらいたいものです。
 当サイトに対して批判的な文章を書いた人の特徴に、メールアドレスやハンドルネームに、鉄道に関する用語を用いた、10代男性が多く、鉄道会社を擁護しているようでした。鉄道会社のやることは総て正しいと思われているようです。なんだか、右に倣えと言うか、国が戦争をやると言い出したらまんまと騙されて喜んで兵士になるような印象で、若干気味が悪かったです。一部、私鉄の対応の方が悪い、と言う意見もありましたが、JR西日本に対しては右に倣えのまま…。
 きっと、これはJR西日本に限らず、割引きっぷなどが制度改悪したり、ダイヤ的に不便になっても、もっと安かったり時間的に便利な代替手段に乗り換えるようなことをせずに、何の疑問も持たずにそのまま使い続け、鉄道会社のいい鴨になっていくんだろうなぁ、ということです。国や企業のお偉いさん方は、操りやすいと思いますけれども。
 「10代男性」も中にはその後、学生から社会人になる人もいらっしゃると思いますが、この事故についての考え方に変化はあるのでしょうか。決して、このサイトの意見に同意しろとはいいませんが、その後、擁護一辺倒ではなく、考えが変わってもらわないと、この国はどうなってしまうのでしょうか。一言で言えば、ちょっとくらいは批判の目を持っていただきたい、と言うことです。



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