路線バスの回数券(主にリムジンバス)
掲載日 | 2019年09月15日 |
追記 | 2021年01月17日 |
消費増税のどさくさ紛れ
2019年10月に、消費税が8%から10%に増税するという話がある。
増税後の買い控えを防ごうと、キャッシュレスでポイントがどうのこうのという、政府を忖度したんだろうな、というニュースが多い一方、余り扱われないネタがある。路線バス(リムジンバス含む)の回数券である。
まずは、19年10月以降の変化を記載する。
東京(京急バス)の場合
基本的に制度は変わらないが、路線によっては10月以降回数券を廃止する路線がある。
また、路線としては回数券は残るとしても、例えば、空港〜A〜B〜Cという順序で止まる路線で、空港〜A間が200円(増税後は210円)、B間が300円(同310円)、C間が400円(同420円)だとする場合、今までは、200円券×10枚+100円券×10枚などにして、AもBもCも使えるような組合せだったり、A用、B用、C用それぞれ向けの券が売られるようになっていた。
ところが19年10月以降発売する場合、420円×20枚とか、A用、B用の回数券を廃止するようなリリースを見かけた。
(2020年05月追記)そのため、減税前に慌ててバス乗り場に行き、運転士から回数券を買ったところ、今までは、印刷所に頼んだような、一回印刷を頼んだら相当数発行しないとダメだろうなぁという(値段が変わったら無駄になりそうな)紙だったのが、この時はバスの営業所の券売機でその場で印字したと思われる、もしまた値段が変わったとしてもそんなに無駄にはならないような紙で発行されていた。それでも廃止したバス会社の主張を是非とも聞いてみたいものである。
大阪(大阪空港交通)の場合
単純な増税分の値上げだけではなく、購入してから1年間という有効期限まで設定するようになってしまう。11枚綴りなので、年に5往復以上その路線を利用する人限定になる。回数券の廃止は、1路線のみあるようだ。
大阪のリムジンバスの場合、どんな出先(東京の例で言えばA,B,C発)でも、事前に、バス乗り場の近くにある券売機で購入する必要がある。回数券を持っている今までは、とりあえず乗り場に行き、回数券を取り出せばよかった。
しかし増税後になるとそれが出来なくなる。もちろん出発時間まで余裕があればいいし、出先発の場合は券売機と乗り場は近い(場合が多い)ので、「待って」と叫べば気付いてくれるかもしれないが、一方で空港発の場合はバス乗り場と券売機は隣接していない。券売機に寄ることによって乗れなくなる危険性がある。
あれ、消費税の転嫁だけなのに、こういうとこまで改変しちゃっていいのかい?と言う気がする。
もし、回数券を使っている場合
上記は空港のリムジンバスについて書いたが、他の路線バスでも似たような事例があるかもしれないので、各バス会社のプレスリリースは見ておいた方がいいだろう。
羽田空港に行くとき、自宅との往復でリムジンバスを使うが、上記の420円×20枚のパターンになってしまう路線のAまでを使っている。10月以降も、増税前の回数券に追加料金を払うことで乗ることが出来る。今の内、買いだめしておかないといけないだろう。ただ、9月より前に売り切れたら怖い。
一方、大阪の回数券も持っている。大阪へは年に1〜2回行く程度なので有効期限内には使いきれない。しかも必ずしもその回数券の路線に乗るとは限らないので、今後は買うことはなくなるだろう。
増税後から数ヶ月間は、増税前の回数券が追加料金なしで使えるが、その数カ月が過ぎると使えなくなり、払い戻ししないといけなくなる。なので、増税前に買っておいて、差額支払いというわけにはいかない。この場合は大阪空港交通に有効期限廃止をひたすら懇願するしかない(懇願は、上記の京急バスも同じことだが)。
結局ICカードの弊害もあるかも
おそらく、回数券をなくす理由は、バス路線そのものは廃止がないと言うことは、回数券の利用者が減ったからと言うのもあるのかもしれない。ICカード利用者が増えていることがその背景になっている可能性がある。
ICカードは、私自身は信頼できないから使わない。振替乗車ができないなどのリスクはあるのに、現金で払った場合と比べて値段に大した差が無いという値段のリターンが少ないわけだ。ちなみに台湾はICカードで乗車すると2割引になる(トラブル発生時に振替があるかは分からない・その後この制度は廃止されたようです)。
ICカードの影響、現実になってしまう(2021年01月追記)
この文書の掲載時はまさかそうなるとは思わなかったが、懸念していた事象が現実とものとなってしまうようだ。
京阪では20年12月末で普通回数券・時差回数券・土休日回数券がなくなり、JR東日本は21年3月と6月末に新幹線用の回数券が廃止される。その元凶であり、割引についての代替(?)とするのが、いずれもICカードである。ちなみに20年前は、首都圏向けの回数券が廃止されたが、これも元凶はICカードだ。
回数券が使えなくなると言うことは、増税とは別の、事実上の値上げでもある。安く使うためにはキャッシュレスのポイントの話だけがクローズアップされているが、今の時点で安く使える回数券があることも意識して貰いたい。ちなみに、その「ポイント」は、サービスを提供する業者への還元であり、例えばICカードで100円相当の100ポイントが貯まっても、その100ポイントは他業種(航空券等々)に割り当てることが出来ない。再びその胴元の懐にはいるわけで、自分達の利益をちょっとだけ貸しているようなものである。
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