駅での人の流れ(エスカレーターを筆頭に)

掲載日2014年09月07日
追記2018年12月30日
 新聞の投稿欄で、エスカレーターの片方(関東は右側・関西は左側)を空けて、急いでいる人を通すことについて、時々投稿がある。怪我や脚の具合が悪く、右側にひじをつく必要があるなどの理由だ。それに対して、いくつか反論させていただきたい。エスカレーターのメーカー側としては、片方に重みが偏る設計をしておらず、緊急停止時に危ないとのことだが、一言で言えば、日本の技術力は、そういう事象を解決できるからこそ日本ではないかと思う(なので、正直、甘えないで欲しい)。
 ※以降は原則、関東側(右側を空ける)として話を進めさせていただきます。

 ではなぜ、それでも、片方が空き、人が歩いて通るのだろうか。
 勝手に動いてくれるものを、あえてそこを歩くわけで、急いでいるわけである。何故急いでいるかと言えば、未だに良くならない景気の中、会社の人減らしで、一人一人の仕事の負担が多く、移動に余裕を掛けるわけにはいかない、という事情もあるように思う。一方、投稿欄の属性を見ると、無職(リタイア含む)の方による投稿が多い。


 急いでいるなら階段を使えという投稿がある。しかし、駅にある階段は、多くの人が使えるように、「段の高さが低い」。そのため、通常よりも小走りで段の上り下りをしなければならず、転ぶ可能性がエスカレーターよりも高い。ちなみに私の場合、エスカレーターの段の高さは、歩くのに都合がよい高さだ。2011年の春頃、節電という言い訳で、エスカレーターを停止していたが、階段として使わせて欲しいなぁ、と思ったほどだ。

 この図は、もし、(自分以外の)人がこういう状態で昇降していて、自分が急いでいる場合の、昇段ルートである(緑線)。上移動の他、左右にも移動しないといけない。

 では、その分早く行けば良いではないか、と指摘する人もいるが、世の中それほどうまくはいかない。乗り継ぎの都合で、急いでいかないと次の列車(便)まで数十分掛かる、という乗り継ぎもあり得る。そりゃあ、2時間早く出れば間に合いますよ。ただし、そこまで暇ではない。しかも、JR東日本を筆頭に、遅れが頻発しており、余裕を持って出たつもりが、気付いたら急がないと乗り継ぎが危ないことも多々ある。最近になり、鉄道会社がエスカレーターの歩行云々のポスターを貼りだしたが、「車両点検」や「信号点検」という名の故障を起こし、列車を遅らせる鉄道会社に言われる筋合いはない。エスカレーターを歩かせる背景には鉄道会社の怠慢もある。また、定刻通りであっても、乗り継ぎを考慮していない駅や路線もあり、たちが悪い。

 急がなければならない理由がもう一つある。それは、平地も階段も含め、「歩いている人が遅い」。色々な事情はあるにせよ、足が遅い人、横一列になって話をしながら、電話をしながら、とにかくノロノロ歩く人が多い。ノロノロ歩いている人が縦一列になっていればいいが、大抵、バラバラに歩いて、急いでいる人を妨害する。その中で唯一の“追越車線”がエスカレーターなのである。エスカレーターでは、横一列の学生も、電話中の無職も、左側に立っている。その中を我々は、平地で速度が遅い分、エスカレーターで遅さを回復するわけである。まぁ、ノロノロ歩いているような輩が、エスカレーターで歩く可能性も、否定はしないが…。駅構内に、ノロノロ歩いてはいけないゾーンでもあれば、エスカレーターでそこまで急ぐ必要もないかもしれない。

 この図は、追い越し通路を設け、遅く歩く人は必ず両端を歩かねばならない場合。赤色のゾーンでは、ノロノロ歩行は禁止。もちろん、通路も含めての設置。こういう階段や通路であれば、急いで移動することが出来る。

 私自身、急いでいるときは、作為的に右側で立ってて遊んでいる人でない限り、無理に右側を通ろうとまでは思わないが、エスカレーターを降りてから、ジグザグで通ることになる。ジグザグ歩くと言うことは、左右に振るときの遠心力で荷物が当たるかもしれない。エスカレーターがなく、急いでいるときは、のろい人や、逆送している人の合間を縫って、ジグザグすることになる。何かのトレーニングだろうか。
 エスカレーターを歩くなと言う前に、鉄道会社も、ノロノロ歩いているであろう投稿者も、急いでいる人もいることを考えてから、エスカレーター云々の発言をして欲しいものだ。(階段を)歩いている人の横を追い越すより、(エスカレーターで)止まっている人の横を追い越す方が、安全だと思うんだけどなぁ。


図々しいJR東日本(2018年12月30日追記)

 2018年12月から翌年2月まで、JR東日本はエスカレーターを歩かせたくないためのキャンペーンを実行しているようだ。

 田町〜品川間の新駅の名前を公募したら130位の高輪ゲートウェイ駅を選んだり、座席も客室も狭くして質を落とすグリーン車など、客の要望に応じない一方で、エスカレーターの通行を守れと指図するJR東日本は、相変わらず図々しい。

 右手しか使えない人については、決して左に無理して寄れとは言わない。左に立っている前の人と2〜3段空けて右側に立ち、後ろの人も2〜3段空ける気遣いをすることで、ジグザグ歩行にはなるが、通行の障害にはならない。危ないという人もいるが、上で書いたとおり、全員が歩くために速度も違う階段が安全とは思えない。“急いでいる方は階段”と主張しているが、じゃあトロい奴を蹴落としていいのだろうか?
 もちろん、利用者が減ったタイミングで乗ると言うのもいいと思う。エスカレーターが混雑するのは列車が到着した直後だけで、2〜3分で次の列車が到着する通勤時間帯でなければ、少し待てば空くので、左だの右だのということもない。




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