何、一等車ごっこしてるの!?

 今回は、事業会社とは関係ない話だが、「特別席研究所」と関係ありそうな題名である。今のグリーン席はクロスシート(枕木に平行している)だが、昔の列車は、一等車でもロングシートだった(下部の補足をご覧ください)ようである。普通車との違いは、細かいことはよくわからないが、肘掛けの有無や一人分の座席の幅である。たとえば二等車(現在で言えば普通車)では6人分の幅を、一等車では5人分しか占めないわけである。“普通なら*人分を*人で占めてしまう”...どこかで聞いたことはないだろうか。通勤列車などでの話である。山手線などの通勤車両の、車端部以外の座席は7人掛けである。それを、6人で占めてしまうのである。これを、「一等車ごっこ」と名付けることにした。普通の座席よりもゆったり出来るわけで、まさに「一等車気分」を味わえるわけである。
 私の場合は、別に普通車でよいので、それなりの定位置に座っている。また、目の前で6人で座っていて、入れそうならば、無理矢理に近いが、間に入る。よく「無理矢理入るのはマナー違反でよくない」と言うが、一人分の料金で、一人分以上の座席を占めるのは、大げさに言えば無賃乗車ではないか(グリーン料金を払わないでグリーン車に乗るようなもの)、と思う。着席定員を守らないで立つ人を増やして混雑させるのと、まだ座れるからと多少強引に入るのと、どちらが悪いのだろうか。その一方で、「すみません」と言って席を空けてもらうこと自体が、本来間違いなのである。決して無理を承知で頼んでいるのではないのだからだ。しかし、結局は「座りますよ」という意味を込めて、何かしらの言葉を発しないと、空けてもらえない(気付いてくれない)のではあるが...。
 座っている6人が分担して7人分の料金を払っていれば、文句は言わない。しかし、そこまで律儀にする人は、きちんと7人分で座れるように配慮するはずである。また、そんなにゆったり座りたければ、それこそ特急列車やグリーン車にでも乗って欲しいものである。それが、東京〜上野間程度でも新幹線に乗って、である。ところで、秋田新幹線を代表とする一部の特急列車は、グリーン車であっても普通車と同じ横の列数なので、その「一等車ごっこ」の方が贅沢しているような気がするのは気のせいだろうか。

 補足:明治後半の客車は四輪客車(現在の貨車にあるようなタイプ)で、車両を半々にして片方を一等車、もう片方を二等車と区分していたようである。定員は、床面積は同じようだが、一等車は10名、二等車は12名、と言う状態で、いずれもロングシートだった。(鉄道ピクトリアル・1998年2月号を参照しました)





批評文のインデックスに戻る