LQC化のますます進むJR東日本・2015年03月に変化
〜12年しか続けなかったか、12年も続いたか〜
LQCとは、ロークオリティキャリア(Low Quality Carrier)の略です。ここ最近台頭したLCC(ローコストキャリア)に対して出来たような言葉で、良くも悪くも「安かろう悪かろう」のLCCに対して、質は低いが値段は高い交通機関のことを指しています。JR東日本は、昔からLQCとしておなじみではあるものの、更に質の低下に拍車を掛ける発表がありました。
JR東日本が、2015年01月16日に出したプレスリリースをご覧ください(http://www.jreast.co.jp/press/2014/20150110.pdf )。下部と同じ内容のPDFファイルです。見やすいように、体裁は若干変えています。
2015年1月16日
東日本旅客鉄道株式会社
一部の新幹線・在来線特急列車の車内販売サービスと
新幹線「グリーンアテンダント」によるサービスの終了について
新幹線、在来線特急列車で営業しております車内販売について、お客さまのご利用状況を踏まえ、次の列車で営業を終了いたします。
また、一部の新幹線で実施しております「グリーンアテンダント※1」によるサービスについても終了いたします。
1 車内販売の営業終了
(1)対象となる列車
新幹線
「なすの」、「たにがわ」、「つばさ(山形〜新庄間)」
在来線特急列車
「フレッシュひたち※2」、「成田エクスプレス」
(2)サービス終了時期
2015年3月13日(金曜日)
2 新幹線「グリーンアテンダント」によるサービスの終了
(1)対象となる列車
「はやぶさ」、「はやて」、「こまち」
(2)サービス終了時期
2015年3月13日(金曜日)
※1 「グリーンアテンダント」
グリーン車のお客さまへのサービスを専門に行うスタッフ
※2 「フレッシュひたち」は3月13日で運行を終了します。なお、3月14日から運行を開始する「ときわ」は車内販売の営業はいたしません。
1の「車内販売の営業終了」は、昨今、JR東日本の特急に関わらず、多くの列車でなくなっていっています。これについては、ここでは深くは書きません。列車を止めてでもエキナカを使いたがらせる会社のようですから、それほど驚かない印象もあります。小田急・ロマンスカーなど、車内販売に好評な列車もある中、車内販売を廃止するのは、売るためのアイデアを考えていないのかもしれません。
ここでの話のメインは、2の「新幹線「グリーンアテンダント」によるサービスの終了」です。これにより、東北新幹線開業から約33年間続いたグリーン車のドリンクサービスが、なくなることになりました。上記には、直接的にドリンクサービスがなくなるとは書いていませんが、なくなると考える方が自然です。93年頃の時点でホットコーヒーと温かい緑茶が、01年頃は紙パックの緑茶・ウーロン茶・コーヒーがサービスされた記憶と記録があります。そして2002年になると、サービス対象の列車は減らされたものの、用意される飲み物の種類は増えます。ちなみに国鉄時代は、茶菓子も出たそうです。2015年01月現在のサービス様式は、02年12月以降のものとほとんど変わっていないはずですが、(JR東日本らしく)12年で終わってしまったか、(JR東日本の割には)12年も続いたか、これは人により捉え方は違うでしょうか。
2011年03月に、グリーン車よりも上級の「グランクラス」が出来ました。デビュー当初から、現在出ている軽食がなくなるなど、何時サービスが劣化するかという話が出るほど、JR東日本のサービスには期待されていません。今回のプレスリリースを見るとグランクラスには変化はないと思いがちですが、何らかの影響を考えると、15年01月現在、グランクラスの用意している列車の場合、客室乗務員は3名乗務していると推測しています。グランクラス専任、グリーン車専任、車内販売担当です。仙台では、上り下りとも乗降客があり、グランクラス専任は、10号車のデッキに出て乗客の出迎えをする一方、グリーン車専任と車内販売担当の2人で、仙台から乗る乗客のために、仙台で降りた乗客の席を片付けていました(2012年03月現在)。ただ、仙台で降りる人が席を立ち上がり、仙台から乗る人が席に座るまでの時間は短くて1分弱。通路で待たせていました。おそらく、このうちのグリーン車専任がいなくなるのではないかと思います。となると、1人で片付けをするわけで、時間が掛かり、更に待たせるように思えます。これで「国内新幹線初となるファーストクラス」とか豪語しているわけですから、JR東日本の関係者は、どれだけ(本当の)ファーストクラスに乗ったことがないかが分かります。グランクラスがお粗末で、対象客であろう(本当の)ファーストクラスに乗るような人から支持されず、利用者が少ないのではないかと思いますが、JR東日本とすればドリンクサービスを受けたければグランクラスにでも乗れと言いたいのかもしません。
ただ、JR東日本ばかりを悪者にしているこのページですが、少々気になるところがあります。JR西日本が絡むと、ドリンクサービスがなくなるのではないか、と言うことです。同じ出来事は数年前も起こり、2010年3月に、JR九州の在来線特急のグリーン車から、ドリンクサービスがなくなりました。その一年後には九州新幹線が開業しましたが(グリーン車の連結した列車が、走るようになったというニュアンスです)、一年間の間隔があるとはいえ、無関係ではなさそうです。
景気が良ければ、サービスを良くします。バブルの頃は、国鉄民営化直後と言うこともあり、色々とサービス向上を目指していたものの、今もその精神が残っているのはスーパービュー踊り子号しかありません(これはこれで凄いですが)。政治家の一部は、これでも景気がいい(この先良くなる)と仰っているようですから、何を見ているのでしょうか。
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