誰にとっての
「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく計画」?



 JR東日本では、11月末をもって、表題の「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく計画」によって、たくさんのトクトクきっぷが姿を消した。これまでトクトクきっぷが姿を消した例は多々あるが、今回の「計画」ほど、意味不明で腹立たしい物はない。表題の通り「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく」と称するならば、キップの名称を変更したり、キップの図柄や表示を変えるなどすればそれでよいではないか。それがなぜ、キップの廃止という方向に行ってしまうのか。
 具体的に言うならば、「スーパーホリデーパス」と「ツーデーパス」である。いずれも今回の「計画」で姿を消してしまった。なぜ、「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく計画」のために廃止されてしまったのか訳が分からない。
 このことを池袋駅のお客さま相談室へ電話で問い合わせたところ、「元々の役割を終えた」とか「同じ系統のキップがあって煩わしいから」とか「利用率が悪い」いった、もっともらしい、さも正当化するような回答を得た。「役割を終えた」とはいったいどういうことなのだろうか。まったくわからない。「同じようなキップがあって煩わしい」というのも、勝手な言い分であるような気がする。
 確かに「東京自由乗車券」のように、毎日山手線内乗り降り自由のキップはあるけど、スーパーホリデーパスほど、使い勝手はよくない。それよりも、名前がまったく違うのだから、区別はしやすい。「利用率が悪い」というのも、果たして本当だろうか。某HPで調べたところ、スーパーホリデーパスは、利用者数が群を抜いている。やはり、これも嘘であった。
 スーパーホリデーパスは、私の住んでいるところ(栃木県北部)からだと、東京へ往復するだけで元が取れるキップであった。そんな、利用者が得するような、言い換えればJRが損するようなキップだから廃止されてしまったのではないだろうか。それならいっそのこと、「このようなキップを発売してはJRの経営を圧迫してしまうので、やむを得なく廃止させていただきます。」とでも言っておけば、利用客の同意を得ることだってできただろうに。
 それに、利用客には今回、スーパーホリデーパスが廃止されることが周知徹底されていなかったようで、ある駅などは、12月中旬になってからようやく、廃止の旨を伝えるポスターを張り出す始末であった。
 「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく」などと、気取るな、かっこつけるなと言いたい。
 ついでではあるが、平成8年春から「青春18きっぷ」を、それまで5枚綴りだったのを、1枚に集約してしまった。これも、ばら売り防止対策ではなかったのか。
 目先の利益にだけ目を奪われるような営業をしていては、JRそのものの存続だっておぼつかないのではないか。





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