信頼できないPASMOで交通機関に乗れるだろうか

掲載日2008年03月15日
追記2009年12月15日

パスネットは、2008年1月10日をもって販売をやめ、
3月14日に自動改札機での利用を停止する。


 …見出しは「PASMO」という、非接触型ICカード乗車券のことにも拘わらず、なぜ磁気カードのプリペイド乗車券の話から入るか…

 それは、私鉄内で、都度切符を買わずに改札できた乗車券は、2000年10月に開始したパスネットしかなかったが、2007年3月18日にPASMOが登場し、シェアを増やした結果、それまでのパスネットの利用者が減ったためである。

 私自身、パスネットを使ってきていたが、それで、ハイそうですかPASMOに切り替えましょう、と言うほど甘くはない。当分の間は、PASMOに切り替えたくないのだが、なぜなら、PASMOは信用できないからである。


 例えば、普通に切符を買うよりも、PASMOを使うことで安くなる場合、例えば5000円チャージして500円分プレミアが付けば、ハイリスク・ハイリターンではあるが、そういうわけではない(ハイリスク・ローリターンとなる…ハイリスクは後述)。色々ポイントはあるようだが、その場ですぐ使えるわけではなく、たまらないと、恩恵を受けられない。
 一方、便利さという話はある。確かに、2008年3月15日より、複数の会社にまたぐ定期券の範囲が従来より拡大されたりと、PASMOだけの恩恵もある。しかし、それ以外の手段ではPASMOデビュー以前より不便になっていることも多く(券売機の台数減など)、必然的にPASMOが便利に感じているだけの局面もある。また、改札機に入れるか、改札機の上に触れるかの違いはあるが、パスネットでも十分である。

 これは他のICカードでも同じことだが、装置に近づいただけで金額が引き落とされてしまう。すると、新手のスキミングが行われる可能性も十分ある。

 しかし、問題はさらに、PASMOだけに存在する欠陥…
読みの甘さである。
 読みというのは、経営的な判断や方針などであるが、どうやら、小さく読み過ぎていたらしい。

 読みが甘かった結果何が起きたか、まずは、2007年4月11日に発表し、翌12日に実行された、PASMOの発売中止である。

 決して、ICチップの生産が間に合わなかったなどの、外部的な理由ではない。読みが甘かったのである。プレスリリースには、「想定以上の極めて早いペースにより発売が進んでおりますため、このままではカードの在庫が僅少となることが避けられない状況です。」と、開き直っている。しかも、この復旧が2007年9月10日と、数ヶ月かかってしまった。

 読みが甘かった事例は、もう一つある。それは、発売当日、11万枚という枚数限定で発売記念PASMO(共通利用できるようになったSuicaのペンギンのキャラクターと、PASMOのロボットのキャラクターが一緒に描かれたもの)が発売されたが、その限定数があまりに少なすぎたことだ。今までの限定パスネットはその日中であればまだ買えたりしたが、記念PASMOは、発売開始1時間程度で売り切れていたものと思う。鉄道マニア向けであれば、その枚数でもいいのかもしれないが、デザインが受けたのか、関東周辺の、マニアではない人も買うようになり、結果、すぐに売り切れ、買えなかった子供が発売箇所で泣くなども発生していた。散々煽っておいて「売り切れです」というたちの悪い商売だ。
 また、2007年3月のスタート前から散々PRしていた記憶がある、カード内の残高が減るとクレジットカードを利用して自動的に補充される「オートチャージ」は、スタートから半年が過ぎた2007年9月29日に、ようやく使えるようになった。
 詐欺に近いものだろうか。


 CMなどで煽っておいて、販売中止にまで追い込まれたのは、Suicaやパスネットをそのまま使う人が多いだろう、と高をくくっていたのだろうか。読みが甘いと言うことは、この先起こりうるであろうリスクやトラブルに対しても甘いと思われる。二重搾取やバグなど、ICカード特有の問題など、何が起こるか分からない。しかもその対処について、株式会社パスモなどは、半年後の対処になるなど、後手後手にもなりかねない。リスクが高いわけである。

 普通の買い物であれば、そのまま現金を出せばいいものの、列車に乗ろうと急いでいるときに、何かのトラブルが発生したとき、列車に乗れない可能性も十分ある。ちなみに、共通利用できるSuica=JR東日本の場合、コスト削減第一という社風等々を見ると余計信用できない。実際、過去に二重取りなどをしていた事件もあったはずだ。

 このまま何年か運用していき、大きなトラブルや、そのフォローが即・完全解決であれば、私自身も使っていくだろうが、今の時点では、怖くて手が出せない、と言うのが正直なところである。元々パスネットも、PASMOも同じ会社が運営しているようではあるが、パスネットの場合は、単純に、事前に磁気カードを買い、しかも裏に記録が残るが、PASMOの場合はそれを繰り返し利用し、明細などはカードを見るだけでは分からないため、情報隠匿とまではいわないが、消えてしまう可能性もゼロではない。


振替乗車にも要注意

 ちなみに、普通乗車券の場合、人身事故などにより、乗ろうとした路線が使えなくなると、振替乗車と言って、遠回りでも、乗ろうとした路線・区間の乗車券の金額で遠回りできる制度がある。例えば、渋谷→池袋間を、JR山手線(\160)で乗ろうとしたとき、山手線が運転見合わせたとする。そのまま振替乗車票をもらえば、地下鉄副都心線の同区間(\190)に乗れるというものだ。
 パスネットは対応していたが、PASMOやSuicaはそれには対応していない。道のり=遠回り分の代金(上記の例では\190)を支払わないといけないというのが、原則的なルールである。
 定期券を使うときなどは扱いが違うようだが、トラブルの最中、それを盾に「通常通り払ってください」という空気が読めない駅員は、いないと信じたいが、振替乗車について説明してあるパンフレットには不可能な旨記載してあり、世の中、そうとは限らない駅員もいらっしゃるので、気をつけた方がよい。


バス共通カードもなくなる

 CMで「電車もバスもパスモ」というPRの通り、PASMOが私鉄やJRで開始になったと同時に、バスでも使えるようになった。ところが、2010年頃に、私鉄のパスネットと同じ道を歩むようである。バスの場合、上記のデメリットの他に、もう一つ、目に見える大きなデメリットが発生する。
 バスでは、私鉄のパスネットのように、「バス共通カード」という磁気カードがあるのだが、これが2010年頃になくなる模様である(バス会社により時期は様々)。大きなデメリットというのが、「プレミア」である。バス共通カードでは、5,000円の券を買うと、5,850円分使える。もちろん850円には特に有効期限もない。一方でICカード化することによって、このプレミアが、有効期限の付く、沢山バスにでも乗らない限り利用価値のないものに変わってしまう。詳細は、関連する新聞記事をご参照ください。


サイト公開(08年3月)後の「不信事項」

08年09月 バス運賃二重取り(結局はバス運転士への教育不足か、分かりづらい操作方法による誤操作)
09年11月 10年を目安に、バス共通カードが廃止・PASMOに切り替えさせる




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