バカに出来ない駅そば
(お詫び) 何となく宣伝っぽくなってしまうことをご了承ください。昨今のコロナ禍で、外食産業も大打撃を受けていますが、外食産業への応援の意図がないわけではありません。
時々使う、とある駅の構内に、立ち食いのそば屋(以降、駅そば屋)がある。以前と比べれば多くの駅で減ったのは確かだが、屋号を変えたりしながらも何十年も続くお店もある。普段通るあの駅のあの場所に駅そば屋があると言うことは知っていたものの、今まで使ったことはなかった。ところが、たまたまその駅そば屋のWebサイトを見たところ興味が湧いてきた。普段、その駅周辺で食事をするとしたら、駅を出て数分歩いたところにある、比較的ボリュームがあることでお馴染みの、豚肉をニンニク醤油ダレで炒めた丼ぶりものを食べるのが常だが、その時は駅そば屋を利用してみることにした。
遠目で見て、何となくそうなんだろうなくらいには思っていたが、店内は立ち食いのカウンターのみで、決して広くはない。コロナ禍の影響で、多少間隔を広げているようで、10人も入れば満席だと思う。各客席(立ちスペース)の間には、水道部材を使った手作りの仕切で区切られていた。厨房の様子を見ていると、お店の方の連携が上手く取れていて、できたてと時間短縮を両立しており、見ていて気持ちいい。麺をゆでるスペース(床面積)が厨房の中でも占めていなかったのが意外だったが一度に大量にゆでるわけではないからだろうか。
夏限定の「白身魚天と夏野菜の昆布和えそば」
冷たいそばを頼んだが、これは、褒め言葉になるのか分からないが、普通のそば屋の出前で頼むざるそばよりも数倍旨かった。「褒め言葉になるのか分からない」根拠として、出前の場合はゆでてから食べるまでに暫く時間が経っている。それと比べて駅そばは、比較的ゆでたてという違いなので、できたての料理の方が旨いというのは当たり前過ぎるかもしれない。また、そのゆで加減も丁度よく、大量にゆで置いていないようで、厨房の様子を眺めていると、「ゆでているので少々お待ちください」旨の案内を何度か耳にした。回転がいいと言うこともあるだろうが、それでも、食事帯のピークではない。ゆでたてのおそばは歯ごたえも喉越しも大変いい。かき揚げ(※上の写真とは別の日です)も、まぁ、できたてではないのだろうが、それでも歯触りが丁度よい具合だった。
この夏の暑い最中、喉越しのよい冷たいおそばはご馳走である。これが駅の敷地内で食べられるのは、灯台もと暗しというか、今まで行かなかったことを悔やむ。食わず嫌いではないが、立ち食いそばは、早く出すためにゆで置きしていて、温かいものしかなく、そこそこまずくなくて、腹の足しになればいいという偏見を持っていた。しかし、早く出たのは違いないが、十分に美味しいそばを頂くことが出来た。普通サイズのボリューミーな丼1杯だけでは食べ足りない者としては、量はもうちょっとあってもいいですけどね、ただ、小腹が空いたときは今後も率先して利用したい。
こういう立ち食いそば屋は、ファストフード店の中に入ると思われる。海外でも様々なファストフード店が存在するが、多くの海外のファストフード店は、そこそこ安定した料理が食べられればいい…というような印象があるが、日本の場合は、おいしく食べることへの追求がすさまじい。立ち食いそば屋の努力には感心した。
自宅で、いい食材を入手すれば、きっとそれなりに旨い料理はできると思う。ただ、それは材料がいいのであって、厨房機器や調理のタイミングは、やはりお店の方がいいに決まっている。特に中華料理の場合は火力は家ではどうしようもない。「餅は餅屋」ではないが、お店に行くことで、改めて飲食店の良さを思い知った。
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