私のW杯体験

 この文章は、いわゆる、「2002 FIFA WORLD CUPTM KOREA/JAPAN」に関連した話のように見えますが、この文章は、決して、私が抽選率の高いチケットを取り、実際に競技場へ向かって試合観戦をしたわけではありませんし、自宅や出先で、テレビやラジオで、試合を観戦したわけでもありません。あくまでW杯に関わった「交通機関」に対するものです(第三部は除く)。


第一部・イングランド vs スウェーデン(6月2日)

 この日は、休日だが用事があった。そのため、上り東急東横線に乗っていた。午前中の話である。すると、白人3人が乗ってきた。そのうちの一人は白地に赤い十字(イングランドの旗)をマントのようにかぶっていた。イングランド人だろうか。そして、間もなく中目黒に着こうとしている頃、「フーリガン、フーリガン」と、彼らは連呼していた。要するに、自称フーリガン??ちなみに彼らは、ビールを飲んでいた。
 まぁそれ以外で車両を壊す等々はなかった。そしてその後のニュースを見る限り、何も起こらなかったようだったが。フーリガンの前後は何を話していたかは分からなかったが、気になるところである。また、彼らは何処へ行こうとしたのだろうか。この試合の最寄り駅は、東急東横線より、東急目黒線を経由した方が早いのだが。また、外国人の多く集まる六本木は、途中駅の中目黒で降りて、営団日比谷線に乗らねばならないが、中目黒でも降りていなかった。


第二部・メキシコ vs イタリア(6月13日)

 2002年6月13日。この日私は、小倉から宮崎方面に向かう「にちりん5号」に乗った。その一方、FIFAワールドカップの、メキシコ VS イタリアの試合が、大分で行われると言う。そのため、この列車は高城(会場の最寄り駅がそこらしい)で臨時停車する、と時刻表には書いてある。また、通常は5両編成の所、7両編成で運転する(指定:1〜4,7一部)と駅のLEDに表示されていた。実際、乗る人はいるのだろうか。
 ホームにたどり着くと、すでに緑色の布地にMEXICOと刺繍してあるTシャツを着た外国人(そのTシャツを着た外国人は、全員メキシコ人と仮定します)数名がわいわい待機していた。しかも、1号車(禁煙の、グリーン席と普通車指定席)の近辺で待っている。まぁ、経済的なことを考えると日本の物価は高い。ということは指定席だろうか(というよりも、そうであってほしい)。まぁ、一人がオレオレ歌を歌った以外はなんともなかったが(喫煙所以外での喫煙者もいたが、日本人でもいる…両人とも悪い)、やはり違和感は残る。警官が見回りに来ていた(本来見回りの対象なのは日本人?)。そして列車は、1分遅れで入線する。
 私が一番最初にグリーン室内に入る。そして、その人たちも車内に入ってゆく。そして、普通席に座ると思っていたが、グリーン席に来た。結局、15人の定員のうち、11人が外国人によって占められた。ちなみに、自分の席の隣には、日本人男性(ビジネスマン風の中年)が座った(1A,Bの2席が空席だが、そこではない)。その男はなんだか不機嫌そうな顔だったが、いつもこの顔なのだろうか(ちなみに別府で降りていった。メールの内容を印刷したものを持っていたが、どうやらクライアント??が温泉に入りたいらしい、なので別府で降りるのだろう・港湾設備が何とかという文字もあったような…W杯関係者ではなさそうだ)。
 話は外国人に戻る。そのなかで、どうやらイタリア人らしき人もいた(メキシコ人とのやりとりでイタリアン?という声が聞こえた・『大分』行きの切符を持っていたのが見えた)。そして、隣にメキシコ人が座る二人掛けの座席である、4A席に座っていた。メキシコ団体の中のイタリア人、大丈夫か?と思っていたが、一人席の4C席に「Change」したのである。そして、残りのメキシコ人は、座席を回転させ、ボックス状にして(それにしても、よく回転する方法が分かったものだ)、談笑していた(ちなみにチェンジ以降イタリア人との会話はなかった)。それにしても、香水がきつい。メキシコ人団体は高城行きだか、大分行きだかわからないが、ソニックを高城まで延ばせばいいのに、と思ったのだが、実際はどうだろうか。発車直前まで、警官が車内を覗いていた。

 ということで、国際色豊かな状態で小倉を出発。これだけ日本人率が低い列車はないだろう。また、JR東日本の特急グリーン車でなくてよかったね、とその外国人たちには言いたい(今更書く必要はないですが、JR東日本のグリーン席は、普通席と変わらないですから)。
 さて、彼らの車内での様子だが、香水臭い以外は違和感はなかった(ずっとうるさいわけではない)。禁煙のグリーン席で喫煙したり、大暴れしたり…と言う事は当然ながらない(あったらニュースにでているが)。アルコールを飲む人もいなかった。PDAを使う人もいれば、談笑している人もいる。小さな問題と言えば、言語的な問題か比較的声が大きいのと、土足で前の座席の肘掛けに足をかけていたところだ(靴を脱がないとは、小さな子供並である)。
 行橋出発後、検札が始まる。外国人も、渋ることもなく、順調に進んでいく。車掌は、外国人に対して切符を返すとき、「はいサンキュー」と言っていたように聞こえた。この車掌、大分までの乗車で、7両編成の中一人乗務らしい。大分まで二人ならいいのに。

 中津で、車内販売が乗務したようだ。やがて、その車内販売が来た。グリーン車のサービスは、大分まではコーヒーだけらしい。で、外国人。グリーン車利用客はコーヒーが無料だ、ということをよく理解できないらしい。また、分かっていても「No」を示す人も多い。イタリア人は幕の内弁当(\850)を購入していた。ここでも外国人はビールなどの単語は聞こえない。
 車内販売は、コーヒー、緑茶、サンドウィッチ、しいたけ弁当(大分駅……英語でもShiitakeだが、通じず)、幕の内弁当、アイスクリーム、お菓子類で、車内販売用の普通のカートではなく(小さいものだった)、コーヒーのポットは、手で持っていた。つらそうだ。
 つばめレディ(つばめ号に乗務している、JR九州専属の女性客室乗務員)は英語教育をした一方で、その車内販売員(確かJR九州とは別会社)へは、特にしていない。しかし、幕の内弁当の中身を説明するとき、白いご飯を「ライス」ではなく「ゴハン」と言っていたのは、大きな問題だった(相当あがっていたのだろうか)。このときくらい、英語が話せる乗務員(→つばめレディ)を乗務させるべきだったのに...。車掌も同様である(先ほどの検札の時は問題は起きなかったが)。
 フットレストの、靴を脱ぐ面で、靴のまま乗せていたメキシコ人(先ほどPDAを使っていた人)がいた。まぁ、知らない、の一言だけなのかもしれない(分からない人にいくら言っても仕方がない)。ただし、気分はよいものではない。もちろん、日本人に対してもだ。

 メキシコ人二人が、別府で降りた。しかし、残りは降りない。この二人は温泉にでも入るのだろうか??
 そして、グリーン席の残りの9人と、他の号車の大多数が大分で降りた。つまり、グリーン席の乗客で、高城で降りる人はいないことになる。臨時停車の情報が届いていないのだろうか(ならば、なぜにちりん号を選んだのだろう...)。
 そして大分から乗り込んできた人は、乗客少々と、複数人の清掃員だった。終点でもないのに、リクライニングは戻さない、お弁当などをゴミ箱に捨てないなど、やり放題の外国人に、清掃のおばちゃんは「またか」という感じで呆れていた。普段は掃除の人が途中で乗り込む印象はないが、よほど苦情が多かったのだろう。また、メキシコ、イタリア人に限らず、今までもそうなのだろう(その中には日本人も...?)。
 そして、高城に到着。ホームには「Welcome to Takajo」旨の幕があったが、実際、降りる人はいなかった(最低限、1号車はいない…私と普通席の一人以外、皆大分から乗車した人だが、全体的にとにかくゼロに近い)ようである。というのも、この列車の到着時刻は12時05分、高城駅からスタジアムへは無料バスで20分、試合開始が20時30分らしいので、早すぎて利用者がいないのかもしれない。また、高城近辺は何もなさそうな一方、大分近辺はそれなりに盛んである。

 そして、ようやくFIFA公認オフィシャル輸送機関(?)の任務は解かれ、普通の「にちりん5号」に戻った。グリーン車は自分一人、普通席も(1号車部分)、5人程度しかいない。大分で後ろ4両を切り離して...も問題ない感じである(車両の構造的には、実際はそうはいかないが)。
 この先日本に、もっと多くの外国人(というよりも、メキシコ人)が来たら、香水臭く、あらゆるところで掃除に手間取り、大きな声でべらべら話すだけで、あんまりよいことはなさそうだな、と思った。イベントだからと言って、公共の施設で傍若無人でよいはずはない。もちろん、日本人でも同じことだ。よく「最近の若者は〜〜だ」など、少数を見て全体を想像してしまいがちだが、この人たちも同じなのだろうか。決して、「金だけ置いていって、早く国へ帰れ」とまでは言わないが、「郷にいれば郷に従え」は、守ってほしいものである(だからといって、繰り返すことになるが、決して、日本人のマナーはよい、というわけではない)。
 さて、その後の滞在先(宮崎)の大浴場に外国人がいた。その人は、大浴場入り口(というより靴置き場)で携帯電話で、流ちょうな日本語で話しており、正直“まとも”だった(『いらっしゃい』と言った大浴場の係員に、『どうも』と答えていたような気がする)。この人のような人がにちりん5号に乗車していれば、静かだったろう。

 6月号の時刻表には、交通の案内のため、国内のW杯全試合が分かるようになっていた。しかし発売日は5月20日、九州へは旅行だったのだが、約1ヶ月前から計画していた。既に遅かった(切符は予約してしまった)。分かっていれば、1日ずらすなど、対策を考えたのに。まぁ、滅多にない経験をしたことは言うまでもない。ただ、この先、同じ経験をしたいとは思わない。


第三部・日本へ

 この部は、「トルシエ監督率いる日本代表23人」に対してではない。今まで弱小チームだった日本代表が、点数も多く入れ、ベスト16に入り、ここまで成長したのは事実である。急に優勝するより、4年のW杯ごとに強くなり、やがて優勝した方が、感動するのではないか、と思うのだが(そうなって欲しいとも思わないし、どうでも良い)。ただし、これについてではない。日本そのものについてである。
 ご存じだろうが、ラジオで、事実上のラジオジャックをしていたのである。今回、日本戦の試合(4試合?)では、NHKを除くほとんどのAM・FMラジオ局が、サッカー中継をしていたのである。しかも、元(実況や解説)は同じである。つまり、どのダイヤルを回しても、同じ音しか聞こえなかったわけではある。これにより、私は、“日頃の楽しみ”というものを奪われたことになった。私は、サッカーに興味があるわけではない(にわかファンでもない)。そのため、サッカー中継を聞いても仕方がない。これでは、戦時中の報道統制ではないか??とふと思ってしまう。しかも、その“統制放送”そのものも問題があったらしい。ラジオではサッカーの様子を伝えきれなかった、とのことである(あまり好評ではなかったらしい)。まぁ、100%のラジオ局が統制されていたのではなく、実際は“コミュニティ・FM”は唯一普段通りと思われる放送があり、助かった。たまには、いつもと違うラジオ放送を聞くのも面白い、とも思ったのではあるが。
 この先当分の間は、サッカーに関連しての統制はないだろう。つまり、通常通りのプログラムが流れることになろう(しかし、負けたあとも、放送の中身はW杯に関連した話をしていたが)。そういう意味では、「日本が早めに負けて良かった」と思った。そしてこの先、和製フーリガン出現が少なくなると思うと、ホッとした(その後、W杯時の市街地を取材したドキュメント番組を見ていたが、日本が負けた後の映像を見ると、私は顔がほころんだ)。この先、2006年にドイツで開かれるというW杯では、まさかここまで“普段の生活”を制限されることはないだろう。

 もう一つ言いたいことは、何故そこまで“熱狂”していたのだろうか?と言うことである。日本が勝つことで、何か我々によいことはあるのだろうか?経済効果云々言うが、それは、量販店(この機会にワイドテレビを購入)、電力会社、建設会社(スタジアム建設)、広告会社(電通がW杯を仕切っていた)、競技場付近の交通機関、競技場付近のグッズ販売やコンビニエンス・ストア程度ではないか。それ以外の個人、お店、企業にとって、何か有利に働いたのだろうか。生活が楽になったのだろうか。失業率は減ったのだろうか。これらは解決するどころか、日本の試合中は外に人がいない(買い物をしない)、競技場付近はフーリガン対策のため臨時閉店、サポーターによる公共の場での占拠(ゴミ処理なども含め、税金がかかる)など、マイナス要因が多い。この不況の中、そんな揚げ足取りがあったわけである。そして、ベスト16まで進んだ(→3試合までは上り調子だった)が、その日までに「日本が勝ったから家と車を買おう」という人はいただろうか(いたかもしれない)。また、「外国人がお金を落とす」と言うが、物価が高い日本で、“無駄”と言われそうなほど色々なものを買った外国人はどれくらいいたのだろうか。それよりも、経済効果よりも、和製フーリガンを誕生させ、日本人へのイメージを落としてしまったのではないか。
 まぁ、何もやらないよりはお金は流れたと思うのだが、それ以上に、従来部分の停滞が気になるのである。そしてイベントは終わったが、今では「あぁ、あったね」程度にしか扱われない。
 「スポーツとして純粋に楽しめないのか」と仰る方がいらっしゃるかもしれない。しかし、金儲けの手段として使われているスポーツを、純粋に楽しめるだろうか。結局、お金のことしか(経済効果云々)しか考えられないのである。






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