熊本にいる東急5000系に会いに行く

 熊本に、「5000系」という、元々東急で走っていた車両が、2016年2月14日に引退することになりました。引退前に、2016年1月に乗りに行ってきました。また、一度2008年2月にも行ったことがあるので、その時の写真を含めて、ご紹介したいと思います。
 この東急5000系とは(5000系に興味のない方はこのページは見ないでしょうから、知っている方が多いと見越して詳細は割愛しますが)、1954年に東急線の車両としてデビューした車両です。その後、この熊本電鉄を含めて日本中の中小私鉄に譲渡されていきましたが、60年が経過し、最後まで残っていたのがこの熊本電鉄です(最後まで残ったこの車両そのものは57年に製造されたようです)。最近は、東急の車両を含めて、日本の車両が海外(主に東南アジア)に譲渡されることが有名ですが、海外の前には、こうして、国内の私鉄に譲渡されていました。
 この東急5000系は「青ガエル」という愛称で呼ばれ、都内では渋谷駅前に車体の一部が設置されていましたが、その後、周辺の再開発と忠犬ハチ公の縁と言うことで、(5000系が生まれた金沢八景ではなく)秋田県に引っ越しました。


2008年の記録


 この頃は、引退するという話は全くなく、5000系ものんびりと過ごしているようでした。


 デビュー当時からほとんど変わっていない客室。つり革の「東急百貨店」はおなじみです。

 08年乗車当時は、引退という噂が流れるどころか、このような紙が車内に貼られていました。
熊本電鉄より
お客様へのお願い


 毎度、熊本電鉄をご利用頂きありがとうございます。上熊本線に使用しております緑の電車(元・東急5000系)は、冷房装置の搭載を計画いたしましたが、装置を取り付けられる程の車体強度が無く、また、冷房搭載車両(中古)の導入を検討いたしておりますが、適応車両がなく調達が困難な状況にあります。ご利用されるお客さまにおかれましては、大変ご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解とご協力をお願いいたします。


熊本電鉄 交通部鉄道課


…と、当時は引退はまだまだ先でした。デビュー当時はどうやら画期的な車体の構造で軽量化に成功したそうですが、冷房には対応できなかったようです。もちろん、車体の老朽化もあるとは思います。


 5000系は当時2編成(2両)ありましたが、最後まで残ったのは右の車両です。



2016年の記録

 元々、とある列車(×或る列車)に乗るついでに九州方面に行くつもりでした。旅行の計画をしていく最中、この5000系引退の情報を知り、熊本まで足を伸ばすことにしました。



 片道9分の路線を30分に1本、この車両が往復するのは2008年と変わりません。乗客数は2008年比数倍でしたが、通常通り運転していました。
 この写真を見ると、いつ行ったかが想像付くと思います。5000系自身、まさかこの南の地で雪の中を走ることになるとは…と驚いたことでしょう。



 車内には、このような中吊り広告が吊られていました。また、利用者が感謝や思いの言葉が書かれた短冊が至る所に貼られていました。折り返しの際も車内を撮影する余裕がないほど、乗客がおりました。



 北熊本駅での、後継となる元東京メトロ01系との2ショット。元は銀座線の車両ですが、パンタグラフがあるのが特徴です。世代こそ違いますが、この2車種とも、渋谷で走っていたという共通点があります。
 北熊本駅では、熊本電鉄のオフィシャルショップがあります。猛プッシュしているカレーのレトルトも売られていますが、周辺で食べられそうなお店はありませんでした(駅そば屋があればよかったのですが…寒かったので、このカレーを使ったカレーうどんがあれば、真っ先に食べていたと思います)。



 北熊本も上熊本でも、NHKの取材班が来ていました。引退までまだ少しありますが、この雪の中という珍しい映像を撮りたかったのかもしれません。
 最初は、毎週日曜日限定だったサヨナラ運転ですが、やがて、2月11日の祝日や、最終日もほぼ終日走らせるようになったようです。また引退後は、最初は廃車か民間団体に譲渡する予定が、熊本電鉄内での動態保存が出来るように。それだけ、反響があったんですね。





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