伊豆急行・2100系(アルファリゾート21)
……リゾート踊り子号 のロイヤルボックス(グリーン席)
“各駅停車のスーパーカー”と呼ばれる2100系は、85年に登場。デビュー当時は特別席(ロイヤルボックス)は連結されませんでしたが、後に連結するようになりました。
このページの列車は、93年7月にデビューした5編成目(5次車)で、「アルファリゾート21」と呼ばれ、1〜4次車の差以上に、内装や外観デザインが大きく変わりました。伊豆急行で配っている無料の時刻表には、従来型のリゾート21か、αリゾート21かが区別していました。
土休日に特急「リゾート踊り子号」として、下りの東京→伊豆急下田間のみ走り、平日は普通列車として走っていました。2003年3月末に普通列車のロイヤルボックスの営業が終了してからは、平日はこの車両は抜かれて走っていました。
その後、アルファリゾート21としても16年9月頃に廃止になり、大規模に改造され、2017年7月21日にツアー専用列車「THE ROYAL EXPRESS」としてデビュー。伊豆急としては、その後色々な車両を導入していますが、2100系5次車はフラッグシップとして走り続けています。
03年までのロイヤルボックス料金:\750(伊豆急・JR伊東線の片方のみを利用した場合)、\1,000(伊豆急線と伊東線を通しで乗る場合)
αリゾート21の車内です。窓が大きい(一人掛け=海側の方が大きくなっています)だけではなく、天井が高く、花を模した照明器具も趣があり、海辺を走る列車らしい開放感があります。カーペットが、今まではウッドデッキを意識したようなもの(ベージュ地に、線路と平行に黒い線があった)でしたが、色は同系ではあるものの、黒い線がなくなっていた他は、デビュー時と比べて大きな差はありません。
天井演出のコンセプトは、「アクアプロムナード」というのだそうです。
一般的な回転クロスシートは、進行方向にのみ回転できますが(つまり、180度の2方向)、このロイヤルボックスは、様々な方向に回転できます。二人掛け座席は、進行方向+通路向き+それらの中間(つまり5方向)、海側に面する一人掛け座席は、45度ずつ(外向きにも出来る8方向)回転が出来ます。回転するレバーは、座面の真下にあります。
以前は布だったヘッドカバーが、ビニールになってしまったのは残念です。
椅子そのものは、在来型と同じはずです。座面はふかふかしていて、ソファーのような座り心地です。リクライニングは、深からず浅からず。枕の厚みは、あまりありません。
ごく一般的な座席のフットレストのある場所に、フットレストのような板が見えますが、角度が水平です。これはフットレストではなく、荷物を置く台です。床に置きたくない人への配慮と、天井の演出の都合で荷棚がないためでしょう。
壁にある半円状のものはテーブルとダストボックス(と、呼び出しボタン)です。テーブルは、壁にある半円状のものだけです(他の車輌も、形は違っても同じようなもの)。席によっては窓枠にモノが置けず、向かい合わせて4人で使うのはかなり不便です。ダストボックスは、つまみを引っ張ると、極少量分だけ捨てられるようになっています。つまみを放すと、バネで戻りますが、バタン音が出ないように最後は緩衝するようになっています(最近のシステムキッチンの引き出しのように)。
呼び出しボタンは、現在は使われていません。以前は乗務員が常駐していて、ボタンを押すと、飛行機のようにすぐに来ました。飲み物を頼むと食器で出されるなど、力が入っていました。また、ダストボックスに入れられるサイズは小さいものの、普通列車のロイヤルボックスとして営業していた頃は呼べば引き取って捨てて貰えるサービス体制になっていました。
一人掛けの座席は海沿いに面し、「A席」になっています(二人掛けはC,D席です)。
一人掛け座席の荷物置き場は、二人掛けのフットレストの位置ではなく、壁にあります(一つ下の写真を見ると、何となく分かるかと思います)。
在来型とアルファとで乗り比べると、アルファの方のバージョンアップ度が半端ない印象でした。光と鏡がふんだんに使われ、照明で目立つところは、天井真上や窓の柱の花を模したものですが、細かいところで照明が使われており、座席番号の上には小さなスポットライトが、テーブル兼ダストボックスからも、光が漏れるようにしています。鏡は、天井の上の方(今の車両なら、LED表示器があるような所に)に使われ、トンネル内の天井演出の際に、奥行きを持たせています。
バブル崩壊後に落成した車両にも拘わらず、また、その後不況や天災で観光地としての伊豆は決して安泰ではありませんでしたが、現在もそれらに負けず、安物感が一切ありません。この写真は2013年2月に乗車、撮影したもので、リゾート21・ロイヤルボックス車両に乗ったのは十数年ぶりでしたが、大きく変わった=つまり劣化した印象がありませんでした。ほんの時々しか走らせないとはいえ、海沿いを走り、特殊な照明など、内外ともにメンテナンスの手間が掛かるだろう中で、非常に大切にされている印象があります。
リゾート21といえば、トンネル内での特別な演出をご存じかもしれませんが、これは伊豆半島の観光PRイベント時の展示会で行われた時のものです(2013年1月・横浜駅にて)。“海底散歩”をイメージしたようで、BGMも神秘的で、普通はただ暗いだけのトンネルが「もっと中にいたい」と思わせるほど素晴らしい演出だと思います。2013年現在、20年経っている車両ですが、このようなPRイベント会に使われるなど、今も伊豆急行のフラッグシップとして使っておりますが、この車両にお目にかかれるのはごく僅かなのが残念です。座席は、このように通路に向いていると、一人掛け用でも二人掛け用でも、リクライニングの倒れる角度が浅くなります。
これらの室内写真の車両番号:2191
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