特別席の基礎知識
〜座席の特徴〜


 日本語がおかしいですが、座席への着席は、その乗り物の中で、最も長くいる状態です(つまり、トイレなどで立つことはあっても、座席に座る時間が最も長いわけです)。そのため、例え客室全体が高級感に溢れていても、どんなに他のサービスが良くても、座席が悪ければ台無しです。寝ていれば、壁面が大理石でも、サービスされる飲み物の種類が多くても、関係ありませんから。


座席配列

 特別席か特別席ではない(要するに普通席)かを、最もわかりやすく表しているものが座席配列です(この項目では、横の配列のことを説明しています)。つまり、座席番号で言えば、1A,1B,1C席…についてです。常識のある交通機関は、普通席より何列か少なくしています。座席配列が普通席より少なくすることで、座幅、肘掛けの幅、通路の幅を広くすることが出来ます。これが普通席と変わらない場合、何処かを、普通席以上に狭くしないといけません(例えば、壁と座席の間)。


 同じ山形新幹線を走る(走っていた)列車ですが、上の写真は2-2配列のE3系と、下は2-1配列の400系です。座席の幅と、通路の幅は、見た目にも分かると思います。


シートピッチ

 座席配列が横の配列に対して、縦の配列を表すものが、シートピッチです。つまり、座席番号で言えば、1A,2A,3A席…についてです。座席が大きい分(シートバックに厚みがあり、座面の奥行きもある)、シートピッチも広くしないと、普通席よりも狭くなります。
 飛行機の場合は、航空会社や機種によって異なり、これといった相場はありませんが、同じBOEING777-200の旧スーパーシートでも、JASは42インチ、JALは40インチ、ANAは38インチと、同じ機種でも10cmの差があります。現在は、JALファーストクラスで130cm、ANAのプレミアムクラスで127cm(50インチ)です。
 列車、しかもJRの場合、これは昔から、1160mmが相場です。もちろん、これより広くも狭くもある列車もいくつかありますが、新幹線に限って言えば、どのような列車でも(1964年の新幹線開業当時から、現在までも)変わっていないはずです。最短で近鉄アーバンライナー伊勢志摩ライナーの1050mm、最長で伊豆急行2100系(リゾート21)の1320mmです(最長は、私の知っている限りの話です)。


座席の付属物

テーブル
 飛行機の場合、肘掛け内に収納している“インアームテーブル”が一般的です(DC-10だけは何故か、前席の背面部分に収納している“背面テーブル”)。大抵のインアームテーブルは、飲み物や小物だけを置くときは半分に折り畳んだ状態で、食事の時は2面に拡げた状態で使うことが出来ます。最近の機種では、二人掛けの座席の、中央の肘掛けに収納してある、文字通り、カクテルグラス程度のサイズの物を置くのに適した“カクテルテーブル”が付いています(が、使う機会はほとんどないでしょう)。
 列車の場合、国鉄時代の在来線特急や一部の新幹線(東海道・山陽新幹線の、製造時期が初期の0系)には、肘掛けの横に収納してあるテーブル(インアームテーブルではない)だけしかありませんでした。しかし、面積も安定性もなく、しかもテーブルを使っていると肘掛けが使えないので、使い物にはなりません。紙コップに入ったホットコーヒーを手で押さえないで置こうものなら、列車の揺れでこぼれて、火傷するのは確実でしょう。そのかわり、窓枠には物を置ける程度の幅はあり、一方で食堂車もあり、食事には問題はなかったと思います。ちなみに、「一部の」を除いた残りの新幹線では、背面テーブルが付くようになりました。
 ここ最近は、インアームテーブルを備える座席も増えましたが、飛行機とは違い半面しかない場合が多く(形としては正方形に近く、上記で言えば“半分”しかない)、使いやすいとは言えません(ノートパソコンや大きめの駅弁は置けません)。一方でインアームテーブルと背面テーブル両方備える座席もあります。

フットレスト・レッグレスト
 飛行機にはレッグレスト、列車にはフットレストが主に装備されています。
 レッグレストとは、ふくらはぎを休めるもので、「スネ当て」とも言うようです(床と水平になれば、マッサージ椅子でよく見かける『オットマン』状態になります)。一方でフットレストは、いわゆる足乗せです。
 列車のフットレストでは、大抵のものは、表裏面があり、片方はビニールやカーペットとおなじ布地が張られていて靴を履いたまま、もう片方は座席と同じ布地が張られていて靴を脱いで使います。

ランバーサポート
 腰の部分がふくらんだり沈んだりすることで、腰の負担を和らげることが出来ます。レバーが分かりづらい位置にあります。

最近付いているもの
 飛行機の場合、国際線の機種では個人用テレビや電話、電源など、増えていっていますが、一方で国内線の機種は、「昔」や「最近」など、時代によって頻繁に変わることはなく、97年4月から、一部の機種(JASのBOEING777-200)に個人用テレビが付いた程度です。しかしこれも、JALとの企業統合により最終的にはなくなりました。
 ところが、2019年9月に、Airbus A350デビュー時に復活。その他電源なども付きましたが、これらは特別席限定ではなく、全クラス共通のサービスですが、ファーストクラス限定で、マッサージ機能が付くようになりました。
 列車の場合は、時代によって大きく変わり、国鉄が民営化し、バブル景気の頃は、個人用テレビや音楽などのAV関連の設備がありましたが、現在(2010年代)は、AV機器が付いている座席はゼロです(付いていても、撤去していっています)。最近は前席の背面部分に切符ケースを設けたり、電源を用意する列車が増えてきましたが、飛行機と同様、全クラス共通のサービスであることが多いです。




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