各社新幹線批評文
〜新幹線に乗るときは〜

  JR東日本
 新幹線に乗るときは、体は小さい方がよい
 まずは、JRのページでも紹介した、E3系についでてある。E3系は、秋田新幹線・こまち号の全列車と、山形新幹線・つばさ号の一部の列車に使われている。特にグリーン車が、非道いにつきるのである。それ以外にも、非道いJR東日本のグリーン車は多いのだが。それぞれの寸法のページを比較して頂ければわかるが、寸法が、普通席とさほど変わらないのである。また、横4列シートは普通席と同じである。普通席と“大きく”違う点は、テーブルの数、リクライニングシートの角度と、シートピッチである。逆に、これ以外の項目(座席の幅など)は、普通車とさほど変わらない。
 先程、E3系以外にも非道いグリーン車は多いと書いたが、決してそれを認めるわけではないが、在来線はまだ仕方がない(と言うよりも、ここでは話に入れないことにする)。ただしこまち号は一応、新幹線であり、長時間乗車が前提である。もし東京から秋田へ行くとなると、4時間近く座らなければならない。さらに食堂車などはないので、席を立つとしたらトイレに行く程度である。国鉄時代に出来た列車でも、新幹線のグリーン車だけは在来線のグリーン車や普通席とは違っている。車両を移動するときにグリーン車の車内に入れば、先程通った普通車とは違うのは、一目瞭然である。それが見た目さえ変わらない存在になってしまったのである。ちなみに、山形新幹線・つばさ号で、E3系車両が使われていない方(400系)は、横は3列シートで見た目も普通席とは全く違う。
 理由は、設計図を見なければならない。400系(411型)もE3系(E311型)も似たような構造なので、比較が出来る。構成は全く同じである(運転室、グリーン客室、車掌室、多目的室、車販準備室、洗面所、車椅子対応洋式トイレ、男子用トイレ)。なのにも拘わらず、客室の縦の配列が異なってしまった。運転室が(つまり先頭部分が)より鋭くなったわけではない。車販準備室を広くしたものと思われる。他にも細かく書くと、E3系にはゴミを圧縮する装置が設けられている。その機械のスペースなども関わっているようである。乗車時間が長い=ゴミが多く出る、と言うためらしいが、ゴミは大きな駅ごとに片づけても良いものである。追加料金を払う席までも省力化によってグリーン客室が狭くなったのである。客室が狭くなったので、結局は定員確保のために、座席を狭くしたのである。つまり、乗務員や係員の都合のためにグリーン客室部分を狭くしたのである。
 もっとも、最近のJR東日本の、このような事情があるわけではない在来線のグリーン車も横4列シートなのは、グレードを下げよう、と言う企業の姿勢が最も大きいのかもしれない(定員を選んだこと自体も企業の姿勢だろうね)。
 体が小さい方がよいのは、これだけではない。もう一つは、「Max」という列車である。Maxとは、Multi Amenity eXpressの略の、オール2階建て新幹線のことである。あえて日本語に訳せば、“多くの快適性を持った新幹線”、と言う意味になるだろう。先程の話ではないが、グリーン車に関して言えば合格である。座席は大きく、悪くはない。しかし悪いのは、自由席、それも2階部分の自由席である。
 一般的な新幹線の普通車は、横5列シートである。ところが、このMaxの2階の自由席は、6列なのである。理由は簡単(JR東日本が発表した理由)、定員のためである。さらに、この座席はリクライニングもしないのである。
 繰り返すことになるが、この場合は自由席なので、30分程度しか乗らない人はいるかも知れないが、山手線程度のような10分しか乗らない人はめったにいない。30分もあれば、寝ることも出来る、仕事もメールを読むくらいならば余裕で出来る。そんな30分を、リクライニングのしない狭い席で過ごさなければならない。これでも、マルチアメニティ、なのである。
 ただ、列車によっては、本来は指定席として準備している座席も自由席として用意している列車もある。また、自由席でも1階席では普通の横5列のリクライニングシートである。しかし、逆に“全席指定”という、横6列シートも指定席にしてしまっている列車もある。
 結局、企業がこのような考えなので、乗る側の体格を変えた方が手っ取り早いかもしれないのである。体が小さければ、狭いとは思わない。


  JR東海
 新幹線に乗るときは、ビジネススーツを着ていないと乗せてもらえない
 新幹線は、果たしてどんな用途に使うだろうか?旅行、ビジネス、逃亡...。JR東海の新幹線は、その“仕事”利用、しかも毎日使うような人のためだけに用意している、と言っても過言ではない。
 理由である。まずは世間ではよく言われているのだが、食堂車等の供食設備がなくなっている、と言うところである。また、300系(通称のぞみ型)にあった“サービスコーナー”も、新しい700系ではなくなった。出張にしろ、たまに旅行に使うにしろ、同じサンドウィッチを食べるならば、自動販売機やコンビニみたいなカウンターで冷たいパックのものを買って食べるよりも、陶器の皿に盛られて丁度良い温度のものを食べる方が気分がいい。今では、それが出来ない。車内販売は楽には楽だが、好きな時間には買えず(待たねばならない)、品数も少なく、次が待っているのでゆっくり品物も選べない。ちなみにカフェテリアは今でも存在するが、内容は300系のサービスコーナーと同じようなものだと思うし、それ以前に運用する本数はかなり少なくなった。
 このような現象になってしまったヒントが一つある。それは、「クリスマスエクスプレス」や「シンデレラエクスプレス」である。これらを広告したCMは、最後のシーンに100系新幹線(2階建て新幹線)が登場したが、300系がデビューして以来、このCMがなくなったのは気のせいだろうか。つまり300系に花形を譲って以降、仕事以外のものは排除したようなものである。“クリスマスに恋人同士が新幹線を使って出会う”と言うJR東海の提案は、今となっては無効であり邪魔なのだろう。ちなみに京都のCMは、適当に流しておけば客はそれなりに来るのか、それとも、打ち切ると文句が来るからかもしれない(JR東日本が流した長野新幹線開通のCMで京都を敵にしたところそれなりの抗議が来たらしい...)?
 結局、ビジネス客にしかJR東海は相手にしていないのである。座るだけの新幹線は、旅行者にとってはつまらない。しかし、毎日使うような人にとっては、座席が多ければ多い程良い、と言うわけである(とJR東海は考えているのだと思う)。


  JR西日本
 新幹線に乗るときは、保険をいくら、掛けようか
 以前、山陽新幹線でコンクリート崩落事故が、多発した。その後JR西日本は、色々検査などを行ったという。
 これはマスコミが多く取り上げたために、検査などを行ったという可能性がある。その後も、山陽新幹線に限らず、他のトンネルなどでも落下などがあると取り上げられたものである。しかしその後、山陽新幹線についてのその後や、他のトンネルでの出来事は、全く取り上げられなくなってしまった。一時は、毎日とは言わないが、コンクリート崩落の出来事がよく報道された。それが、今ではピッタリとやんでしまっている。JR側による点検の結果、少なくなったと言うこともあろう。しかし、全く報道されていないのはおかしい。
 ある情報によると、こうして、検査をして補修しても、5〜10年しかもてないのではないか、と言う声がある。確かに完全に撤去はしていない古いものの上に新たに接着剤などを付けるようなので、それほど持たないのは分かる。
 話は変わるが、コンクリート崩落事故の一番最初の報道は、0系車両に落ちたことから始まった。ある友人は、これがもし他の車両に落ちていたら、死傷者が出ていたかもしれない、と言っていた。0系車両と、最新車両を比べると、新しい車両は限りない軽量化がなされている。このおかげでスピードアップや省エネに貢献してきている。軽量化は、色々な贅肉を落とした結果であるが、0系は、その贅肉があったおかげで客室内にまでコンクリートが入ることはなかった可能性があるのである。スピード化などには重点を置いているだろうが、一方で頑丈さなどはあまり重視していないようにも見える。頑丈さを軽視して起こった事故が2000年3月に起きた日比谷線の脱線事故だとも言われる。もう少し頑丈だったら、あそこまでの死傷者は出さなかったかもしれない。
 また、スピードだけを追い求めて起こったと言われる事故が、同年7月に起こったコンコルドの墜落事件である(コンコルドそのものは悪くはないらしく、外的要因が原因でエンジンが破壊したようだが、スピードを追い求めるだけの構造だったので、被害がここまで及んでしまった)。交通機関なので、スピードを求めるのは重要である。しかし、それより優先すべきである「安全第一」は忘れて欲しくはないものである。
 しかし、山陽新幹線には、一つだけ評価できるものがある。こちらの新幹線でも、飛行機との競争を強いられている。山陽新幹線は、東海道新幹線よりもスピードを出しているなどもあるが、鉄道車両を生かしたサービスで、飛行機と競争している。東海道新幹線ではだんだんと減らしていっているグリーン個室だが、新しい700系「ひかりRailStar」には4人用の普通個室が用意されている。さすがに飛行機では個室は用意できない。サービスコーナーを含めて供食設備はないが(スタンドカフェ程度のものはあってもいいのですが)、飛行機と競争するのには、フェアな戦い方であると思う(フェアではない...と言うより、単純に比べるとスピードでは勝てないのに〔完敗ではないのは、駅=市街地だから〕それだけを重視する東海道新幹線は、こちらをご覧ください)。実際RailStarは好評ということである(2000年のお盆期間には、全体では3%の伸びに対して山陽新幹線のひかり号は8%の伸び)。しかし、今後はRailStarは増備しないという話も聞いており、残念である。RailStarが好評なのではなく、ひかり号として好評なのであろうか。






批評文のインデックスに戻る