何故、このような座席が必要か
ただ単に欲しい、と言うわけではありません。おそらく、色々な人が必要としている座席だと思います。
携帯電話を使いたい人・喫煙をしたい人
わざわざ車内で電話をするためや、タバコを吸いたいだけでこの座席を使う人は居ないだろうが、デッキや喫煙コーナーがあり、そこで電話や喫煙をしても文句は言われない。
仕事をしたい人
ロイヤルボックスの全座席にはテーブルや電源があるので、コンピューターを操作したり、文字を書くときには便利である(くつろぎボックスは一部座席にテーブル)。ロイヤルボックスには読書灯もあるので、仕事に限らず、読書などにも、地下路線を走る機会が多い東急線にとってはよいだろう。
体調が悪い人
体調が悪いときには早く帰りたい。出来れば座って帰りたい。この二つは相反するものであるが、座席料金を払うことで、(走らせる本数にもよるが)目の前の列車の座席に座ることが出来る。普通席よりは、満席になる時間は掛かるだろう。始発駅以外の列車でも、座れる可能性は高い。また、トイレ付なので、おなかの調子が悪い人には大安心である。
シルバーシートで譲られることが嫌いな人
お年寄りや体の不自由な人が立っていると、周りで座っている人が「どうぞ」と声を掛けるときがある。しかし、譲られることが好きではない人もいると思う(自分自身、譲られる立場に立ったことはないが、『いいですよ』と断ってしまうかもしれない)。一方で座席料金を払えば誰でも座れるので、気兼ねなく座れる。決して、譲ってくれる人の善意を潰すわけでも、乗車を強制させているわけでもないことを付け加えておく。
大きな荷物を持った人
旅行帰りなど、大きな荷物があると荷物の置き場に困るが、当然ながら、通勤車両には荷物スペースはない。網棚には、スーツケースや電気製品のような大きな荷物は置けない。空いている時間帯ならば大きな問題はないが、旅行や出張の際、飛行機の出発/到着時刻の都合上、込んでいる時間帯に乗らねばならない場合もある。荷物スペースがあれば、例え混雑した時刻に乗ったとしても、他人から嫌がられることもない。
太っている人
東急の新車の座席幅は45cmで、最近は広がりつつあるも、狭い人にとっては狭い。もちろん、自分にとっても周りにとってもである。また、7人掛けの座席を6人で占めようとする人たちにとってもお勧めである。ロイヤルボックス席の座席幅は50cm、くつろぎボックス席の座席幅は46cmを目安にしている。
混雑した車内にいるのが嫌な人
着席定員以上の人がいることはない(可能性としては、ラッシュ帯には多少の立席もあり得るが)。超満員の通勤列車にストレスを感じるので朝から疲れる、というような人に打ってつけである。“超満員”+“トイレがない”という恐怖感を持っている人にとっても欲しい車両ではないかと思う。
名古屋鉄道の特急列車には「特別車両」というものがあり、\350で座席指定のリクライニングシートに座れる(払わない場合は同じ列車の自由席の転換クロスシートには座れる)。朝のラッシュ帯は、満席になるようである。それを考えると、ラッシュ帯こそ、こういう車両が望まれているのかもしれない。
スリや、痴漢に遭う人(それを恐れている人)
通勤ラッシュ帯でも、この座席は重宝する。もちろん、普通車内からスリや痴漢をなくすことも重要だが、ラッシュ帯に立席を認めてもギューギューになることもないので、スリや痴漢に遭うことはまずない。また、乗務員が近くにいるので、問題が起これば即座に対処できる(乗務員が居ることで、いつも寝過ごしてしまうので、誰かに起こして欲しい人にとっても有効である)。
現在の座席の問題
これは、直接的に、東急を批判することになってしまうが、最近の新型車両(3000,5000系)の座席は、不評である。従来車に比べて、座席の横幅は広くなったようだが、座面が硬くなったというものである。つまり、長時間座るには都合が悪いと言うことである。もちろん、改善されればこの理由は不要になるが、3000系で硬くなり、それが5000系で継承されたと言うことは、当面は改良する可能性は低いだろう。
その他の理由
何より、一番の理由はゆったりシートに飲み物のサービス(ロイヤルボックスのみ)があり、10分程度の乗車時間でも一息付けることである。他には、旅行で東急線を利用するとき、せっかくだから特別席を使いたい、と言う人もいるだろう。仕事の簡単な打ち合わせ等(落ち着いて話せる)にも使って欲しいものである。ゆとりが求められる時代、こういう車両があっても、決して無駄ではないと思う。
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